【名前】舵桐在梧(かじきり あるご)
【性別】男
【所属】科学
【能力】なし
【能力説明】
能力開発を受けていない。
警備員としての対能力者戦闘はベテランの域。銃撃戦・白兵戦いずれも高い戦闘能力を有する。また部隊を動かす統率指揮能力や周囲の現状を客観的に把握する能力に長け、長年の経験に基づく決断力・実行力は時に冷酷と評されるほど。
【概要】
蕩魅召餌の私設部隊『白夜部隊』の指揮を執る五十半ばの男。所属は幹部構成員・部隊長。作戦中のコードネームは『キャップ』。
元警備員であり、現役時代は数々の能力者案件や広域スキルアウト抗争の現場で陣頭指揮を執る優秀な指揮官として、他の警備員から一目置かれる人物だった。特に先の展開を見据えた、一見大胆ながら綿密な計算に裏打ちされた作戦立案能力は『舵切り(キャプテン)』の異名で多くの後輩警備員から頼りにされていた。
しかし三年前に突如として勤めていた高校の教職を辞し、警備員としての資格も自ら返納、行方を晦ませる。その後暫くして明知中等教育学院の用務員に身をやつしているのを目撃されるが、彼を訪ねた元同僚が何を訊いても彼は口を固く閉ざし、教職を辞し用務員として働く理由を語ろうとはしなかった。
明知の堅牢なゴシック様式の校舎の片隅で雑務に勤しむ中年男というのが表の顔なら、『白夜部隊』の部隊長はまさしく彼の裏の顔。
元々明知は舵桐が新任教師として最初に赴任した学校であり、およそ30年前、まだ駆け出しだった彼が最初に受け持ったクラスに、当時中学生だった蕩魅召餌がいた。中学時代から周囲とは一線を画する蕩魅少年の異様な存在感に言い知れぬ不安を抱きつつも、何とか彼の卒業を見送った舵桐は、教師にあるまじき心情だと理解しながら内心ほっとしていた。
しかし蕩魅少年を見送った後になって、舵桐の胸に渦巻く不安は次第に膨らんでいった。自分は何か、得体の知れない怪物を外の世界に解き放ってしまったのではないか。風の便りで蕩魅が実験中の事故により能力を喪失したという報せを聞いたが、そんなものは大した気休めにもならない。急き立てられる焦燥感を振り払うように警備員となり、危険を顧みず過酷な職務に没頭した結果いつしか『舵切り』などと慕われる存在となっていたが、それでも胸中の懸念ーーある種の責任感・罪の意識ーーを払拭する事は遂に叶わなかった。30年後の今になって、30年前と変わらない双色の瞳でこちらを見据える蕩魅召餌と再会した事で。
蕩魅が行おうとしている実験の全貌を知り、それが学院に混沌をもたらす暴挙だと理解した上で、それでもなお彼の申し出に抗う事なく『白夜部隊』の部隊長を引き受けたのは、舵桐なりの罪滅ぼしである。30年前、自分が教師として蕩魅少年を正しく教え導く事が出来てさえいれば、蕩魅はここまで歪んでしまう事はなかった。自分が蕩魅という少年を理解する事を諦めてしまったから、この『怪物』は生まれてしまったのだ。故に、舵桐はこれから生じるであろう未来の悲劇・誰かの犠牲を防ぐために、災いの元凶である蕩魅を刺し違えてでも打ち倒す“のではなく”、蕩魅の計画に賛同しその遂行を支援する事にした。それは純粋な恐怖だった。今更教え諭そうとしても、力で立ち向かおうとしても、怪物を滅ぼせるビジョンが浮かばない。だったらいっそ、蕩魅の理想とする世界をこの目で見届ける。それがあの日の蕩魅少年から視線を逸らした事への贖罪となり、ささくれのような鈍い痛みから解放される唯一の手段なのだと、やがて舵桐在梧は悟った(こわれた)
『白夜部隊』では司令塔として部隊全体の指揮を執る。尖った個性を発揮する構成員たちが瓦解せずに連携出来るのは、ひとえに舵桐の優れた指揮能力の賜物。個人としての戦闘力も決して年齢による衰えを感じさせない。対能力者を前提とした警備員の逮捕術に古武術や総合格闘技などを組み入れた独自の暗殺術を駆使し、武器の有る無しに関わらず高い戦闘力を発揮する。加えて舵桐が敵を待ち構える地下施設の一区画は一帯にAIMジャマーが敷設されており、文字通り『能力殺し(アンチスキル)』となって能力者に牙を剥く。
用務員として働く必要はないのだが、これは舵桐自ら蕩魅に進言して行っている行為である。どうやら未だに僅かに残った教師としての未練が生徒たちの近くで働ける環境を欲しているらしいのだが、自身の風貌を見た学院生たちは殆ど近寄ろうとはせず逆に落ち込んでいるのだとか。
【特徴】
身長185cm、体重75kg。恵まれた体格を筋肉の鎧で覆ったような偉丈夫。巌のような握り拳が特徴。眉間に深い皺が刻まれ、瞳は鷹のような鋭い眼光を放つ。髪は若干の後退が見られるものの銀髪のナイスミドル。
とても堅気の人間には見えない容姿のため、表の顔である用務員の作業服を着ると某国の工作員に見えてしまうのが悩みの種。
『白夜部隊』での任務中は全身に暗器を仕込んだ筋肉質なフォルムの人型駆動鎧を装着する。カラーリングは黒。
【台詞】
一人称は俺、他は適当に。因みに蕩魅からは「アルゴー」(シリアスな場面では「恩師(せんせい)」と呼ばれる。
ぶっきらぼうな物言い。駆動鎧装着時は電話越しのようなくぐもった声『〜〜』になる。
「その名で呼ぶのはもうやめろ。俺はもう警備員じゃないし、戻るつもりもないんだ。俺の人生をどう生きようが俺の勝手だろ。これ以上俺に関わるな」
「ああ、こちらでも状況は確認している。『キメラ』、その男の素性は確かに学院の教師で間違いない。多少イレギュラーな訪問だったが、無闇に事を荒立てる必要はない。放してやれ」
「お嬢さん、今何か落としましたよ。ほら、高そうなレースのハンカチ……ってちょっと!なぁ君、どうして逃げるんだ!!……!?な、何故泣く?俺は別に何も。わ、分かった、分かったから。ハンカチはここに置く、俺はもう行く、後は好きにしてくれ。……どうしていつもこうなんだ」
『ああ、やっぱりこうなったか。覚悟してた……というのは少し違うが、まぁこんな結末も薄々予感してはいた。どうやら俺はここまでのようだな。行けよ、若人。扉の先であいつが待ってる。
………………ちっ、こんな形で救われる事になるなんてな。お前の創るセカイとやらをこの目で見届けたかったが……、先に、行ってる、ぜ……。蕩魅……』
【SS使用条件】
特になし

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年11月19日 22:18