私は桑田由奈。
このクラスの委員長と言う立場にある。
このクラスの委員長と言う立場にある。
今の時間は日本史。
教壇に居るのは、今年から入った新任の薔薇水晶と言う先生。
今のクラスの状況は最悪だ。いたるところで、雑談がさも平然と行われている。
私は委員長と言う立場上、彼らの行為を止めなければならない。
教壇に居るのは、今年から入った新任の薔薇水晶と言う先生。
今のクラスの状況は最悪だ。いたるところで、雑談がさも平然と行われている。
私は委員長と言う立場上、彼らの行為を止めなければならない。
しかし、私が注意しても雑談は止まらなかった。
彼らは、先生が新任である事と、気弱そうな性格、その二つを逆手にとって行為を続ける。
他の先生での授業では、彼らはいたって真面目そうに授業に臨んでいる。
なぜならば、他の先生の前では、彼らは手も足も出ないからである。
彼らは、先生が新任である事と、気弱そうな性格、その二つを逆手にとって行為を続ける。
他の先生での授業では、彼らはいたって真面目そうに授業に臨んでいる。
なぜならば、他の先生の前では、彼らは手も足も出ないからである。
彼らは狡賢い。焦らず、確実な方法をとる。
教壇の薔薇水晶先生は、今にも泣き出しそうだ。
雑談は止まらない。
「…この授業は…、自習に…します……」
そう言って、先生は教室を出て行ってしまった。
彼らは、それを気にも留めず、雑談を続ける。
勝利。彼らにとって相応しいであろう表現。
敗北。薔薇水晶先生にとって相応しいであろう表現。
敗北。薔薇水晶先生にとって相応しいであろう表現。
明確な図式が、この教室に生まれた。
彼らの『勝利』が、この教室を支配している。
彼らの『勝利』が、この教室を支配している。
自由。彼らが手にしたもの。
だが、その『自由』は、秩序なき自由。
私は、その『自由』に、楔を打たねばならない。
私は、その『自由』に、楔を打たねばならない。
私は、職員室へと向かう。
「…先生」
「なんですか…、桑田さん…」
「なんですか…、桑田さん…」
私が職員室に着いたとき、先生は机に伏せていた。
私が声を掛けると、先生は起き上がった。
しかし、その目は真っ直ぐ正面を向くだけで、私のほうへは向かない。
だけど、その目は私のほうを向かなくとも涙の跡が見て取れた。
私が声を掛けると、先生は起き上がった。
しかし、その目は真っ直ぐ正面を向くだけで、私のほうへは向かない。
だけど、その目は私のほうを向かなくとも涙の跡が見て取れた。
「先生、授業を…」
「自習です…、私が…決めた事です…」
「自習です…、私が…決めた事です…」
授業中のこの時間、職員室には、私と先生の二人しか居ない。
私と先生が作り出す、重い空気。
それだけが、この空間を支配している。
私と先生が作り出す、重い空気。
それだけが、この空間を支配している。
私は考えた。
どのような言葉で対応すれば良いのか。
私の乏しい語彙で、どのように応えれば良いのか。
他の先生に助けを求めたかった。
しかし、ここに居るのは私と先生だけ。
どのような言葉で対応すれば良いのか。
私の乏しい語彙で、どのように応えれば良いのか。
他の先生に助けを求めたかった。
しかし、ここに居るのは私と先生だけ。
ただ、時間だけが過ぎていく。
「なんで貴女がここにいるのぉ?今は授業中よぉ」
背後から聞こえてきた声。
本来、誰も居ない事があってはならない職員室に、この時間に居なければならない人物。
本来、誰も居ない事があってはならない職員室に、この時間に居なければならない人物。
水銀燈先生。
私は、水銀燈先生に状況を説明した。
「ふぅん…そういう事ね…、だったら貴女は教室に戻りなさい」
「先生…」
「これはこの子が決めた事よぉ、わかったらさっさと戻りなさい」
「ですが…、わかりました……」
「先生…」
「これはこの子が決めた事よぉ、わかったらさっさと戻りなさい」
「ですが…、わかりました……」
私に反論する隙を与えないかのような、鋭い視線。
その視線に押されて、私は教室へと戻った。
その視線に押されて、私は教室へと戻った。
教室に戻る間、私は怒りを覚えた。
なぜだ、なぜ突き放したのか。
私はちゃんと状況を説明した。
なのに、なぜ水銀燈先生は彼らの側につくのか。
なぜだ、なぜ突き放したのか。
私はちゃんと状況を説明した。
なのに、なぜ水銀燈先生は彼らの側につくのか。
そう考えてる間に、私は教室に着いた。
そこに広がるのは、秩序なき自由。
私はただ、これを受け入れる事しか出来ないのか。
そこに広がるのは、秩序なき自由。
私はただ、これを受け入れる事しか出来ないのか。
そう考えたら、悲しくなってきた。
やがて日本史であった授業は終わり、次の保健の授業へと変わった。
彼らは打って変わって、先ほどとは正反対の態度で臨もうとしている。
彼らは打って変わって、先ほどとは正反対の態度で臨もうとしている。
そして、水銀燈先生が教室にやってきた。
私は、先生に侮蔑の視線を送る。
さっきの先生の対応が、どうしても許せなかった。
さっきの先生の対応が、どうしても許せなかった。
「今日の授業は自習にするわぁ」
開口一番、先生は自習と言った。
その言葉に、彼らは戸惑う。
水銀燈先生の授業は、彼らには人気だ。
故に、彼らは真面目な態度で授業に臨んでいた。
その言葉に、彼らは戸惑う。
水銀燈先生の授業は、彼らには人気だ。
故に、彼らは真面目な態度で授業に臨んでいた。
そして、彼らの口から不満の言葉が飛び出す。
先ほどとは全く違う、その態度。
先ほどとは全く違う、その態度。
それを跳ね除けるかのように、先生は言い放つ。
「なによぉ、別に良いじゃない、決めるのは私の自由よぉ」
そして、先生は教室を出て行ってしまった。
彼らは、意気消沈していた。
唯一の楽しみと言って良いほどの、その時間が無くなってしまったから。
唯一の楽しみと言って良いほどの、その時間が無くなってしまったから。
私は、今の状況が把握できなかった。
水銀燈先生の意図が全く読めない。
何を考えているのか、それが理解できない。
水銀燈先生の意図が全く読めない。
何を考えているのか、それが理解できない。
ただ、彼らの不満だけが、この教室に渦巻いていた。
次の日の日本史の授業。
薔薇水晶先生は、ただ私達に「自習」と告げると、教室を出て行ってしまった。
薔薇水晶先生は、ただ私達に「自習」と告げると、教室を出て行ってしまった。
私はいてもたっても居られなかった。
だから、先生の後を追って職員室へと向かった。
だから、先生の後を追って職員室へと向かった。
今日の職員室に居るのは、昨日と同じく、薔薇水晶先生と、水銀燈先生。
「…先「教室に戻りなさい」
私が、薔薇水晶先生に声を掛けようとしたとき、それを遮るように水銀燈先生が言った。
なぜだ、なぜ水銀燈先生は、薔薇水晶先生の邪魔をするんだ。
私の中に、再び怒りかこみ上げる。
私の中に、再び怒りかこみ上げる。
しかし、次の瞬間、私の想定外のことが起きた。
「ついて来なさい」
水銀燈先生が、私と一緒に教室へと向かおうとしている。
そして、私と先生は黙って教室へと向かった。
教室に水銀燈先生が入ると、今までの喧騒がすぐに止んだ。
そして、先生は彼らに言い放つ。
そして、先生は彼らに言い放つ。
「もうこのクラスの授業をするのはやめるわぁ」
その一言に、彼らからまたもや不満の声が上がる。
「なによぉ、貴方達は自習がしたいんでしょぉ、だから授業はしないって言ってるのよぉ」
彼らは反論する。
そんなことない、先生の授業は楽しみだ、などと。
そんなことない、先生の授業は楽しみだ、などと。
そんな彼らに、先生はさらに言い放つ。
「勝手なこと言わないで頂戴、私がしたくないって言ってるのよぉ、これは私の自由よぉ」
そして、先生は私に一言。
「自分が変わろうとしないで、相手に変化を求めるのは、ただの傲慢よぉ」
そう言って、教室を出て行った。
私が気付いていなかった事、それを水銀燈先生は私に言った。
私がしていた間違い。
解決を一方的に求めた事。
自分から何も行動しなかった事。
解決を一方的に求めた事。
自分から何も行動しなかった事。
彼らから出てくる不満の声を遮り、私は彼らに言い放った。
「なんで水銀燈先生があんなことしたか分かる?」
「んなこと知るかよ!」
「んなこと知るかよ!」
彼らは、激昂して私に答えた。
そんな彼らに構わず、私は話を続ける。
そんな彼らに構わず、私は話を続ける。
「水銀燈先生の授業は受けれて、なんで薔薇水晶先生の授業は受けれないの?」
「そりゃ、水銀燈先生の授業がおもしろいからにきまってるじゃん」
「でも、先生は授業を拒否した」
「だから困ってんだよ、先生の授業は真面目に受けてるのによ」
「だけど、それって間違ってない?」
「なにが間違ってんだよ、真面目に受けてるだろ」
「でも、薔薇水晶先生の授業は真面目に受けてない」
「だからなんだよ」
「水銀燈先生がしたのも、それと同じ」
「ハァ?」
「薔薇水晶先生の授業を受けないのと同じ、水銀燈先生も、私達の授業をしない」
「わけわかんねぇよ」
「私達が先生を選んだように、先生も、私達を選んだ」
「よーするになんだよ」
「私達がやってる事と、水銀燈先生がしたことは同じって事」
「……それで?」
「私達がこのままで居れば、ずっと何も変わらない」
「……」
「だから、薔薇水晶先生と水銀燈先生に謝りに行こうよ、私達が間違ってたって」
「そりゃ、水銀燈先生の授業がおもしろいからにきまってるじゃん」
「でも、先生は授業を拒否した」
「だから困ってんだよ、先生の授業は真面目に受けてるのによ」
「だけど、それって間違ってない?」
「なにが間違ってんだよ、真面目に受けてるだろ」
「でも、薔薇水晶先生の授業は真面目に受けてない」
「だからなんだよ」
「水銀燈先生がしたのも、それと同じ」
「ハァ?」
「薔薇水晶先生の授業を受けないのと同じ、水銀燈先生も、私達の授業をしない」
「わけわかんねぇよ」
「私達が先生を選んだように、先生も、私達を選んだ」
「よーするになんだよ」
「私達がやってる事と、水銀燈先生がしたことは同じって事」
「……それで?」
「私達がこのままで居れば、ずっと何も変わらない」
「……」
「だから、薔薇水晶先生と水銀燈先生に謝りに行こうよ、私達が間違ってたって」
言いたい事は全て言った。
あとは、彼らが理解してくれるか、それだけ。
あとは、彼らが理解してくれるか、それだけ。
教室に沈黙が続く。
「…行こうぜ、職員室」
彼らの一人が、沈黙を破った。
それを皮切りに、彼らが動き出す。
それを皮切りに、彼らが動き出す。
そして、私達は職員室へと向かった。
私達は、薔薇水晶先生と水銀燈先生に謝った。
私達の犯した過ちを。
私達の犯した過ちを。
それからの薔薇水晶先生の授業は、滞りなく継続されている。
私達は、真面目に先生の授業に臨んでいる。
彼らも、同じように臨んでいる。
私達は、真面目に先生の授業に臨んでいる。
彼らも、同じように臨んでいる。
水銀燈先生の、あの助言がなければ、私達は変わらなかっただろう。
本当ならば、自分達で気付かなければならない事。
解らなければならなかった私に、解らなかった事。
それを教えてくれた水銀燈先生。
本当ならば、自分達で気付かなければならない事。
解らなければならなかった私に、解らなかった事。
それを教えてくれた水銀燈先生。
だから、私は『教師』になろうと思う。
水銀燈先生のような、そんな先生に。
水銀燈先生のような、そんな先生に。