466 :佐白 :2007/08/05(日) 00:45:13.93 ID:9pqZDuQ0
『シガレット→しがれっと』第四話
『シガレット→しがれっと』第四話
「ま、待った!ちょっと待って!」
躊躇いもなくランジェリーショップに入っていこうとするマキの腕を引き慌てて止める。
振り返ったマキは哀れみを含んだ笑顔で小さくため息を吐いた。
「観念しなよぉ~アキ姉ぇ」
「いや、でも、なぁ・・・。俺はここで待ってるからマキに買ってきてもらうのは出来ないか?」
「だ~め!サイズを測らないと駄目だし、スケスケの下着でも文句言わせないよ~」
どうやら年貢の納め時、男のプライドを捨てなければいけないようだ。
・・・まあ、男のプライドなんて、既にスカートを着た時点で無いにも等しいけどな。
勇気を出してランジェリーショップに足を踏み入れる。
(うひゃぁ~)
店内は想像通り男にとってはピンクで夢のような空間だった。
右を向いても左を向いても、目に映るのはブラジャーやショーツのみ。正直、目のやり場にすごく困る。
「いらっしゃいませー」
不意に後方から声をかけられ、慌てて振り向くとそこには若い女性店員が笑顔で立っていた。
「何かお探しのものはございますか?」
「あー、えっと、その・・・」
突然の接客に戸惑っていると、そばに居たマキが一歩前に出る。
「このお姉ちゃんの下着を買いに着たんですけど、サイズを測っていただけますか?」
「かしこまりました」
マキの要望に店員は控えめに頷くと、懐からメジャーを出し手早く俺の体に巻きつけて測りだした。
467 :佐白 :2007/08/05(日) 00:51:02.48 ID:9pqZDuQ0
測定結果が出ると、マキはなにやら複雑そうに俺の胸と自分の胸を交互に見比べ、ガクリと肩を落とした。
「先ほど測りましたサイズですと、こちらに並んでいるものがちょうどかと」
案内された場所には下着が壁に陳列されている。しかしまあ、いろんな下着があるんだなぁ。
一つ手にとって見るが、それは下着というよりどう考えても紐にしか見えない。
「それではごゆっくり」
そう言い残し、店員は別の客の接待に向かっていった。
「さあアキ姉ぇ、好きなのを選んでよ」
「好きなのをって言われてもなぁ・・・」
一通り目を通し、青と白のチェック柄のシンプルな下着を手に取ってみた。
「へ~、アキ姉ぇって清楚なのが好きなんだぁ~」
隣ではマキの奴がニヤニヤと笑っている。とても気まずい。
「う、うるせっ!こんなもん誰に見せるわけでもないし何でもいいんだよ」
そう言って適当に何着か選ぶ。自然と自分好みになってしまうのは男の性と言うことで・・・。
「店員さんに言って試着させてもらう~?恥ずかしいなら私がモデルやってあげようかぁ?」
マキは俺が持っていた下着の一つを奪うと、自分の体に重ねた。
「ばっ、バカ言ってないでとっとと買うぞ!」
「つまんないの~」
危うく妹の下着姿を想像してしまうところだった。
468 :佐白 :2007/08/05(日) 00:53:18.34 ID:9pqZDuQ0
こうして、何とか全ての買い物は終わった。俺は男にとって大切な何かを一日で失った気分だ。
それにしても、最近あまり構っていなかったせいかマキは終始はしゃいでいた。
今日一日振り回されてばかりだったが、こうも喜ばれると悪い気はしない。
たまにはこうして一緒に出かけてやるのも悪くないかもな。
そう思った一日だった。
無事家に帰ると、リビングから父さんが飛び出してきた。よほど心配していたのだろう。
「はい、アキ姉ぇ。これは私からのプレゼントだよ~」
そう言ってマキから手渡されたのはランジェリーショップの紙袋だった。
「大切に使ってね」
妹から女物の下着をプレゼントされるのは複雑だったが、一応受け取って中身を─
取り出して思考が停止した。
もちろん、そのプレゼントを隣で見ていた父さんも硬直していた。
マキからのプレゼント、それは俺があの店で最初に手に取った紐下着だった・・・。
躊躇いもなくランジェリーショップに入っていこうとするマキの腕を引き慌てて止める。
振り返ったマキは哀れみを含んだ笑顔で小さくため息を吐いた。
「観念しなよぉ~アキ姉ぇ」
「いや、でも、なぁ・・・。俺はここで待ってるからマキに買ってきてもらうのは出来ないか?」
「だ~め!サイズを測らないと駄目だし、スケスケの下着でも文句言わせないよ~」
どうやら年貢の納め時、男のプライドを捨てなければいけないようだ。
・・・まあ、男のプライドなんて、既にスカートを着た時点で無いにも等しいけどな。
勇気を出してランジェリーショップに足を踏み入れる。
(うひゃぁ~)
店内は想像通り男にとってはピンクで夢のような空間だった。
右を向いても左を向いても、目に映るのはブラジャーやショーツのみ。正直、目のやり場にすごく困る。
「いらっしゃいませー」
不意に後方から声をかけられ、慌てて振り向くとそこには若い女性店員が笑顔で立っていた。
「何かお探しのものはございますか?」
「あー、えっと、その・・・」
突然の接客に戸惑っていると、そばに居たマキが一歩前に出る。
「このお姉ちゃんの下着を買いに着たんですけど、サイズを測っていただけますか?」
「かしこまりました」
マキの要望に店員は控えめに頷くと、懐からメジャーを出し手早く俺の体に巻きつけて測りだした。
467 :佐白 :2007/08/05(日) 00:51:02.48 ID:9pqZDuQ0
測定結果が出ると、マキはなにやら複雑そうに俺の胸と自分の胸を交互に見比べ、ガクリと肩を落とした。
「先ほど測りましたサイズですと、こちらに並んでいるものがちょうどかと」
案内された場所には下着が壁に陳列されている。しかしまあ、いろんな下着があるんだなぁ。
一つ手にとって見るが、それは下着というよりどう考えても紐にしか見えない。
「それではごゆっくり」
そう言い残し、店員は別の客の接待に向かっていった。
「さあアキ姉ぇ、好きなのを選んでよ」
「好きなのをって言われてもなぁ・・・」
一通り目を通し、青と白のチェック柄のシンプルな下着を手に取ってみた。
「へ~、アキ姉ぇって清楚なのが好きなんだぁ~」
隣ではマキの奴がニヤニヤと笑っている。とても気まずい。
「う、うるせっ!こんなもん誰に見せるわけでもないし何でもいいんだよ」
そう言って適当に何着か選ぶ。自然と自分好みになってしまうのは男の性と言うことで・・・。
「店員さんに言って試着させてもらう~?恥ずかしいなら私がモデルやってあげようかぁ?」
マキは俺が持っていた下着の一つを奪うと、自分の体に重ねた。
「ばっ、バカ言ってないでとっとと買うぞ!」
「つまんないの~」
危うく妹の下着姿を想像してしまうところだった。
468 :佐白 :2007/08/05(日) 00:53:18.34 ID:9pqZDuQ0
こうして、何とか全ての買い物は終わった。俺は男にとって大切な何かを一日で失った気分だ。
それにしても、最近あまり構っていなかったせいかマキは終始はしゃいでいた。
今日一日振り回されてばかりだったが、こうも喜ばれると悪い気はしない。
たまにはこうして一緒に出かけてやるのも悪くないかもな。
そう思った一日だった。
無事家に帰ると、リビングから父さんが飛び出してきた。よほど心配していたのだろう。
「はい、アキ姉ぇ。これは私からのプレゼントだよ~」
そう言ってマキから手渡されたのはランジェリーショップの紙袋だった。
「大切に使ってね」
妹から女物の下着をプレゼントされるのは複雑だったが、一応受け取って中身を─
取り出して思考が停止した。
もちろん、そのプレゼントを隣で見ていた父さんも硬直していた。
マキからのプレゼント、それは俺があの店で最初に手に取った紐下着だった・・・。