【種別】
魔術

【元ネタ】
北欧神話「ゲスタ・ダノールム」( デンマーク人の事績 )において、隻眼の魔術師オティヌスが用いた弩。
弩自体に固有の名称は存在せず、もっぱら「オティヌスの弩」と呼ばれるのが一般的。
北欧神話全体を見渡しても存在の言及がここだけしかなく、その詳細も
「皮袋から取り出すと先端が伸びる」「一度に10本の矢を番えて射出できる」程度のものに留まっている。

【初出】
新約九巻

【解説】
北欧神話で語られる主神オーディンとしてではなく、オティヌスが使用する魔術。
「世界」そのものを『弩』の弦として、恐るべき威力を持った10発の『矢』を放つ。

『弩』はオティヌス本体を基点に、巨大な翼とも華とも言えぬ、不気味で得体の知れない紋様の形を取る。
紋様は大空も含めた「漆黒の世界全体」を侵蝕しており、その規模は『矢』を射出するために力を蓄えれば
同時に世界全体が軋みを上げるほど。

作中ではこれを述べて
「宇宙の端から端まで直線レールを設け、無限に加速させて地表の敵を狙う超長大レールガン」
「物質の最小単位を直に弄ることで説明不能の大破壊をもたらす特異点兵器」
などとも形容しながら、同時に如何なる表現をもってしても根本的に「撃ち落とせない」ことが明白であり、
故に言語でのあらゆる形容は何の意味もないとされる。

その威力はどう着弾しても、もはやそこへクレーターのような「無駄な破壊」を一切及ぼすことすらなく、
軌道上に存在するあらゆるものを粉々に打ち砕き、世界の果てまで吹き飛ばしてしまうという既存のスケールを完全に超越した一撃。
しかも単純に直線で標的を狙い撃つだけでは留まらず、「三次元上の制約」を超え、唐突に空間を割って世界へと襲い掛かったり、
「数の概念」さえ無視して、打ち上げ花火の如く分裂しながら、威力はそのままに星の数ほどの豪雨と化して降り注ぐなど、
『弩』の一発一発が文字通りの「必殺」でありながら、容易に的を絞らせない多彩さも備えている。

一応、上条幻想殺しは射出された『矢』に対しても有効であるようだが、
正面から放たれたものに対しても、わざわざ「下からすくい上げる」よう軌道を反らす形で受けており、
この『弩』も、『竜王の殺息』『黒翼』を初めとした「幻想殺しでも打ち消しきれない攻撃」に相当するものと思われる。

上条との最後の戦いにおいて、『主神の槍』を破壊され後のなくなったオティヌスは、
妖精化の「失敗100%」を用いて再度魔神となり、これを発動。
10031戦分の蓄積を得ていた上条は10発中の9発を回避。拳が届くあと一歩まで迫るが、
オティヌスは自分の背後から「己ごと巻き込む」コースで10発目を発射。真正面からの死角を突かれ、これを上条は回避できずに敗北する。


最終更新:2020年05月02日 22:32