12 名前:>>10だけど眠たいので冒頭だけ :2007/01/11(木) 23:21:19.44 ID:wuzopNNEO
どうやら俺は一度死んだらしい。
人の死に様なんてあっけないもんだ。酔っ払い運転の軽四に吹っ飛ばされ、背骨とアバラをへし折りながらアスファルトに頭を打ち付けて即死。
蘇った俺は――女になっていた。
どうやら俺は一度死んだらしい。
人の死に様なんてあっけないもんだ。酔っ払い運転の軽四に吹っ飛ばされ、背骨とアバラをへし折りながらアスファルトに頭を打ち付けて即死。
蘇った俺は――女になっていた。
28 名前:>>12 :2007/01/12(金) 06:28:30.11 ID:csLiJ7FdO
俺「……な」
兄「ん、どうした?」
俺「なんじゃこりゃあぁぁぁぁ!!」
俺のややかん高い(そりゃそうだ)叫び声を聞いて、兄貴はうっとおしそうにカルテからこちらに視線を向けた。
兄「しょっぱなからそれだけでかい声が出せるなら上出来だな。やはり俺の腕は凄い」
俺「何とぼけた事言ってんだオイ!
この体は何だ!」
もう一度鏡を見る。
肩にかかる程度だった髪は腰まで伸び、只でさえ中性的だった目鼻立ちも女そのものになっている。
兄「体ねえ…」
まためんどくさげにカルテに視線を落とす兄貴。やたらに輝く銀縁の眼鏡が非常にムカつく。
兄「俺の手術は完璧だった。世界一の医療技術を誇る日本のスタッフと、これまた世界の最高峰を極めた親父の生物学の夢のコラボだ」
よくもまあいけしゃあしゃあと言えたもんだ。親父の名を出したことが、俺の怒りに拍車をかける。
俺「何が夢のコラボだ!
何で俺が女になってんだよ!」
兄「それが最新の技術なんだよ。
一度心停止した人間の脳をそっくり――しかも異性間で移植する。親父の遺したナノマシン技術の応用さ」
俺「……な」
兄「ん、どうした?」
俺「なんじゃこりゃあぁぁぁぁ!!」
俺のややかん高い(そりゃそうだ)叫び声を聞いて、兄貴はうっとおしそうにカルテからこちらに視線を向けた。
兄「しょっぱなからそれだけでかい声が出せるなら上出来だな。やはり俺の腕は凄い」
俺「何とぼけた事言ってんだオイ!
この体は何だ!」
もう一度鏡を見る。
肩にかかる程度だった髪は腰まで伸び、只でさえ中性的だった目鼻立ちも女そのものになっている。
兄「体ねえ…」
まためんどくさげにカルテに視線を落とす兄貴。やたらに輝く銀縁の眼鏡が非常にムカつく。
兄「俺の手術は完璧だった。世界一の医療技術を誇る日本のスタッフと、これまた世界の最高峰を極めた親父の生物学の夢のコラボだ」
よくもまあいけしゃあしゃあと言えたもんだ。親父の名を出したことが、俺の怒りに拍車をかける。
俺「何が夢のコラボだ!
何で俺が女になってんだよ!」
兄「それが最新の技術なんだよ。
一度心停止した人間の脳をそっくり――しかも異性間で移植する。親父の遺したナノマシン技術の応用さ」
29 名前:わらじむし♀ :2007/01/12(金) 08:18:54.40 ID:csLiJ7FdO
俺「女になる意味が分からないんだが」
兄「単に適合する素体が女しか無かっただけの話だ。適合するなら犬猫でもできる」
その後も手術内容について、立て板に水を流す様に話続ける兄貴。三流大学生の俺にはさっぱり分からない専門用語が並ぶカルテまで読まされ、解放されたのは三時間程経ってからだった。
俺「女になる意味が分からないんだが」
兄「単に適合する素体が女しか無かっただけの話だ。適合するなら犬猫でもできる」
その後も手術内容について、立て板に水を流す様に話続ける兄貴。三流大学生の俺にはさっぱり分からない専門用語が並ぶカルテまで読まされ、解放されたのは三時間程経ってからだった。
俺「…ふう」
誰もいなくなった病室で、溜め息を吐く。
とりあえず、分かった事。
一度俺は死んで、その後この体に脳を移植された事。
本来の体は損傷が激しい為、また別の所で修復を受けている事。
誰もいなくなった病室で、溜め息を吐く。
とりあえず、分かった事。
一度俺は死んで、その後この体に脳を移植された事。
本来の体は損傷が激しい為、また別の所で修復を受けている事。
そして――この力。
先程、兄貴に渡されたジッポライターを手にとる。ずっと愛用していて、事故にあった時もポケットに入っていた。所持品の中で、唯一これだけは壊れずに残ったらしい。
「ま、遺品みたいなもんだな」
そう兄貴は笑っていたが、自分で自分の遺品を貰うなんて冗談にもならない。
馬蹄のマークが刻まれたそれは、一回り小さくなった手にも自然と馴染んだ。左手に持ち替え、空いた右手をぐっと握り締めて目を瞑る。
再び開いた右手の上では、馬蹄のライターが鈍く輝いていた。
先程、兄貴に渡されたジッポライターを手にとる。ずっと愛用していて、事故にあった時もポケットに入っていた。所持品の中で、唯一これだけは壊れずに残ったらしい。
「ま、遺品みたいなもんだな」
そう兄貴は笑っていたが、自分で自分の遺品を貰うなんて冗談にもならない。
馬蹄のマークが刻まれたそれは、一回り小さくなった手にも自然と馴染んだ。左手に持ち替え、空いた右手をぐっと握り締めて目を瞑る。
再び開いた右手の上では、馬蹄のライターが鈍く輝いていた。
31 名前:わらじむし♂ :2007/01/12(金) 09:02:20.93 ID:csLiJ7FdO
これが、蘇った俺に与えられた力――複製。
兄貴に言わせると「ナノマシンの記憶・複写作用によって立体的なオブジェクトを構成する能力」だそうだ。
兄「コピーっていうのは間違いだな。ナノマシンは短時間であらゆる無機物に転化できるから、何から何まで本物と変わらない」
つまり、生き物や一部の有機物を除けば、一度触れば全く同じ物が造れる、ということらしい。
俺「それって結構ヤバいんじゃないのか?」
兄「お前が悪用する様な奴じゃないって信じてるからな。まあ実験過程の副産物だとでも思っておけばいい」
これが、蘇った俺に与えられた力――複製。
兄貴に言わせると「ナノマシンの記憶・複写作用によって立体的なオブジェクトを構成する能力」だそうだ。
兄「コピーっていうのは間違いだな。ナノマシンは短時間であらゆる無機物に転化できるから、何から何まで本物と変わらない」
つまり、生き物や一部の有機物を除けば、一度触れば全く同じ物が造れる、ということらしい。
俺「それって結構ヤバいんじゃないのか?」
兄「お前が悪用する様な奴じゃないって信じてるからな。まあ実験過程の副産物だとでも思っておけばいい」
34 名前:わらじむし♀ :2007/01/12(金) 10:04:10.40 ID:csLiJ7FdO
再び何時間か眠った後、俺は着替えて病院を出た。
兄「お前が寝てた三日間で検査は全て済ませたからな。アパートは名義だけ変えたからそのまま使えばいい」
そうとわかればこんなところに長居する意味はない。すぐにタクシーを拾って、アパートに向かった。
再び何時間か眠った後、俺は着替えて病院を出た。
兄「お前が寝てた三日間で検査は全て済ませたからな。アパートは名義だけ変えたからそのまま使えばいい」
そうとわかればこんなところに長居する意味はない。すぐにタクシーを拾って、アパートに向かった。
大「ん……あんたは?」
大家に呼び止められた瞬間、ヒヤリと背筋に汗が流れる。
俺「あの、203の本上ですが…」
本上あゆみ。それが新しい俺の名前だ。
因みに本名は本上歩(あゆむ)。ただ読み方を替えただけの適当なネーミングで、本当に通じるのか不安になる。
大家に呼び止められた瞬間、ヒヤリと背筋に汗が流れる。
俺「あの、203の本上ですが…」
本上あゆみ。それが新しい俺の名前だ。
因みに本名は本上歩(あゆむ)。ただ読み方を替えただけの適当なネーミングで、本当に通じるのか不安になる。
大「本上…」
ふむ、と白い顎髭を撫でる老人。
大「本上あゆみさんね。二階の突き当たりの部屋ですよ、どうぞ」
通じてしまった!
大「ところで、本上さんはこの間までここにいた歩くんの御親戚かの?」
俺「ええっと…」
思わず言葉につまったが、適当にこじつけを作る。
俺「父のはとこの嫁の連れ子のまたいとこなんです」
大「ほうほう、道理で顔が似とると思った」
本当にこのじいさんは人の話を聞いているんだろうか?
ふむ、と白い顎髭を撫でる老人。
大「本上あゆみさんね。二階の突き当たりの部屋ですよ、どうぞ」
通じてしまった!
大「ところで、本上さんはこの間までここにいた歩くんの御親戚かの?」
俺「ええっと…」
思わず言葉につまったが、適当にこじつけを作る。
俺「父のはとこの嫁の連れ子のまたいとこなんです」
大「ほうほう、道理で顔が似とると思った」
本当にこのじいさんは人の話を聞いているんだろうか?
35 名前:しまうま♀ :2007/01/12(金) 10:37:50.22 ID:csLiJ7FdO
大「荷物が少ないようじゃが、家具は備え付けのものがあるからええじゃろ。前の人が色んなものを置いていったしの」
俺「はい」
大「何か必要なものがあれば言っとくれ。
最近なにかと物騒じゃから戸締まりはしっかりとの」
なんだかんだで人のいい老人なのだろう。最初に越して来たときも色々と世話になったことを思い出した。
広く感じるのは体が小さくなったからなのだろうか。そんなことを考えながら部屋を見渡す。
俺(服は前のがあるからいいか。
問題は――下着か)
タンスを空けてみたが、当然女物の下着なんてない。
俺(買うしかないか…)
下着売り場で悩む自分の姿を想像する。
俺「うぉっ、恥ずかし!」
思わず声に出てしまった。
ぴんぽーん
馬鹿みたいな事をやってるとインターホンが鳴った。
俺「ん、大家か?」
まだ何か用事があるのだろうか、とドアを開けた俺の目に飛び込んできたのは
女「……」
男「……ちょーこ?」
見慣れた少女の姿だった。
大「荷物が少ないようじゃが、家具は備え付けのものがあるからええじゃろ。前の人が色んなものを置いていったしの」
俺「はい」
大「何か必要なものがあれば言っとくれ。
最近なにかと物騒じゃから戸締まりはしっかりとの」
なんだかんだで人のいい老人なのだろう。最初に越して来たときも色々と世話になったことを思い出した。
広く感じるのは体が小さくなったからなのだろうか。そんなことを考えながら部屋を見渡す。
俺(服は前のがあるからいいか。
問題は――下着か)
タンスを空けてみたが、当然女物の下着なんてない。
俺(買うしかないか…)
下着売り場で悩む自分の姿を想像する。
俺「うぉっ、恥ずかし!」
思わず声に出てしまった。
ぴんぽーん
馬鹿みたいな事をやってるとインターホンが鳴った。
俺「ん、大家か?」
まだ何か用事があるのだろうか、とドアを開けた俺の目に飛び込んできたのは
女「……」
男「……ちょーこ?」
見慣れた少女の姿だった。
37 名前:あひる♀ :2007/01/12(金) 11:19:09.26 ID:csLiJ7FdO
俺「なんだ、ちょーこか……て、ぐふっ!」
…訂正します。
俺がドアを開けた直後、ちょーこはいきなり懐に飛び込んできた。
ち「あーくん!」
俺「ちょ、ちょーこ…」
不意のことで反応出来ず、身長が150センチに満たないちょーこの頭はモロに俺のみぞおちに直撃する。
ちょーこダイブをその身に受けて、俺は彼女を抱えたまま玄関に倒れた。
ち「あーくん、あーくん…!」
俺「お、落ち着けちょーこ…」
ち「……あれ?」
とりあえず我に返ったちょーこが、俺の顔をじっと見る。
俺「ちょーこ、久しぶりだな。
っても四日ぶりだけど」
ち「……女の人…」
俺「あ」
しまった。俺は今コイツの知ってる「あーくん」じゃないんだった。
ち「…まさか」
しかも、コイツ何か勘違いしている。
俺「だ、だから落ち着け。
俺は…」
ぶわっ、とちょーこの大きな瞳に涙が溜まる。
ち「あーくんの…」
俺「ま、待てってだから俺は」
ち「バカぁーーーーーーーーー!」
ちょーこパンチを顔面に受け、俺は再び宙に舞った。
俺「なんだ、ちょーこか……て、ぐふっ!」
…訂正します。
俺がドアを開けた直後、ちょーこはいきなり懐に飛び込んできた。
ち「あーくん!」
俺「ちょ、ちょーこ…」
不意のことで反応出来ず、身長が150センチに満たないちょーこの頭はモロに俺のみぞおちに直撃する。
ちょーこダイブをその身に受けて、俺は彼女を抱えたまま玄関に倒れた。
ち「あーくん、あーくん…!」
俺「お、落ち着けちょーこ…」
ち「……あれ?」
とりあえず我に返ったちょーこが、俺の顔をじっと見る。
俺「ちょーこ、久しぶりだな。
っても四日ぶりだけど」
ち「……女の人…」
俺「あ」
しまった。俺は今コイツの知ってる「あーくん」じゃないんだった。
ち「…まさか」
しかも、コイツ何か勘違いしている。
俺「だ、だから落ち着け。
俺は…」
ぶわっ、とちょーこの大きな瞳に涙が溜まる。
ち「あーくんの…」
俺「ま、待てってだから俺は」
ち「バカぁーーーーーーーーー!」
ちょーこパンチを顔面に受け、俺は再び宙に舞った。
39 名前:か♀ :2007/01/12(金) 11:56:08.65 ID:csLiJ7FdO
ち「ばかばかばかばかばかばかばかっ!」
俺「ぐえっ」
足をじたばたさせながら、決死のちょーこスリーパーをかける彼女を振りほどこうとするが、なかなか力が入らない。
ち「ばかばか、あーくんを返せっ!」
俺「い…い加減、に……しろっ!!」
落ちる直前で何とかはね飛ばし、ぜえはあと息を整える。
俺「…俺だよ」
ち「……ふぇ?」
俺「俺が歩。お前の彼氏」
目が点となるちょーこを見ながら、とりあえず俺は酸素の味を噛み締めた。
ち「ばかばかばかばかばかばかばかっ!」
俺「ぐえっ」
足をじたばたさせながら、決死のちょーこスリーパーをかける彼女を振りほどこうとするが、なかなか力が入らない。
ち「ばかばか、あーくんを返せっ!」
俺「い…い加減、に……しろっ!!」
落ちる直前で何とかはね飛ばし、ぜえはあと息を整える。
俺「…俺だよ」
ち「……ふぇ?」
俺「俺が歩。お前の彼氏」
目が点となるちょーこを見ながら、とりあえず俺は酸素の味を噛み締めた。
41 名前:ワニ♂ :2007/01/12(金) 12:17:18.59 ID:csLiJ7FdO
ち「…つまり、あーくんは女の子に生まれ変わったと」
俺「ま、そういうことだ」
事の顛末を聞いたちょーこは、半信半疑ながらも納得してくれたらしい。
ち「なんか、スケールが大きすぎて分かんなくなるね」
俺「当事者ですら信じられない話だからな」
言いながら、ずずずと二人同時に茶をすする。
俺「まあ妙な手術を受けたのは間違いないみたいだがな」
二つになったライターをかちゃかちゃいじる。
ち「あ、それが『複製』ってやつ?」
俺「ああ、らしいな」
ち「ふーん。
ね、それ一個ちょーだい」
俺「ライター?
いいけど、お前煙草吸わないじゃん」
ち「二人でお揃いなのがいーんだよ」
俺「あっそ」
もともと、このライターも目の前のちんまい少女――和泉桐子からのプレゼントだ。
桐子とは大学一年の時に出会って、もう三年目になる。今ではいわゆる「彼氏彼女」の関係だ。
彼女を「ちょーこ」と呼ぶのは俺だけだし、俺を「あーくん」と呼ぶのも彼女だけ。まあ少々恥ずかしい程仲良くやっているつもりだ。
ち「…つまり、あーくんは女の子に生まれ変わったと」
俺「ま、そういうことだ」
事の顛末を聞いたちょーこは、半信半疑ながらも納得してくれたらしい。
ち「なんか、スケールが大きすぎて分かんなくなるね」
俺「当事者ですら信じられない話だからな」
言いながら、ずずずと二人同時に茶をすする。
俺「まあ妙な手術を受けたのは間違いないみたいだがな」
二つになったライターをかちゃかちゃいじる。
ち「あ、それが『複製』ってやつ?」
俺「ああ、らしいな」
ち「ふーん。
ね、それ一個ちょーだい」
俺「ライター?
いいけど、お前煙草吸わないじゃん」
ち「二人でお揃いなのがいーんだよ」
俺「あっそ」
もともと、このライターも目の前のちんまい少女――和泉桐子からのプレゼントだ。
桐子とは大学一年の時に出会って、もう三年目になる。今ではいわゆる「彼氏彼女」の関係だ。
彼女を「ちょーこ」と呼ぶのは俺だけだし、俺を「あーくん」と呼ぶのも彼女だけ。まあ少々恥ずかしい程仲良くやっているつもりだ。
47 名前:か♀ :2007/01/12(金) 12:55:19.08 ID:csLiJ7FdO
俺「――ん?」
もしかして、コイツに頼めばさっきの問題も解決するんじゃないのか?
俺「なあ、ちょーこ」
ち「なに?」
俺「下着くれ」
がっ!
言うが速いか、俺の体が三たび宙を舞った。
俺「ぐはぁっ」
ち「変態!」
俺「違う!」
ボロボロになりながら、再び事情を説明する。
ち「でも、私も恥ずかしいし…」
俺「いいじゃん。お前の下着なんて何度も見たって」
ち「…ばか!」
顔を赤らめるちょーこ。何と言われようと退くわけにはいかない。
俺「な、頼むよ。
何枚かでいいからさ」
ち「……それに、私のやつで合うの?」
俺「ん?」
言われて、目線を下にやる。
今まで顔ばかり気にしていたが、胸や尻の肉付きが相当変わっている様だった。
思いきりデカいというわけではないが、まあそれなりにくびれもある。
続いてちょーこを見てみよう。
俺「……」
ち「……」
俺「……」
ち「……」
悲しい空気が流れた。
俺「――ん?」
もしかして、コイツに頼めばさっきの問題も解決するんじゃないのか?
俺「なあ、ちょーこ」
ち「なに?」
俺「下着くれ」
がっ!
言うが速いか、俺の体が三たび宙を舞った。
俺「ぐはぁっ」
ち「変態!」
俺「違う!」
ボロボロになりながら、再び事情を説明する。
ち「でも、私も恥ずかしいし…」
俺「いいじゃん。お前の下着なんて何度も見たって」
ち「…ばか!」
顔を赤らめるちょーこ。何と言われようと退くわけにはいかない。
俺「な、頼むよ。
何枚かでいいからさ」
ち「……それに、私のやつで合うの?」
俺「ん?」
言われて、目線を下にやる。
今まで顔ばかり気にしていたが、胸や尻の肉付きが相当変わっている様だった。
思いきりデカいというわけではないが、まあそれなりにくびれもある。
続いてちょーこを見てみよう。
俺「……」
ち「……」
俺「……」
ち「……」
悲しい空気が流れた。
52 名前:しまうま♀ :2007/01/12(金) 13:18:54.64 ID:csLiJ7FdO
てなわけで。
俺「まあ、これだけあれば十分だろ」
とりあえず駅前のデパートで、下着をはじめとする衣料品を適当に買い揃え、俺とちょーこは帰りの電車に駆け込んだ。
俺「そういやお前、なんで俺がアパートにいること分かったんだ?
連絡つかなかったはずなのに」
吊革にぶらぶらつかまりながら、ちょーこは答えた。
ち「お兄さんから電話あったんだよ」
俺「兄貴からぁ?」
ち「『夕方位にはアパートに帰ってるはずなので、また世話してやって下さい』って」
なんで兄貴がちょーこの家(もしかしたら携帯か?)の番号を知っているのかは考えないでおこう。
兄貴だしな。
俺「ま、お陰で助かったよ」
頭を撫でると、ちょーこはくすぐったそうに笑った。
どう頑張ってもこいつに21の風格は無い。
てなわけで。
俺「まあ、これだけあれば十分だろ」
とりあえず駅前のデパートで、下着をはじめとする衣料品を適当に買い揃え、俺とちょーこは帰りの電車に駆け込んだ。
俺「そういやお前、なんで俺がアパートにいること分かったんだ?
連絡つかなかったはずなのに」
吊革にぶらぶらつかまりながら、ちょーこは答えた。
ち「お兄さんから電話あったんだよ」
俺「兄貴からぁ?」
ち「『夕方位にはアパートに帰ってるはずなので、また世話してやって下さい』って」
なんで兄貴がちょーこの家(もしかしたら携帯か?)の番号を知っているのかは考えないでおこう。
兄貴だしな。
俺「ま、お陰で助かったよ」
頭を撫でると、ちょーこはくすぐったそうに笑った。
どう頑張ってもこいつに21の風格は無い。
53 名前:しかさん♀ :2007/01/12(金) 13:34:48.96 ID:csLiJ7FdO
次のホームで、人が波の様に電車に入って来た。どうやら帰宅時のラッシュに巻き込まれた様だ。
早速ちょーこを見失うが、どうせ降りる駅は町外れ。まだまだ時間はたっぷりある。
俺「――ん?」
妙な違和感を感じる。
ガヤガヤと騒がしい車内を軽く見渡したが、特に変な様子は無い。
気のせいか、と溜め息を吐いた瞬間、再び妙な感覚に気付く。
俺(間違いない…)
感覚の正体は、尻だ。
俺(早速痴漢かよ…)
ジーンズのラインにそって、ゆっくりと動くいやらしい手付き。
最初は手の甲を押し付けるような動きだったのが、段々掌全体で撫でる動きに変わる。
俺(――上等だこの野郎)
痴漢も、流石に相手の正体が男だとは思っていないだろう。
女の弱気な心に漬け込む変態には、少々痛い目を見て貰う。
次のホームで、人が波の様に電車に入って来た。どうやら帰宅時のラッシュに巻き込まれた様だ。
早速ちょーこを見失うが、どうせ降りる駅は町外れ。まだまだ時間はたっぷりある。
俺「――ん?」
妙な違和感を感じる。
ガヤガヤと騒がしい車内を軽く見渡したが、特に変な様子は無い。
気のせいか、と溜め息を吐いた瞬間、再び妙な感覚に気付く。
俺(間違いない…)
感覚の正体は、尻だ。
俺(早速痴漢かよ…)
ジーンズのラインにそって、ゆっくりと動くいやらしい手付き。
最初は手の甲を押し付けるような動きだったのが、段々掌全体で撫でる動きに変わる。
俺(――上等だこの野郎)
痴漢も、流石に相手の正体が男だとは思っていないだろう。
女の弱気な心に漬け込む変態には、少々痛い目を見て貰う。
55 名前:しまうま♂ :2007/01/12(金) 14:02:27.29 ID:csLiJ7FdO
俺(――とはいえ)
姿勢が問題だ。
右手で紙袋を持ち、左手で吊革に捕まっている今の状況では何も出来ない。
勿論紙袋を肩にかけるか床に落とせば右手が自由になるが、女の片手では如何ともし難い。
俺(――しゃあないな)
いちかばちかだ、左手も使って一気に捻り上げる。
混み混みの満員電車なら派手に体勢を崩すこともないだろう。
それが誤算だった。両手を開いた瞬間、カーブに突入した電車の中は一気に歪み、押し潰されそうになった俺は思わず窓際に手を付いてしまったのだ。
「わー!」
どこかでちょーこの声が聞こえる。どうやらあいつも乗客に潰されたらしかった。
俺(こりゃまずい…)
万事急す、と思ったその時
俺(――!)
痴漢が、なんと俺のジーンズの中に手を入れてきた。
男物のジーンズはぶかぶかな上、買った下着もまだ紙袋の中。尻の嫌悪感が何倍にも広がる
こっちが身動きとれなくなったのを、明らかに狙ってきた。更に顔を寄せ、大きく深呼吸をする痴漢。
俺「……野郎!」
もう限界だった。
ありったけの力を込めて右手を窓から離し、ぐっと握り締める。
再び開いた掌には、銀色のジッポライターがあった。
俺(――とはいえ)
姿勢が問題だ。
右手で紙袋を持ち、左手で吊革に捕まっている今の状況では何も出来ない。
勿論紙袋を肩にかけるか床に落とせば右手が自由になるが、女の片手では如何ともし難い。
俺(――しゃあないな)
いちかばちかだ、左手も使って一気に捻り上げる。
混み混みの満員電車なら派手に体勢を崩すこともないだろう。
それが誤算だった。両手を開いた瞬間、カーブに突入した電車の中は一気に歪み、押し潰されそうになった俺は思わず窓際に手を付いてしまったのだ。
「わー!」
どこかでちょーこの声が聞こえる。どうやらあいつも乗客に潰されたらしかった。
俺(こりゃまずい…)
万事急す、と思ったその時
俺(――!)
痴漢が、なんと俺のジーンズの中に手を入れてきた。
男物のジーンズはぶかぶかな上、買った下着もまだ紙袋の中。尻の嫌悪感が何倍にも広がる
こっちが身動きとれなくなったのを、明らかに狙ってきた。更に顔を寄せ、大きく深呼吸をする痴漢。
俺「……野郎!」
もう限界だった。
ありったけの力を込めて右手を窓から離し、ぐっと握り締める。
再び開いた掌には、銀色のジッポライターがあった。
57 名前:か♂ :2007/01/12(金) 14:32:23.58 ID:csLiJ7FdO
素早く手を後ろに回し、火を着ける。
とっさな上、狭いジーンズの中は窮屈で身動きがとれなかったらしく、痴漢の手首に直接火が当たった。
男「……!!?」
声にならない声をあげて、痴漢が後ろにのけぞる。
僅かな隙間が出来た瞬間、俺は振り向き
俺「調子こいてんじゃねぇーーーっ!」
ちょーこ直伝の右ストレートを、男の顔面にぶちかました。
素早く手を後ろに回し、火を着ける。
とっさな上、狭いジーンズの中は窮屈で身動きがとれなかったらしく、痴漢の手首に直接火が当たった。
男「……!!?」
声にならない声をあげて、痴漢が後ろにのけぞる。
僅かな隙間が出来た瞬間、俺は振り向き
俺「調子こいてんじゃねぇーーーっ!」
ちょーこ直伝の右ストレートを、男の顔面にぶちかました。
次のホームで男を警察に突き出し、車内でもみくちゃにされたちょーこも救出。
意気揚々とアパートに帰ってきた時にはもう日が沈んでいた。
ち「大変だったねー」
俺「全くだ」
ちょーこは髪も服もしわくちゃになり、俺も袖口が軽く焦げ付き散々な格好となっている。
ち「今日はあーちゃんちに泊まってくよ」
俺「おう、そうしとけ。
…て、何だ『あーちゃん』って」
ち「だって、女の子だし」
俺「…まあ、何でもいいけどな」
ち「早く『あーくん』に戻れるといいね」
俺「もうこんな事はこりごりだからな…ん?」
そんなやりとりの途中、まだ残る妙な違和感に気付く。
ち「どしたの?」
俺「なんか忘れてないか…?」
ち「……」
俺「……」
俺&ち「…あ!」
意気揚々とアパートに帰ってきた時にはもう日が沈んでいた。
ち「大変だったねー」
俺「全くだ」
ちょーこは髪も服もしわくちゃになり、俺も袖口が軽く焦げ付き散々な格好となっている。
ち「今日はあーちゃんちに泊まってくよ」
俺「おう、そうしとけ。
…て、何だ『あーちゃん』って」
ち「だって、女の子だし」
俺「…まあ、何でもいいけどな」
ち「早く『あーくん』に戻れるといいね」
俺「もうこんな事はこりごりだからな…ん?」
そんなやりとりの途中、まだ残る妙な違和感に気付く。
ち「どしたの?」
俺「なんか忘れてないか…?」
ち「……」
俺「……」
俺&ち「…あ!」
電車の通路には、白い紙袋がぽつんと置かれていたのだった。
〔第一話終了〕