【種別】
特殊能力

【元ネタ】
Imagine Breaker =「幻想を打ち砕く者」

【初出】
一巻


【解説】

上条当麻の右手に宿る力。
触れるだけで魔術超能力問わずあらゆる異能の力、
またはそれが生み出す超自然現象(以下、まとめて『異能』と表記)を無効化する。

原理は今もって不明。「記憶を失う前」の上条の言に寄れば、生まれついた時から先天的に有していたらしい。
AIM拡散力場の集合体である風斬氷華は超能力ではないと断言し、
10万3000冊の魔道書の内容を記憶するインデックスの推測によれば魔術でもない。

学園都市は暫定的に原石の一つと判断しており、
特性上身体検査に反応しないので、
注意を向けられないよう表向き無能力者(レベル0)として扱っている。

そのため科学サイドにおいては上条の関係者か都市の上層部・暗部ぐらいしか「能力」として把握しておらず、
その他大多数からは「異能を打ち消す奇妙な右手」程度の認識しか持たれていない。
(書庫(バンク)の上条の個人情報の備考欄に「他の能力を打ち消すらしき証言あり」と記述されてはいるが。)

そもそも能力の性質上、周囲に異能がなければ関知すらされない。
「もしも上条当麻が『外』で生活していたら、右手の力に気付くことなく一生を終えた事だろう」とも言われている。
更に能力の本質(後述)に至っては、魔神に関わった極僅かな者しか知らない。

【効果・特性】

右手で触れた異能をどんなものであれ打ち消す。
効果はこれだけの、実にシンプルかつ強力な能力。

異能の一部に触れただけでも無効化は炎が燃え広がるように全体に広がっていくため、
『単一種の異能の集合』であれば、どんな広範囲の異能攻撃であろうと触れればまとめて消すことが出来る。
そのため、右手と接触させやすい分、点攻撃よりも面攻撃の方が対処しやすいという変わった特性も持つ。
逆に言うと、竜王の殺息アドリア海の女王のように区画分割されている場合は一度に消すことはできない。

霊装魔道書など、魔術的な仕組みを持った物体に触れた場合は、
物質を消滅させたりはしないものの、その物体が発生させる魔術的効果だけでなく、異能を宿すための構造も完全に破壊あるいは解除する。
物によってはバラバラに分解、あるいは粉々に破壊し、その物体の魔術的な要素を完全に消し去る。
(例:歩く教会は縫い目からバラバラの布切れに、C文書は塵に。)
また、風斬氷華のような異能で肉体を構築する存在にとっては「死」に他ならず、触れただけで善悪問わず消滅させられる。

天罰術式空間移動(テレポート)など「上条当麻」全体を対象とする異能は、効果範囲に右手を含むため接触していなくても打ち消す。
ただし精神系の異能は一見上条そのものを対象にしているようでも、脳のみを対象としており通るケースもある。
(例:アウレオルスの記憶消去。
この時は右手で頭を触った事で無効化され、記憶を取り戻した。)

地脈・龍脈や生命力といった、「元々存在する異能の力」にも勿論作用する。
ただし幻想殺しは「調和の取れた破壊」(異能の力を不自然に高められていないレベルまで引き戻す)を行うため、
異常な値を均一化させることには極端に働くが、元から均一なものに対してはあまり効果を発揮しない。

そのため触れた人の魂を破壊したり、地脈が消えて惑星が滅んだりすることはない。
幻想殺しが地脈などを削っても、削った分は自然と補われて修復され、
すぐに破壊の跡は周囲にとけ込んでわからなくなってしまう。

上条自身「そんなに都合良くカッチリはまるものなのか?」と疑問を呈しているが、
バードウェイが答えて曰く、
幻想殺しに限らず「天然モノ」の能力は、あらかじめ環境に合致した設定を施された場合も多いとのこと。
グレムリンが実際にこの破壊と修復のサイクルを利用して幻想殺しの探索を行っている辺り、
バードウェイの分析は正確なものだということが分かる。

【弱点】

効果だけなら強力だが、実際は弱点だらけの能力である。

まず、「右手のみ」と効果範囲がかなり狭いこと。
触れるために手を突き出すため体の他の部位を攻撃に晒す危険があり、
防御が間に合わず体の他の部位に当たった場合はまともにダメージを食らう。

上条の身体能力は人間の範疇であるため、
多方向から同時に飛んでくる異能や聖人など上条が追いつけない高速移動を行う相手、
飛行して遠距離から一方的な攻撃を行う相手など、
右手で触れることができない・間に合わない攻撃にはまず対応できない。

このため、空間移動や蓮の杖など事前に感知できない座標攻撃は苦手。
しかし苦手というだけで打ち消せないわけではなく、
タイミングさえ合えば打ち消す事は可能。

次に、異能の力、またはそこから発生する超自然現象にしか作用しないこと。
銃弾や刀剣と言った通常武器・兵器や肉弾戦には一切効果はない。
さらに運動の起点は異能の力であっても、そこから発生した『二次的な』物理現象も打ち消せない。
たとえば、異能で作った火の玉は消せても、火の玉が砕いたコンクリの破片は防げないといった具合である。

また、無効化は常時発動であり、自分の意思で制御できない。
そのため回復魔術など自身に有益な異能も無効化してしまう。

特に大きいのが、「単位時間あたりに処理できる異能の種類・個数・量」に限界があること。
基本的には触れた瞬間に打ち消すが、
一方通行の黒翼のようにあまりにも莫大な異能や、
魔女狩りの王のように再生する・継続的に放たれるタイプのものには処理が追い付かず、
消し切るのに時間がかかり、受け止めるに止まってしまう。

しかし、受け止めた時の反動を除けば、
完全に消せない場合でも右手に異能の影響は出ないようである。

竜王の殺息に至っては、
威力が莫大、継続的に放たれる、粒子全てがバラバラで数が多いと最悪の相性であり、受け止めることさえできず押し負けてしまった。

ただし上条も度重なる戦闘経験からこれを逆手に取り、
異能を掴んで引っ張ったり、捻って逸らしたりと、
消しきれない異能を「受け流す」術を習得した。
その後はこの技術にさらに磨きがかかり、
指の動きで異能の流れを誘導して別の対象にぶつけたり、多数の異能の一つに干渉して全体を連鎖崩壊させたりと、
「異能を消せない」こと自体を戦闘に組み込むようになった。

幻想殺しと同質にして対極な理想送りという能力(後述)も存在するが、
幻想殺しで理想送りを打ち消すことはできない。
しかし、両者が激突した際には上条の右手は消し飛ばされたものの、
右手の破壊が引き金となって謎の力が出現している。

(インデックスの推測ではあるが)神の加護などの運気も断ち切ってしまうらしく、上条の不幸体質の一因となっている。
ただこれは「運命・因果」といった要素も無効化することを意味しており、
本物の「」からも「運命の奴隷とならない例外」と好意的に見られている。

【正体・本質に関わる描写】


フィアンマとの決戦においては、
幻想殺しごと右腕を切断され、『聖なる右』完成のピースとして取り込まれた。
しかし、その切断面である肩口にはフィアンマの完成した右手が見劣りするほどの『莫大な力』が集まり、
完成した『聖なる右』の一撃を受けてもあっさりと吹き散らしている。
「透明な何か」が切断面から生じていたようだが、
上条の意思で握りつぶされ、右腕の再生に使われてしまったので詳細は不明。
(地の文に、「その正体は上条当麻にしか理解できなかったのかもしれない」という記述もある。)
また、上条の右腕が再生すると同時に、フィアンマが奪った右腕からは能力が消失しており、
「幻想殺しは同じ世界に2つも存在できない」、
「上条当麻に取り付けられた腕にこそ本物の力が宿る」といった概念・ルールがあるらしい。
後に「上条当麻の右肩から生えているモノなら幻想殺しと定義できる」という旨の発言もある。

フィアンマは幻想殺しの本質を「神聖なる右手が自然に備えてしまった浄化作用」と推測しており、
「俺様の力はお前の右手を経由しなければ100%発揮できない」
「その右手は本来のピースである俺様の力を注ぐことで、その役を終える」などと言及している。
その他幻想殺しと聖なる右の力を「似たようなもの」としており、何らかの関連性を見いだしていたようだ。
しかしアレイスターによれば、十字教の内容で説明できるようなものでは無いらしい。
尤も、「力のフォーマットが古すぎたこと(オシリスの時代?)を除けば、良い所まで行っていた」とも発言しており、
全くの見当外れというわけでも無いようだ。

あらゆる能力者から能力を引き出すことができる恋査は幻想殺しの使用を試みたが、
身体特徴を組み替えたところ、幻想殺しが恋査に流れ込んで手首の先に何かが集まった後、
腕が風船のように膨らんで弾け飛び、
さらに腕から凄まじいノイズが全身に広がり意識が混濁、機能不全を起こし気を失っている。
これは「理解のできない力のため制御に失敗した」らしく、フレメア=セイヴェルン人的資源の偶発的発動によって
AIM思考体の薬味久子が恋査に叩きこまれた際には、同じようにして腹部が爆発している。

新約13巻では幻想殺しと同質にして対極である理想送りという能力が登場した。
曰く、
幻想殺しとは、今ある世界を修復する、直す、しがみつく理想。
理想送りとは、今ある世界を見捨てる、旅立つ、放棄する幻想。
また、理想送りは幻想殺しが半端な形で現出してしまった結果、
「魔術師たちの怯えと願い」が収まりきらず、横から溢れる形で誕生したらしい。
(以前にもテッラにより「幻想殺しは未完成」とする旨の発言があった。)
なお、幻想殺しで理想送りを打ち消すことはできない。
しかし、両者が激突した際には上条の右手は消し飛ばされたものの、
右手の破壊が引き金となって現れた謎の力が上里を満身創痍に追いやっている。
これは理想送りの効力が表層から深層へと順に機能するモノだったために、
いわゆる「幻想殺しの奥にあるもの」にまで効果が及ばなかった事が原因だという。
また、理想送りが発動したという事は、上条当麻もまた「願望の重複」を抱えていることの証拠となっている。

同巻にてアローヘッド彗星と同化して学園都市に向かう僧正に対し、
上条がプラスチックが割れるような音を右腕辺りから出しながら右手を空へかざし、何かを現出させようとするのを
美琴が恐怖しながらも目撃するも、脳幹が巨大ドリルで僧正ごと隕石を消滅させたため、
恐らくは幻想殺しの『奥にあるもの』であろうそれは姿を現す事はなかった。
この場面は初めて上条が自分の意志で「本質」を出そうとしたシーンだと思われるが、ここでも上条の心理描写は一切存在せず、
飽くまで美琴の視点から描かれたため、上条が意識して本質を現出させようとしたかも疑わしい。
その全容を上条自身が把握しているのかどうかも不明なままである。

【正体】

その正体は「全ての魔術師達の怯えと願いが結実したもの」。
魔術を極めれば世界を思いのままに歪められる。それは一見虫のいい話だが、
もしかしたら歪めた結果弊害が起きるかもしれないし、そのとき元に戻そうとしても「元の世界」を思い出せなくなってしまうかもしれない。
しかし「魔術の影響を受けないもの」があれば、世界を歪めてしまっても、それだけは元の姿を保ったままであるから、
それを基準に元の世界の姿を思い出すことが可能となる。そんな「世界を元に戻すための基準点」が幻想殺しの正体である。
新約9巻ではオティヌスが、自身が歪めてしまった「上条当麻の生まれた世界」を元に戻すために使用した。

類似の力は過去にも確認されているらしく、テッラの「幻想殺しの本来の性能」などの言はそれも受けてのものであると思われるが、
もっとも幻想殺しがそれらと同系列の力なのか、あるいは似ているだけで全く関係のない力なのかはわからない。

僧正ネフテュスによれば、幻想殺しが上条当麻に宿ったのは全くの偶然…… というわけではなく、
神浄の討魔」という真名を持つ上条当麻本人の魂の輝きに惹かれて「あらゆる魔術師の夢」が集積したのだという。
そして理想送りを宿した上里翔流もまた、その力を引き寄せる程の特異な何かを持っていたという事でもある。

そもそもにおいて、「あらゆる魔術師の夢」が横から溢れる事となったのは、
魔神達が自分達の『採点者』として見定めていた上条が、オティヌス一人に執着してしまったことから。
上条とオティヌスの激突、デンマークの一件からサンジェルマンの騒動などの出来事を皮切りに、魔神たちは少しずつ失望を重ねていった。
その失望は、やがて滑り止めのような『代わり』を求める心へと変わっていき、
結果理想送りが結晶化するにまで至った。
ちなみに「あらゆる魔術師の夢」がこうも簡単に右往左往してしまうのは、
ネフテュス曰く「魔術サイドの勢力なんて99.9%魔神が占めている」から。数だけなら少ないが、一人一人の力が桁違い過ぎて
世界の半分を覆う人間の魔術サイドなんてそれこそ髪の先にも満たないのだという。

【プランとの関係】

アレイスター滞空回線によって幻想殺しの力の質と量を測定している。
具体的には、吸入する酸素と排出される二酸化炭素の量から能力者達の脳の作動状況を計算し、
学園都市に蔓延するAIM拡散力場の全体量を求めた後、幻想殺しがどれだけ「相殺」しているかで導き出している。

またアレイスターからは『非論理的現象を否定するための基準点(Point Central 0)』と認識されているらしく、
それが「安定レベル3」を維持し、「中心部でアイドリングを続けるコアの規定回転数」なるものが確認されている描写がある。
因みにプランへの影響率は98%のようだ。

【備考】

一巻の時点から「あらゆる異能を問答無用で~」という触れ込みだが、
最初期の時点では「異能=超能力」(と上条が思い込んでいる)ということらしい。(※ただし神の奇跡についても言及有り)
よって正しく「あらゆる異能を~」と認識・表現できるのは歩く教会破壊後から。

【関連】


【考察】