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SS 1-145 - (2011/02/26 (土) 14:04:48) のソース
『とある境界の直死の魔眼(3)』 そして、依頼主のコネにより「研究所所員」という形で正面ゲートを突破して、今に至る。 回想を終了し、横でまだ続いている式の言葉を聞き流しつつ、これからどうしようか・・・と考えていた幹也は、 前を走ってきた少女にぶつかった。 「おっと。」 ぶつかってよろめきながらも、自分よりも大きくよろめいた少女の方を支える。 「あ・・・、すいません。」 体勢を立て直した少女は、軽く頭を下げた。 ああ、いえ、と答えた幹也は、ふと少女の着ている制服に気づいた。 プリッツスカートに半そでのブラウスと袖なしセーター。 調査対象であるLV5を2人も抱える超名門女子校・常盤台中学の制服だった。 何とか情報を引き出せないかと思い、とりあえず話しかけてみた。 「どうしたの?そんなに急いで。」 「え?えっと・・・。」 少女は答えに詰まったように黙り込んだ。 不思議そうに少女の顔を見た幹也は、その時気づいた。 少女が『LV5を2人も抱える学校の生徒』なんてものじゃなく、正真正銘の『LV5』だったということに。 「えっと・・・その、ちょっとアクセサリーを集めに。」 少女、御坂美琴は、愛想笑いとともに答えた。 ★ そこは、科学が生んだバベルの塔。 入り口も出口もなく、ただ、1人の『人間』が永遠に住まい続ける、墓標のような遠坂じゃなかった塔。 そこに住まう『人間』は、決して破れない硬質のビーカーの中に、逆さで佇み続ける。 男のように女のように、大人のように子どものように、聖人のように囚人のように。 『人間』アレイスター=クロウリーは、ビーカーの前に立つ人間に向かって笑った。 「私の命通りに動いてくれたか、土御門。」 対するアロハシャツの青年、土御門元春は、無感情な顔でうなずいた。 「お前の言った通り、教会の中のタカ派を動かして蒼崎橙子にLV5の能力の調査を依頼させた。お前の想定通り、 両儀式と他1名が研究所所員を装い侵入してきた。」 正面ゲートで撮られた、黒髪の少女と青年の写真を見せる。 アレイスターは、満足そうな笑みを浮かべた。 両者口を開かず、場に沈黙が訪れる。 「・・・アレイスター、お前は何を考えている?」 沈黙を破ったのは土御門だった。 「“幻想殺し”に“吸血殺し”、お次は“直死の魔眼”か。おまけにこちらの能力者の情報を 与えるような真似をして・・・いつからお前は敵に塩を送るような人間になった?」 アレイスターは、変わらずビーカーに浮いて笑みを浮かべていた。 その笑みが、より深まる。 「『手順』のためならば、私は敵に塩も送る。どの道塩は、単なる材料の1つに過ぎない。賢者の石ならばいざ知らず、 塩があるからと言って、錬金術師が真理に至れるわけではない。塩や硫黄や水銀、それ単体に意味は無い。正しい知識があってこそ、 それらは初めて意味を為す。所詮は、そういうことだ。『手順』を省略できるのならば、 塩などいくら撒いたところで痛くはない。」 「・・・・・・・・。」 黙る土御門を前にアレイスターは詠うように、 「空想は具現化する。幻想は殺される。全ての死を視る少女は果たして、幻想殺しに何を視るのだろうか、ね。」 ----