創作発表板 私メリーさん まとめ @ ウィキ

私メリーさん。いま貴方の後ろにいるの

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iammary

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148 :創る名無しに見る名無し:2008/11/22(土) 23:06:38 ID:yoCljRi5

「私メリーさん。いま貴方の後ろにいるの」
 しかし、男は振り向こうという素振りを見せない。
「ふっ、残像だ」
 男の背中が霧の様にかき消える。迂闊だった。まさか補足に失敗するなんて。
「けど、俺のバックを一瞬でもとるなんてやるじゃないか」
 今度は後ろから声がする。これではまるでさっきと立場が逆。ぎりと思わず唇を噛んだ。
「そう。でも……」
 私はメリーさん!! 例えこの男が私の死であっても最後まで諦めない。
「はっ」
「なかなかの速さだ。なかなかいいメリーさんだな」
 男は軽口を叩きながらも私の動きを捉えていた様だった。
「性懲りもなくまたバックかい?」
「くっ」
 男の腕がぐいと伸びた様に感じる。私の腕と胸倉を掴み、ひょいと身体を反転させて投げ飛ばす。――背負い投げだ。
「げほげほ」
「失礼。まぁ、ストーカーもどきはやめろよ。次、悪さしたら――」
「祓う気……?」
 男はぽりぽりと頭をかきながらぼやく。
「俺だって好きでやってる訳じゃないさ。なんていうかその家柄ってゆーか」
「そう流石ね。寺生まれのT……」

 バイクにまたがり、去って行く大きな背中。私はその背中に手をあてそっと寄り添いたい――。
 なんて、そんな願望が私の中でいっぱいになってゆくのを感じた。

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