{生涯学習の制度的展開}
人々は学校だけで学ぶわけではない。むしろ、学校での教育が主流になったのは、歴史的に200年にも満たない。また、学校を卒業してからも、人々はいろいろな機会に学んできた。学校以外の場で学ぶ内容は、おそらく学校教育よりもずっと多様性に富んでいる。そうした学校と家庭以外での教育を、「社会教育」という言葉で読んでいる。この呼び方は、含む領域が異なるが、「成人教育」「通俗教育」「リカレント教育」とも呼ばれてきたが、成人教育という呼び方は、学校に通っている少年でも、学校外で学ぶ機会があるから、「学校教育を除く」という消去的な「社会教育」という言い方が定着した。しかし、この社会教育という呼び方も、残っているが、現在では「生涯学習」という名称が多く使われるようになった。実際に、
文部科学省や教育委員会の部局の名称も、「社会教育課」から、「生涯学習課」となっている所が多い。改正された教育基本法では、生涯学習に関わる規定が大幅に増えた。そこで、教育基本法の生涯学習規定を素材に、考えてみよう。
第三条には、生涯学習の名称をもった条項が置かれた。
\begin{quote}
(生涯学習の理念)
第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
\end{quote}
生涯学習の理念は、国際的には、1960年代にユネスコが提唱し、その中心が、life-long education を唱えたポール・ラングランであるといわれている。しかし、実際の教育実践としては、戦前から、デンマークから発生した民衆大学の運動が、各国で形を替えて広がり、日本においても「大学拡張運動」などが行なわれていたし、大人に対する教育を与える必要性は認識されていた。しかし、それを現代社会のあり方、技術革新の時代においては、社会の変化が激しく、それに対応していくために、積極的に生涯学ぶことができる体制を整えていく必要があることを主張したという点で、生涯学習の転機を、ポール・ラングランが示したことは重要である。
学校教育は、国家が設置している制度だから、教育の機会は他の制度よりも保障されているが、社会教育や生涯学習の分野では、自発的な学習となるので、機会均等の保障がより、重要な意味をもつ。教育基本法は次のように「教育の機会均等」「社会教育」について規定している。
\begin{quote}
(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
(社会教育)
第十二条 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
\end{quote}
これは教育全体の規定であるから、当然生涯学習の規模で、機会均等のための支援を講じることを国に義務つけている規定である。
では、学校教育を受けている者が、また、社会にでている者が、学習をしたいというとき、どのような形態で行なっているだろうか。
{越谷での具体的施策}
我々の市である越谷では、生涯学習についてどのような施策を講じているのだろうか。越谷市では、その一覧を示す図を公表している。
「いつでも どこでも だれでもが 自分らしく いきいき」という全般的スローガンの下に、6つの基本理念がある。
1 多様な市民ニーズに対応した生涯にわたる学習の推進
2 「生きる力」をはぐくむ学校教育教育の推進
3 人や自然を思いやる心豊かな人づくりの推進
4 人権を尊重する教育の推進
5 市民の健康増進と生涯スポーツの推進
6 芸術文化活動の推進と伝統文化の継承
そして、「生涯スポーツ・レクリエーション」「図書館」「生涯学習」という3つの領域が設定され、それぞれにライフステージ別の施策がある。主なものをピックアップしておこう。
生涯スポーツの青少年・乳幼児で、「親子ふれあい体操教室」「なわとび大会」「越谷ファミリーウォーク」各種大会、高齢者・成人では、「健康体操教室」「アクアビクス教室」各種大会があり、スポーツ施設として、市民休場やプール、体育館などがある。
生涯学習では、乳幼児・青少年として、「子育て広場」「子ども名作映画会」「食育セミナー」、成人・高齢者として、「市民大学」「IT講習会」「レクリエーション指導者養成講習会」、全般として、リーダーのデータバンクなどを公表している。主な施設として、市民センター、公民館、コミュニティセンター、青少年自然の家などがあり、更に3つの図書館がある。
こうしたことが市民のために開かれ、少額学習を促進するための政策が行なわれている。
最終更新:2008年09月06日 12:23