240 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:27:13.92 ID:9/cKQ1c0
- 幸福と不幸の間に関係式はあるのだろうか
- 幸福と不幸を足したら0になるという説もある
- 幸福と不幸は生まれた時点で決められた数与えられているという説も・・・
どっちが正しいの?
- 両方正しい
- 今幸福を味わっている人に対する渇であり、今不幸を味わっている人に対する励ましであるからだ
じゃあ、どっちが間違ってるの?
- 両方間違っている
- 幸福や不幸は、1や2で表せるものではない、虚数でも無理、記号なんか論外
- 君はどっちだと思う?
僕は・・・
どっちも正しい、けど間違っている。幸福を求めることに、理屈はいらない。それは僕が『人間』だから
- 私には分からない考え・・・ね
241 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:28:22.63 ID:9/cKQ1c0
第零話
第零話
-???-
「結果は?」
深刻な顔をした男が、その部下らしき女に尋ねている
「悪くありません、操作もほぼ完璧に出来ています」
「そうか・・・ようやくスタッフに報告出来る」
男の顔に安堵の色が浮かぶ
「下がっていいぞ」
「はい」
女が部屋から出て行く、男は椅子にもたれ掛かるように座った
部屋に人が入ってきた、さっきの女とほぼ入れ違いだ
「・・・スタッフ」
「どうだったの?」
男がスタッフと呼ぶ相手・・・つまりこの『実験』の計画者であり、トップでもある
「部下の報告によると、99%成功と言えます」
残りの1%に該当する部分は、この男にも分かっていない
ただ、スタッフの命令、願望を100%叶えている自信がない。それがこの1%である
「そう・・・残りの1%が気になる・・・けど」
242 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:29:11.03 ID:9/cKQ1c0
部下が持ってきた報告書を見る
242 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:29:11.03 ID:9/cKQ1c0
部下が持ってきた報告書を見る
一枚一枚、それも紙に穴が開いてしまうのではないか、というぐらい入念に見ている
「私の目には・・・その1%は見当たらない」
それは男もそうであった
スタッフに対する恐怖、怯えから生まれた無意識の1%である
見当たるわけがない
男はスタッフの命令を待った、スタッフの命令は絶対である
「計画を・・・実行する」
それが・・・始まりであった
243 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:29:44.49 ID:9/cKQ1c0
第一話
243 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:29:44.49 ID:9/cKQ1c0
第一話
不思議な夢を見た
誰かが僕に話しかけてくる夢
いや、話しかけてくる、ではない
僕も話しかけていた、会話は一方通行ではなかった
何かを聞かれ、そして何かを答え、そして何かが起きた
うーん、夢って何で起きると記憶が曖昧(3cm)になるんだろ
中途半端に覚えていることほど気味の悪いものはない、はっきり思い出したい
でもそれですぐに思い出せたら苦労しないんだけどさ・・・
「あー超お腹減ったし♪」
そんなこんなで考え事をしていたらうるさい奴がやってきた
「ヴ~」
「どうした?腹痛いのか?ゴーWC、ヤンキーゴーホーム」
人のことお構いなしに呑気な奴だ、というかヤンキーゴーホームって何だよ、家帰れってか
「うるさい奴が人の思考邪魔して頭が痛くなったんだ」
「そいつは残念だったな、ゆっくり考え事してってね!」
244 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:30:11.67 ID:9/cKQ1c0
残念なのはお前の頭の中だ、というか最初のあれなんだよ、かなりヤバイ台詞だな、頭と著作権的な意味で
244 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:30:11.67 ID:9/cKQ1c0
残念なのはお前の頭の中だ、というか最初のあれなんだよ、かなりヤバイ台詞だな、頭と著作権的な意味で
「まあいいから昼飯食べようぜ、勇人(ゆうと)」
「へいへい」
僕の名前は秋空勇人(ゆうと)、現役のピチピチ高校生、リアルタイムで青春を謳歌中さ!
ちょっと自分が言うと気持ち悪くなりそうな文だ・・・もちろんこんな酷いキャラじゃないぞ、画面の前の君
「今日は面白い物持ってきたんだぜ」
そして僕の目の前で自分の鞄を漁っているのが西田真希(にしだまさき)である
「マキちゃんコレクションまた増えたのか」
「だから俺の名前はマサキだっていつも言ってるだろ!」
そう、本名はマサキなのだが、マサキで変換しても真希とは出ない、変換したいときはマキと入力するしかない、だから僕はマキと呼んでいる
それをネタによくからかっているのだ、ちなみにれっきとした男、マキって呼び方だと女って勘違いしそうになるからな
「だってマサキじゃ変換出ないからさ、不便じゃん」
「いや不便じゃないって!話し言葉に変換とか関係ないから!」
「ビル・ゲイツに認められてないのが悔しいんだろ・・・分かるよその気持ち・・・」
「いやビル・ゲイツとか全然関係ないから!変換とか関わってないからあの人!というか勇人って変換で普通に出るじゃん!気持ち分かってないよ!」
それにしてもこのマキちゃん、ノリノリである
245 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:30:33.67 ID:9/cKQ1c0
「で、マキが今日持ってきたのって何さ」
245 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:30:33.67 ID:9/cKQ1c0
「で、マキが今日持ってきたのって何さ」
「あ、そうそう。ちょっと待ってて」
少し話題を逸らすとすぐ忘れるという、やっぱり頭の可愛そうな子なのかもしれない・・・
「今失礼なこと考えなかった?」
「ソンナコトアリマセンヨ」
「何で片言なんだよ!」
- 相手は読心術の使い手のようだ、いかんいかん、気をつけないと
そしてマキが取り出したのは一冊の本だった
タイトルを見ると『フロイトの夢判断』と書いてあった
「何この凄そうな本は」
「オーストリアの有名な精神分析学者、フロイトが書いた本を参考に書かれた本だ、これで夢を分析出来るらしい」
そういえばそんな偉そうな学者の名前何処かで聞いたことがある、しかし
「そんな難しそうなこと、マキに出来るのか?」
「それがこの本は普通の人でも分析出来るように、分かりやすく書かれているんだ」
「それってつまり、ただの夢占いじゃね・・・?」
246 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:30:57.19 ID:9/cKQ1c0
途端に胡散臭くなった
246 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:30:57.19 ID:9/cKQ1c0
途端に胡散臭くなった
「占いじゃねーぞ!れっきとした精神、心理学に基づいたものだ!」
そんなこと言われても僕、心理学の勉強なんかしてないから分かるわけがない
まあそこまで言うなら、付き合ってやるのも悪くはないかな
「というわけで勇人が今日見た夢の内容教えてくれ」
「いや何で僕が最初の実験台なんだよ、自分の夢でやったらどうなんだよ」
例え実害がなくても、最初の実験台って嫌だよね、なんか知らないけど
「そうしたいところなんだが、あいにく俺今日見た夢忘れちゃってさ」
なんだ、結局僕と同じなのか
しかしうるさいマキのことだから、僕も忘れたよ、なんて言ったら絶対思い出せって言ってくるだろう
ある程度覚えているけど、夢にしては少しリアルだったから言いたくなかった
「今日見た夢ね・・・」
思い出すフリをして適当な夢を考える、夢って訳分からないものだし、カオスな想像でもなんとかなるだろ
「たしか『大きな蛇』が『海』に潜り込んだと思ったら『剣』で『りんご』を突き刺しまくってる夢だった」
我ながらカオスな夢を思いついたものだ
247 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:31:20.42 ID:9/cKQ1c0
これはこれでどういう結果が出るか楽しみかも
247 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:31:20.42 ID:9/cKQ1c0
これはこれでどういう結果が出るか楽しみかも
「なになに・・・蛇に海に剣にりんごか・・・」
まあ流石にここまで変な夢だと該当するものとか無さそう・・・
「あった!」
おいおいマジかよ
「どれどれどんな結果がでた?」
あれ程カオスな物でもしっかり分析出来るとは、やっぱりフロイト先生って凄いのか・・・?
「えーっと、欲求不満、主に性的な意味で」
- はい?
「あー・・・えっと、勇人」
何か可愛そうなものを見る目だ・・・止めろ・・・!僕をそんな目で見るな!
「この話は無かったことにしよう、さあ昼飯タイム再開だ」
なん・・・だと・・・・、いやいやちょっと待ってくださいよマキさん
「ちょっと待った!それ違うんだ!」
「まあ・・・否定はしないさ、そんなもんだろ?男って」
248 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:31:41.22 ID:9/cKQ1c0
違う!違う!それは・・・それは・・・
248 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:31:41.22 ID:9/cKQ1c0
違う!違う!それは・・・それは・・・
「誤解だああああああああああああああああああ!」
昼休み、教室に僕の声が反響する
僕にとっての日常
僕にとっての幸福
僕にとっての不幸
何もかもが変化する、今とは違った世界
少し不思議で、少し甘い世界
これまでの世界が、今日で終わりだとは・・・・
このときの僕が、そんなこと知るはずもなかったんだ・・・
249 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:32:41.53 ID:9/cKQ1c0
249 : ◆wjOmYNm0Aw :2008/10/06(月) 22:32:41.53 ID:9/cKQ1c0
第1章:その名はドッペルゲンガー