創作発表板 私メリーさん まとめ @ ウィキ

メリーさんエフェクト

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iammary

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247 :メリーさんエフェクト 1/2:2008/11/26(水) 12:44:58 ID:gWddG+gd

全世界、全人民に告ぐ。私はメリーさんだ」

 社員食堂のテレビが突如として変な映像を映す。
 おかしい、さっきまではお昼の定番長寿番組を見ていたはずなのだが。

「あれ、なんですかね」

 テレビを指さして先輩に訪ねる。

「春だからね」

 回答になってない。が感覚の領域では納得している自分を感じる。
 日本人に共通して「春」のイメージがあることの証明になるかもしれない。
 季節を理由にするのは季節のある国にしかできないな、と思った。

「繰り返す、私はメリーさんだ」

 テレビは相も変わらず意味不明な映像を映し続けている。
 青一色の背景。少女が自分の名前を連呼している。
 他の社員達は全員奇妙なものを映すテレビにくぎ付けになっている。

「あっ、ちょっと待ってくださいよ」

 先輩が席を立ったので呼び止める。
 後輩の食事が終わるのくらい待ってくれてもいいじゃないか。

 いや、そこで待たないのが先輩らしい、とも思える。
 我ながら矛盾してる。でも矛盾は嫌いじゃない。


248 :メリーさんエフェクト 2/2:2008/11/26(水) 12:46:55 ID:gWddG+gd

「メリーさん、知らないの」

 知らないから聞くんだろうが、とは口が裂けても言えない。
 コクッ、と頷いて次の発言を促す。

 先輩から話し始めること自体、珍しいケースだ。
 変なことを口走って機嫌を損ねてはいけない。

 先輩が説明してくれたメリーさんとはよくある怪談だった。
 デモンズウォールみたい、と思ったけど口にはしない。口は災いのもとだ。

「で、そのメリーさんがなんでテレビに」

「春だからね」

 興味がない、という意味だと判断。
 先輩は私が食べ終わったのを見て返却口まで早足で歩いていく。

 その後ろを慌てて追いかけてい行く。
 先輩の後ろには私がいる。

 ふと、先輩がテレビに映るメリーさんに大して何にも思わなかったのは、
 後ろに常に私がいるからじゃないか、という考えが浮かぶ。

「俺の背後には君がいるから」

 そんな台詞が先輩の口から出るのを想像する。
 気持ちが悪い。先輩の柄ではない。

 それに私がいたいのは先輩の後ろではなく隣なのだ。

 さっきのメリーさんの怪談にはオチがない。
 語り手が後ろにいるメリーさんにどうされたのか分からない。

 そこに想像の余地があるから広まった話なのかもしれない。
 後ろの次はどうなったのか、その疑問への回答は人の数だけあるに違いない。 

 今はまだ先輩の後ろでも、いつか先輩の隣にいれるように。
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