ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

蒼星石と保健室

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匿名ユーザー

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「先生ー。マジで頭が痛いっすよぉ」
保健室で、椅子をクルクルと回転させながら不調を訴えた。もちろん嘘である。
本当はいたって健康である。だが、今日はどうしても授業を受ける気にはならなかった。
ただなんとなくだるいから。理由は、ただそれだけである。
保「じゃあこれで熱はかってー」
保健室の先生が体温計を差し出す。男子生徒は疑り深いやつめと心の中で舌打ちをした。
しかしここではからなかったら、きっと追い出されるだろう。男子生徒は渋々と体温計を受け取ると、脇に入れた。
先生が後ろを向いた瞬間、生徒は脇から体温計を取り出すと、その先端を擦り始めた。
そしてちょうど良いところで再び体温計を脇に入れた。程なくして電子音が鳴る。
数値が出た。37.4度。最高の結果だ。男子生徒はそれを先生に差し出した。
「先生、やっぱ熱があるっぽいっす」
保「あら、本当ね。どうする?今日はもう帰る?」
帰る支度をするのもまた面倒だった。とりあえず、授業をサボれればそれで良い。
「いや、少し横になれば大丈夫かもしれないっす」
保「そう、それじゃあそこのベッドで休んでなさい」
男子生徒は、二つあるベッドのうち奥のベッドに入ると、カーテンを閉めた。
「楽勝だな…。金糸雀先生には悪いけど、現国はサボらせてもらうかな…」
一人呟くと、掛け布団を羽織った。


それから休み時間ももう少しで終わるという頃に、保健室の戸が開いた。
蒼「し、失礼します・・・」
保「蒼星石先生!?どうしたんですか!顔色が悪いですよ!!」
先生が来たということを知り、男子生徒は一瞬緊張した。まさか自分を連れ戻しにきたのだろうか。そう思った。
だが、話を聞いていると、そうでないことがすぐに分かった。
蒼「ちょっと、風邪をこじらせてしまったみたいで…。薬を頂いたらすぐに授業へ行きますので…」
男子生徒は、心の中で是非そうしてくれと願った。
保「なに言ってるんですか!?ちょっと熱をはかってください」
蒼「は、はい・・・」
しかし保健室の先生は食い下がった。男子生徒は再び心の中で舌打ちをした。
保「まぁ!38.6度もあるじゃないですか!!ここで休んでいってください!」
蒼「い、いえ…。今から授業がありますから…」
保「そんな状態で授業が出来るわけないでしょう!?」
蒼「でも、生徒に迷惑がかかってしまいます…」
保「そのまま授業をして生徒に風邪をうつすほうがよっぽど迷惑です!」
保健室の先生が叱るような口調で言った。病人をこのまま放っておく訳にはいかないのだろう。
保「とにかく、職員室へは私が連絡してきます。蒼星石はそこのベッドで横になっていてくださいね!!」
蒼「す、すいません…」
保健室の先生はそう言うと、保健室を出て行ってしまった。
(おいおいおい・・・蒼星石先生と二人っきりかよ。ていうかベッドで休むって事はこっち来るって事かよ。勘弁してくれよ…)
男子生徒はそう心の中で呟くと、掛け布団を頭まで被った。
蒼星石がこちらに向かってくる気配を感じた。何かにぶつかる音がする。まともに歩くことすらできないのであろうか。
カーテンが開けられた。
(くそぅ…こうなるくらいだったらだるくても授業に行けばよかったぜ…)
男子生徒が後悔していると、蒼星石が倒れこんだ音と共に、ベッドが大きく軋んだ。
しかし軋んだのは男子生徒の寝ているほうのベッドだった。


(え・・・?)
すぐ後ろで、蒼星石の苦しそうな息遣いが聞こえる。
(ま・・・さ・・・か・・・?)
男子生徒は恐る恐る掛け布団から頭を出すと、ゆっくりと振り返った。
目の前に、蒼星石の顔が現れた。蒼星石は、空いているほうのベッドでは無く、男子生徒のいる方のベッドに倒れこんだのだった。
(ま、マジかよ!?)
目の前で、蒼星石が苦しそうに息を吐く。男子生徒は、とりあえず抜け出そうとした。
この状態はいろんな意味で危険だった。
しかし、もぞもぞと移動しようとした男子生徒を、蒼星石が抱きしめた。
(は、はぁ!?)
蒼星石の腕から逃れようとしたが、しっかりと抱きしめられて、抜け出せなかった。
「おい、蒼星石先生・・・!!」
蒼「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
男子生徒の問いに、蒼星石は苦しげに呼吸をするだけだった。
「先生ってば…!!」
何度も呼びかけたが、結果は一緒だった。どうやら気を失っているらしい。
お互いの顔は、拳一つ分も無いほどに近づいていた。蒼星石の額には、大粒の汗が滲んでいた。
暫くこの状態が続くと、男子生徒は落ち着きを取り戻し始めた。
そして、それと同時にあらぬ気持ちがドロドロと体中を駆け巡った。
今、目の前にいるのは男女共に人気のある美人教師。ベッドの上で抱きつかれている。
しかも、相手はいま気を失っている。
蒼「ん・・・はぁ…んふぅ…ん、ふぁ…」
苦しげな息を吐く唇が、妙に色っぽく思えた。


気づいた時には、男子生徒は蒼星石の唇に自らの唇を近付けていた。
いけないことだということは分かっていたが、目の前にいる蒼星石の前には理性など役に立たなかった。
「ここでしなきゃ…男が廃るっての…」
蒼星石の吐息が、唇にかかる。二人の唇が重なろうとしたその瞬間、蒼星石の目がカッと見開いた。
蒼「う・・・んん・・・君は・・・?」
「あ・・・ああ・・・・」
男子生徒は言葉を出せなかった。退学、いや死すら覚悟した。
蒼「君が寝てたのか…。ごめん、気付かなかったよ…」
蒼星石はそう言うと、男子生徒のベッドから抜け出し、もう一つのベッドへ倒れこんだ。
まだ思考は上手く働いていないのだろうか。男子生徒と一緒のベッドで寝ていたこと、抱きしめていたこと、
そして、唇を奪われそうになっていたことに関して何にも思っていないようだった。
蒼星石はもう一つのベッドに沈むと、静かに寝息をたてた。
「あ、あぶねぇーーーー」
男子生徒は、全身にドッと嫌な汗をかいた。そして自分の早まった行動を後悔した。

その後、蒼星石は一時間ほど眠ると、ケロッと元気になり授業に復活した。
一方男子生徒は、蒼星石に風邪をうつされたのか38.7度の高熱を出し、親に迎えに来てもらい家へ帰った。

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