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 教師は専門職であるから、仕事をしながら常に新しい知識や技術を修得していく必要がある。学級崩壊という現象が起きたとき、ベテランの力量のある先生のクラスも崩壊するという事実がたくさん報告されたが、これもベテランだから自動的に力量があるというわけではなく、子どもたちの変化などにあわせて自分の教師としての力量を向上させていくことを怠ったためであると考えられる。もちろん、学級崩壊の原因を教師の力量不足にのみ負わせることは間違っているが、教師の対応が鍵となることは多くの実践によって明らかとなっている。
 このような意味において教職は厳しい仕事なのである。従って絶えず勉強をしていかねばならないが、法は以下のように規定している。

教育公務員特例法  第四章 研修
 (研修)
第二十一条  教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
 2  教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
 (研修の機会)
第二十二条  教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
 2  教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
 3  教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。
 (初任者研修)
第二十三条  公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等(政令で指定する者を除く。)に対して、その採用の日から一年間の教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を実施しなければならない。
 2  任命権者は、初任者研修を受ける者(次項において「初任者」という。)の所属する学校の教頭、教諭又は講師のうちから、指導教員を命じるものとする。
 3  指導教員は、初任者に対して教諭の職務の遂行に必要な事項について指導及び助言を行うものとする。
 (十年経験者研修)
第二十四条  公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その在職期間(公立学校以外の小学校等の教諭等としての在職期間を含む。)が十年(特別の事情がある場合には、十年を標準として任命権者が定める年数)に達した後相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修(以下「十年経験者研修」という。)を実施しなければならない。
 2  任命権者は、十年経験者研修を実施するに当たり、十年経験者研修を受ける者の能力、適性等について評価を行い、その結果に基づき、当該者ごとに十年経験者研修に関する計画書を作成しなければならない。
 3  第一項に規定する在職期間の計算方法、十年経験者研修を実施する期間その他十年経験者研修の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
 (研修計画の体系的な樹立)
第二十五条  任命権者が定める初任者研修及び十年経験者研修に関する計画は、教員の経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすものとして樹立されなければならない。

 教師が他の職業と異なる点に、最初から一人前として扱われ、ベテランの教師と同じ仕事をするという点がある。以前は赴任の初日から同じ仕事をしていた。現在では初任者研修の期間は通常の仕事のある部分を免除されるから、まったく同じではないが、担任の学級をもち、生徒を指導するという点においては同じである。通常の仕事であれば、研修期間を過ぎて配属が決まり、そこで始めて一人前の仕事をするようになるのであるが、教師は初任者研修を受けながら、一人前の仕事をするのである。これが教職に特有の困難さをもたらしている。試補制度を導入し、試補期間は授業を部分的にもつのみで、担任を持たない等の状況から入っていくというシステムもありうるが、これには賛否あるし、新卒の雇用が不安定な形になるという別の欠陥をもっている。
 さて、初任者研修と十年経験者研修は設置者・管理者が行う制度的な研修であるが、もちろん、教師はこうした制度的な研修によってのみ能力や技術を向上させていくわけではない。むしろ最も大切なことは日々の実践の検証であろう。学校全体として、各教師の授業を検討して改善のために議論している学校では、子どもたちの満足度が高い。
 また、日本には数多くの教育研究団体が存在する。そうした団体に自発的に参加して学ぶことも、教師の力量を向上させる上で大きな力となる。そのような場を積極的に保証することも必要であろう。しかし、これらは現状においてはなかなか実施できない学校が多い。それは何故だろうか。
 第一に考えるべきは、教師の勤務形態である。欧米では日本の大学の教師のように、教師の勤務拘束は授業時間によることが多い。授業と必要な会議、行事参加以外の時間帯は自由であり、出勤時間や帰宅時間が規定されていない。このような場合には研修の参加が問題となることはない。しかし、日本は出勤・帰宅時間が「勤務時間」として決まっているので、自発的に研修に参加したいと思ったときに、なんらかの事務処理が必要となる。
 第二にそこから教育公務員特例法の22条2項の解釈問題が生じる。「教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。」という規定は、「職務」として行うことができるのか、あるいは「職務免除」としてのみ行うのかという問題である。教育法学の多数説は「職務」として研修に参加できるとするものであるが、行政解釈は職務免除であるとする。49)『別冊ジュリスト 教育判例100選』p200-201実際上は、職務として研修にいく場合にはもちろん、授業に支障がなく校長の認可が必要であるが、仕事をしていることになるが、職務免除の場合には年休をとることになる。
 第三に、年休をとる場合には、授業やその他の職務に支障のない限り内容に関わらず校長は許可せざるをえないが、職務として研修を行う場合には、その許可について校長の裁量権がどこまであるかが問題となる。学説の多数説では、原則としてその研修が研修としての実態があれば許可すべきものであるとするのに対して、行政解釈は校長の自由裁量とするものである。
 これらのことはどのように考えられるだろうか。
 基本的に教職が高度な専門職であり、絶えず学び続けなければならないとすれば、学ぶことについては最大限の自由が保障されなければならない。自由ではない学びは、その効果が低下するからである。しかし、その効果があがっているかどうかは、親や子どもに実感されるものでなければならないだろう。
最終更新:2008年08月18日 22:37