【名前】来栖治鵡(くるす おさむ)
【性別】男
【所属】科学
【能力】正真正銘の無能力者。能力ではないが特異体質保持者。
【特異体質説明】
機械の電源がON/OFFする瞬間視界にピカッと光線が走る特異体質。簡潔に言えば電磁波が見える。電磁波過敏症の一種ではないかと診断されているが詳細は未だに不明。
自分の特異体質に気付いたのは幼少の頃。テレビを点ける、コンセントにプラグを差し込む、ドライヤーで髪を乾かす等する度に視界に映る光線。
しかも階を別にする離れた別部屋でのON/OFFすら知覚してしまう出来事について当初幽霊か何かじゃないかと勘違いして周囲に相談するも非科学的だと一蹴されてしまう。
後に、電磁波過敏症の一種ではないかと診断されるも何故知覚できるのか根本的な理由は不明のまま。幽霊と勘違いしてしまった恥ずかしさから、頭痛の理由でもある己の特異体質を周囲には打ち明けていない。
原則電磁波が発生する大本である電力が掛かる大きさに応じて知覚範囲が変動する。さすがに普段は携帯電話などのON/OFFまでは見えない。
副産物として、雷を発生させる雷雲や電気系能力者が近くに来ると察知する事ができるが同時に頭が痛くなる。時折物凄く知覚してしまう周期がありその時にはON/OFFに限らず、掛かる電力が小さな装置でもピカピカ光線が見える(もれなく頭痛付き)のでうんざりしているが、発信機や盗聴器の存在に気付けるという彼の人生で役に立つか立たないかさっぱり不明な特徴もある。
【概要】
明知中等教育学院の創立に関わった神輿庭家などと並ぶ御三家の一角である来栖家の現当主であり、学院で教鞭を振るうダウナー系教師。三十代中盤。対バイオテロ仕様のクリーンルームがある特別教室で学院生活を送る枠付繊弱紡芽水木花の担任を受け持っている。
才気溢れる先代当主であった来栖の父が若くして無くなり、天賦の才を受け継ぐ跡取りとしてある日突然当主となった。
来栖家全員から絶大な期待を寄せられながら能力開発を受けた来栖は正真正銘の無能力者と判定された。ミクロの世界でほんの少しでも能力を起こす事ができない能無しの来栖に周囲はひどく落胆した。
それでも当主として来栖家の名に恥じない人物にならせる為にあらゆる学習を叩き込み、様々な経験を積ませる機会を設け、助言役として幾人かの付き人まで付かせながら財界から招かれる幾多のパーティーや懇談会、果ては重要な案件を決める会議にまで出席させた。
しかし、結局のところ来栖は来栖家の期待を裏切る事となる。当初は表向きにでも来栖家の跡取りとして周囲からの後押しに順応し当主らしく振舞うも次第にやる気を失くし、来栖家の意向を無視して勝手に教職の資格を習得、学園都市で教師としての生活を始めたのだ。
当主への多大な投資が無駄になった来栖家は、比例するように財界からも繋がりを断たれ始め没落の道を歩み始める。今では学院の創立に関わった御三家の中で一番衰退しており、学院や他の御三家からは「御三家の中で未だ見栄だけはご立派な一族」と見做されている。
よって学院に対する影響力は殆ど無いといってよく、学院側にも足元を見られている。8年前に明知へ赴任した来栖がいるもののそんなものは何の足しにもならない。
とはいえ、来栖に代わる新たな当主を血縁から出さないのはまだ来栖に対する微かな期待感を抱いているからに他ならない。
それは先代当主の威光もあるだろうが、来栖の意思を無視した教育を施し、勝手な期待を押し付けてきた罪悪感に来栖家がようやく気付いたからでもある。
来栖家現当主来栖治鵡が本当は何をやりたかったのか、何になりたかったのかを見極めてからでも新当主探しは遅くない…これが今の来栖一族の総意である。

学院での担当科目は現代国語。完璧な無能力者であった為に経験として能力開発授業は任せられないと判断され、それ系の授業は一切受け持っていない。
現代国語に関する指導力と生徒達が残す成績がずば抜けて優れている事もあって、三部制など関係ないと言わんばかりに一部・二部・三部クラス全てで現代国語を生徒達へ教えている。
授業中でもよく欠伸をし、小テスト期間中は黒板に凭れ掛かってコックリコックリしてよくカンニングされ、暇さえあればゴシック様式の堅牢な校舎の屋根の上や並木道の木の上で胸の大きい女性が写っているエロ本を読みながら昼寝している。
但し眠りは浅い方なのでカンニングの兆候が聞こえれば即座に見抜いて注意喚起したり、思春期の生徒と一緒になって休憩中にエロ本を読み漁ったりするなど生徒とは仲が良い。
学院内の色んな場所や学院周辺の様々な施設(コンビニ、病院、レジャー施設など)でよく姿を見掛けるので、半ば必然的に生徒と接する機会が多いせいでもあるのかもしれない。事実来栖は出没する場所や施設付近に備わっている機材などを全て把握している。
獅子座(レオ)の称号を持つ獅子神陽光とはよく屋上で鉢合わせになり、世間話やエロ話の他に獅子神のように昔よく屋上で一緒にダベっていた先代黄道十二星座の生徒の話をする。
木登りが得意な猫柳錫葉とも木の上で時々鉢合わせになり、彼女の個人的な悩みの相談相手にもなってあげている。エロ話を絡めて2人ボソボソ会話してる所に枝葉の影から明知男児の会に所属する忍者官助がエロ話に小声でボソッとツッコミを入れ、猫柳の数少ない友人である桜乃門枝垂が木の下から割り込んでくる事が恒例となりつつある。
但し、生徒達の決闘の立会いには中々参加したがらない。特に『明知のアリエス』こと本多光嗣を苦手としており彼が臨む決闘の立会いからはよく逃げ出す。「もうやだよー。そりゃ仲は良いけどさ、本多の決闘の立会いなんて俺の頭痛が酷くなるだけじゃねぇか。あいつの近くに寄っていくだけで光線が幾つ見えると思ってんだよ全くさー」
なので、諸事情の為学績の主眼に決闘を置かない枠付と紡芽の担任を受け持った時は「決闘の立会いに参加できない理由ができてラッキー」と喜んだものだが、知覚過敏時期に突入すると枠付の体から発生する電磁波のせいで光線が視界にチラつくので彼女の前ではよく頭を抱えている(詳細は知らないが枠付の体が機械的な何かで動いている事に気付いている)。
大人相手でも傍若無人な態度を取る枠付と、会話する度に長話になる紡芽を相手に四苦八苦しながらも担任としてそれなりにコミュニケーションを取れるまでには2人と会話を持っている。

学年行事をよくサボる事は生徒や教師の間で有名となっている。主に持病の頭痛がーとか何とか言って一人何処かで昼寝しており、学院側からも再三注意されている。「頭痛いんでどっかで休んできますわー。後の事お願いしまーす」
それでも未だ学院で教鞭を振るえているのは担当科目の指導力の高さと、学院にとって特別枠である枠付と紡芽の担任を上手くこなしているのと、まがりなりにも御三家当主を更迭するような真似を冒したくないからであろう。
来栖は担当科目を除けば特段目立った才覚は持ち合わせていない。来栖家に叩き込まれた学習はどれも中途半端に終わり、得てきた経験を活かせる場面もそう多くはない。
本人が自慢を張れるのは「担当科目での勝負なら誰にも負ける気はしない……かもしれない」の一点のみ。
目立つ才覚では無い部分での特質として、来栖は環境や置かれた立場に素早く順応する事に非常に長けている。
長いものには巻かれろ的な意味合いとは少し違うが、空気がまるで違う一部・二部・三部クラスそれぞれで授業する時は各々の空気に合った授業を行っている。
来栖家の英才教育を端に発する多くの経験は間違いなく来栖の血肉になっており、才能が劣っていると見做される三部クラス生徒の憤りも、上に昇る事を望む二部クラス生徒の貪欲さも、上に立つからこそ発生する悩みや慢心を抱く一部クラス生徒の複雑な気持ちも来栖は理解できる。
黄道十二星座の一部を筆頭に明知男児の会や烈闘星のように派閥を形成したがる者達の思いも、派閥のようなしがらみに囚われぬよう弧高を好む者達の思惑もわかる。
しかしまたそれらに賛同するかと問われれば話は別。個々人の事情と照らし合わせて是非を判断し、必要だと思えば指導を行う(普段の不真面目が影響して説得力は薄くなりがちだが)。


明知中等教育学院の卒業生である帝白紫天とは、生徒会業務を通じて親しくなった。よく屋上で一緒になって昼寝したり、彼の将来の目標であるサーカス団結成の話を聞いて「オープンしたら見に行くからチケット無料でくれ」と頼んだりと教師と生徒の関係でありながら気が置けない関係を築いた。
彼が望んでいた学院に根付く抗争やクラス分けによる差別の抑制にも賛同の意思を示していたが、その後新たな学院長となった蕩魅召餌らの方針によって再び振り出しに戻った学院の在り方に内心溜息を吐いた。
それでも順応して教師生活を送っていた矢先に起きた「伝説の卒業式」事件。来栖は例の如く人気の無い隅っこの方で卒業式をサボっていたのだが、急に彼の視界に光線が走った直後に近くの建物の屋根から銃声が響いた。
猫柳に教えて貰った木登りの極意を使って瞬く間に木を伝いながら屋根へ上がり、再び狙撃を敢行しようとした不良生徒を抑え込んだ。
生徒が持っていた狙撃銃のスコープを使って何が起こったのかを判断し、撃たれて瀕死の重傷を負っている斗修星羅の為に、外部への醜態など気にせずに近所の医者へ連絡し急行して貰った。
誰もが突然の事で混乱している最中ひとり部外者の立ち位置にいた来栖の機転もあり、医者による応急処置後救急車で運ばれていった斗修は一命を取り留めた。
この件を境に、「内部抗争により生徒死亡」という醜態としては最悪の部類に入る危機を『たまたま』食い止めた来栖の働きを評価した学院側からの視線は若干冷たさが軽減されるようになった。
後に謹慎明け後登校するようになった斗修には会う度に礼を言われるので、面倒臭くなった最近では彼女が会いたがっている素振りを見せる白雪窓枠の居場所を教えて誘導している。
この一件について来栖は、今は白帝学園の生徒である帝白に秘密裏に教えている。同じく明知の卒業生であり白帝学園に通う矯星美璃亜を経由し、電子的含め連絡の痕跡が残らない細工をしてから自身常連客となった『百来軒』で待ち合わせし、福百紀長が振舞う絶品のラーメンを食べ合いながら久し振りに顔を合わせた帝白に卒業式の一件を伝えた。
元明知生徒会会長である彼の意見を聞きたいと思っての事だが、彼の話を聞いて以降来栖は先代生徒会長白雪窓辺の件で再び矯星を経由して帝白から連絡を貰うまで彼とは一切会う事も話す事もしなかった。


この空白の期間の間に、来栖は一度だけ学院長蕩魅召餌の邸宅兼私設研究所の敷地内へ足を踏み入れた事がある。
担任を受け持つ枠付と紡芽の能力から得たウイルス研究レポートの提出を失念していた職員が運悪く急病の為休んでいた事もあって担任である来栖が直接学院長の下へ届ける為に向かったのが契機。
提出期限がヤバく急いでいた所に丁度通り掛かった本多と出会い、本多に言われた通りに傍にあったマンホールの蓋にしがみ付いた途端彼の磁力操作によって猛スピードで吹っ飛ばされ敷地の中心部付近へ落着した
最後まで本多が磁力操作をしてくれたおかげで何とか怪我も無く済んでホッとしていたところ、目の前の邸宅から出て来た学院長の仕えらしき警護の者達に取り囲まれて尋問される。しかし、別段隠す事など何も無い来栖は頭痛を抱えながら正直に受け答えをした後レポートを仕え達に渡してその場を後にする。
最初に来栖の前に立ちはだかった人間…女性用のライダースーツのような細身の駆動鎧を着装し、素顔はフルフェイスのヘルメットに隠している女性の声に何処か聞き覚えがある感覚を抱きながら。
【特徴】
177センチ72キロ。ボサボサの長髪で右目にだけ前髪が掛かっているので他人からは来栖の左目しかはっきり見えない。髪は枯草色。鼻のてっぺん付近に僅かにだがそばかすがあり、顎からは無精髭を垂らしている。
艶のあるクロコダイル製ベルトを巻いている男らしい漆黒のテンガロンハットをよく被る。服装も暗色系チェック柄のシャツの上から黒の革ジャンを羽織り、藍色のネクタイは首元部分を緩め、下にはジーンズを穿くなどカジュアル系。大手衣服メーカーの御曹司本多光嗣渾身のコーディネートである。
人畜無害の一般人を自称するだけあって、他人に全くと言っていい程警戒心を抱かせない。大体抱かせるのは「エロオヤジ」もしくは「こいつは見下してもいいな」のどちらかというとお世辞にも褒められたものではない印象である。
趣味というか普段からすごく眠そうにしているので昼寝が好き。来栖が決闘の立会いや学年行事に参加したがらないのは、補助装置の使用許可が下されている決闘や大覇星祭や一端覧祭など電気系能力者や人をあっと驚かせる機械的装置などが一斉に集まる学年行事で余計な頭痛を抱えたくないからである。よく寝るのは頭痛を抑える為でもあるのだ。
胸の大きい女性が大好きだがちっぱいもそれはそれで趣きがあるらしい。会話の間にエロ話をよく捻じ込むがお下劣レベルにまでは踏み込まない。エロ本多数所有。
【台詞】一人称「俺」。蕩魅召餌へは「学院長様」呼び。
「まぁ人生で一度切りの青春だ。思い切って謳歌しろよー。間違っても俺のような『能も力も無い跡取りに投資して損した』なんて揶揄されるような大人になるような青春だけは送んなよー」
「おーい。人がコックリコックリしてるからってカンニングなんて馬鹿な真似は止めろよなー。まっ、俺も小テスト中にコックリコックリ転寝をこいてる不真面目先生だ。今のは見なかった事にしてやるから安心しな」
「相変わらずの態度だな枠付よぉ。少しは紡芽の慎ましさを見習ったらどうだ?そうしたら、少しはお前も紡芽のように胸が大きくな……はいはい。俺が悪うござんした。あー、紡芽も冷たい目で俺を見んなよ。…うぅ、お前の説教は長話になるからなまた今度な。そんじゃ今日のホームルーム始めんぞー」
「さぁなー。獅子神、お前もあのじじくさい先代も俺のような人畜無害な一般人からすりゃどっちも怪物だっつーの。そうだなぁ、どっちが強い弱いなんてのはわからねぇが、少なくともあいつは俺のエロ話にてんで食い付かなかったわ。マジで性欲枯れ果ててんじゃねって思うくらいによ。後は…お前とは違う意味で自由な人間だったよマジで」
「おい猫柳。またお前のお友達が恐い目で俺を睨んでくるんだけど。やっぱセクハラか何かと勘違いされてんのか?早く木から下りて誤解を解いてきてくれよ。……ふぅ、今日の相談は少しばかりヘビーだったな……それと官助。エロ話にツッコミ入れるなら、猫柳の後ろからじゃなくて俺の後ろからにしろよ。ビックリしてたぞあいつ」

「何だよ。意外そうな顔してんじゃねぇよ。人ってのはよ、『シメシメ』とか『もらった』とか思った瞬間が一番危ねぇらしいぜ。つー事で大人しくおねん寝しときな。オラッ!……チッ。サボってたらやべぇ事になってんなー。あそこの監視カメラがちょっと前に壊れてたのはこいつ等の仕業か。確かにここは絶好の隠れ蓑ポイントだわなー。とりあえず、皆混乱して右往左往してるし俺が近所の医者呼ぶか。救急車呼んで担がれる暇があったら、まずはあそこの医者に来て貰って診させた方が助かる確率高いだろ。外部への醜態なんざ知るか」
「斗修よ。ここだけの話だがよ、さっき中庭で白雪を見たぞ。彼氏と一緒だったぜ。俺に会う度に礼を言ってる暇があるなら、さっさと白雪の所へ行って……てもう行っちまったか。あいつも変わったなー。これが良い方向へ転がってくれるかどうかは…まだまだ予断を許さねぇっていったところか」
「オレハアヤシイモノジャアーリマセン。ホントウデスヨ。ウソナンカツイテイマセン。……はいはい真面目にやりますって。俺は学院の教師だって。学院長様に提出しなきゃいけねぇウイルス研究レポートを持ってきただけだって。あんたら、学院長様の仕えか何かだろ?ほら、確認してくれ。頭痛ぇんだから早目に頼むわ(…何だこいつら。俺が敷地に入った途端光線が視界をビュンビュン飛んだと思ったら速攻出てきたな。武器、あるいは能力か…邸宅兼私設研究所だっけ?こいつらがいりゃ卒業式の事件もすぐに鎮圧できたんじゃねーの?てか、マンホールどうしよ?持って帰るっつっても…重ぇよ本多ぁ)」
「(天秤座(リブラ)の白雪の従妹が…な。わざわざ矯星を経由して秘密裏に連絡をよこしてきたんだ。本当なんだろうなー。帝白。お前、いつかの『百来軒』で言ってたよな。『わしのような老兵が出しゃばってどうするんですかいの?本当に明知を変えられるのは、今この時我が母校で青春を送る明知生だけですぞ』てよ。そのお前が挙げた数少ない『例外』…表舞台じゃなく裏舞台だが…いよいよ明知中等教育学院に再び関わってくるか先代天秤座!)」
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最終更新:2015年12月25日 22:35