【名前】蕩魅綺鵺(とれみ きぬえ)
【性別】女
【所属】科学 /
白夜部隊
【能力】禽獣使い(ビーストテイマー)レベル4
【能力説明】
人間を除く哺乳類、及び鳥類全般を対象とした精神系能力。同系統の動物操作能力者に比べ干渉できる種類が幅広く、動物版『心理掌握』とでも言うべき十徳ナイフのような汎用性から大能力者の評価を得た。
具体的には動物を意のままに操る、対象の視覚や聴覚などの五感情報を取得する、記憶を読み取る、興奮を抑える或いは増幅する、火などの本能的恐怖を削除するなど。
小動物なら数十匹の群れ単位、大型の動物になると十頭ほどを一度に操作可能。ただ細かい指示が出せるのはその内の三頭くらいで、後の動物には比較的単純な指示(「待て」「襲え」「観察しろ」など)を与えている。
日常で好んで対象にするのは、高い知能・記憶力を持つカラスやネズミ。暗部活動時に操作する幻獣種(デザインキメラ)は新種の生物だが、綺鵺は投薬や催眠療法を用いた自己暗示によりそれらを能力の対象に設定する事を可能とした。
幻獣種(デザインキメラ)
綺鵺の要望を基に、生体デザインの権威
木原縮退によってデザインされた新種の生物。それぞれが神話や伝説に登場する想像上の動物を模して作られている。いずれも大型であり、自重による崩壊を防ぐために超軽量超硬素材の置換骨や馬具のように見える局部的駆動鎧の外装といった工夫が施され、見た目より遥かに優れた敏捷性を誇る。
『ユニコーン03』
一角獣を模したデザインキメラ。他のキメラと違い、常に綺鵺の傍に控えて主を守護するように命じてある。
『ペガサス08』
天馬を模したデザインキメラ。サラブレッド並みの体躯でありながら優れた飛翔能力を持ち、上空よりの急降下から繰り出される蹄の威力はコンクリートを粉砕する。
『グリフォン07』
頭部と前肢、翼が鷲で、胴と後肢がライオンのデザインキメラ。上空より襲い掛かり、鷲の鉤爪は鋼板を紙切れのように引き裂く。ペガサスより更に重量級で、その突進はダンプカーに激突されるに等しい。
『マンティコア04』
綺鵺の切り札たるデザインキメラ。ベースはライオンだが一般的なサイズの三倍以上という巨躯を誇る。巨大な顎には鋭い歯が三列も並んでおり、顎の力は戦車の装甲を噛み千切るほどで一噛みすれば致命傷は避けられない。また尻尾は蠍の毒針になっており、先端部を銃弾並みの速度で射出する事もできる。気性は獰猛で好戦的、当然のように肉食で驚くべき健啖ぶり。
HsIA-00『アルテミス』
綺鵺の要望を基に、『白夜部隊』の技術部が設計・製造した彼女の専用兵装。拳銃の扱いがどうしても上手くいかない綺鵺のために、彼女の射手としての非凡な才能を最大限に生かす事を目的に開発された。
外観はアーチェリーそのものだが、内部構造は高速演算処理を実現するための精密機器の塊。弓に矢を番えると『演算銃器』と同様に赤外線によって標的の材質・厚み・硬度・距離等を正確に計測し、破壊に最適な『鏃』を瞬間的に形成する。
さらに使用時に装着するグローブ型のマニピュレーターを通じて脳波の思考パターンを入力し、破壊以外の用途に適した鏃もマニュアル操作で設定可能。弓本体のカートリッジに封入された薬品の調合次第で毒や麻酔薬、自白剤なども生成可能な他、矢のロックを解除すればバッテリーの放電で無線式のテーザー銃のようにも扱える。
【概要】
明知中等教育学院の卒業生であり、
蕩魅召餌の私設部隊『
白夜部隊』に所属する高校生くらいの少女。幹部構成員の一人で、作戦中のコードネームは『キメラ』。
蕩魅の養子である『
星の仔ら』の中では最年長かつ最古参の一人で、他の兄弟からは「姉さま」と慕わる存在。養父から兄弟たちのまとめ役を仰せつかっており、情報伝達の集約を担う。蕩魅に絶対的な忠誠を誓っており、彼の命令を絶対遵守する事こそ自分の存在意義だと信じている。
蕩魅と出会う以前の『置き去り』だった頃の記憶を意図的に忘却しようとしており、自分には養父と共にある今とこれからさえあれば良いと言い切るほど蕩魅への依存心は強い。だが彼から愛情という見返りを求める事すら烏滸がましいと思っており、ただ服従する事にこそ悦びを見出す人格破綻者。またその他の人間への感情の起伏はひどく平坦であり、自分と同じ境遇の兄弟たちに微かに情を示す程度で、家族以外の人間に至っては全てどうでもいいと思っている。しかし『白夜部隊』の活動時はメンバー同士のチームワークも重要だと蕩魅に諭されてからは、最低限の意思疎通を行い、部隊長の指示を守るようになった。
極度の人間嫌いである一方で、能力の影響か動物には素直に心を開く事ができるらしく、ペットには家族の一員として無償の愛情を注ぐし、道端で捨て猫を見掛けたら放っておけないタイプ。
三年前、蕩魅の学院長就任と時を同じくして至難とされる明知の編入試験を突破し、二年生から一部クラスに編入された。新参者の編入生であったが、『蕩魅』の名を冠する模範生としての振舞いを一部クラスの生徒たちや教師陣に認められ、学院長の強大な後押しもあり、二学期しか過ごしていないにも拘らずその年の生徒会長選挙に当選する。当然ぽっと出の生徒会長に『親の七光』だと反発する声もあったが、綺鵺はその後二年生の首席を収め、彼女が在籍した二年次のクラス全体が彼女に牽引されるように成績を伸ばし、学年総合一位の座に着いた。更にこの頃レベル4の認定を受け、洋弓部に所属し決闘での弓使いぶりから黄道十二星座『サジタリウス』に叙される。彼女が三年に進級する頃には目立った反対派はすっかり鳴りをひそめ、有無を言わせぬ結果を出す事で周囲に自分の力を認めさせた綺鵺と、彼女の成功を確信し父親ではなく一人の教師としてこの結果を導く先見性を持つ蕩魅の二人は学院の大部分で信頼感や期待値を勝ち取っていた。
生徒会長としての方針は
前年度の会長の意向を白紙化した蕩魅案を推し進めるものであり、即ち明知の伝統に立ち返った三部制による純粋な競争構造の促進。それは学院を牛耳る蕩魅本人が主導するよりも、全生徒の代表である綺鵺が提案し、学院長に受理される形で施行される方が蕩魅への反感は生まれにくい。結果として彼女が生徒会長を務めた一年間で、雪解けへ向かっていた三部制はじわじわと冷たさを取り戻していき、エリートと落ちこぼれの格差は溝を深くしていった。
中学卒業後は養父同様に海外の外部協力機関に留学するために学院を去った事になっている。だが実際は身を隠すための方便であり、生徒会長の次は『白夜部隊』の一員として蕩魅の役に立つ事が今の彼女の生きる理由である。部隊での役割は蕩魅の周辺警護と侵入者の捕縛及び抹殺。
任務がオフの時は蕩魅邸のプラネタリウムに篭って星を眺めたり(蕩魅の声による解説付き)、ペットの動物たちと戯れたりして過ごす。部隊のメンバーとは任務以外での付き合いは滅多にしないが、部隊内の『仔』が仲を取り持つ形で食事会に加わったりする内に何故か気になる存在がいる事に気づき、蕩魅以外の人間に抱いた事のない未知の感情に戸惑っている。
【特徴】
身長170センチ。一見華奢な体型だが弓を引ける程度には鍛えている。胸はCカップ。弓使いには無用の長物、らしい。
髪は濃紺のセミロング、真紅の瞳の正体は兵装の照準補助デバイスを兼ねたコンタクトレンズ。
オフの時は色白の肌が映えるように黒系のゴスロリ衣装を好んで着用する。任務中は女性用のライダースーツような細身の駆動鎧を着装し、素顔はフルフェイスのヘルメットに隠している。
【台詞】
「皆様、お初にお目に掛かります。わたくしがこの度本年度の生徒会長を仰せつかりました、蕩魅綺鵺と申します。この学び舎では日が浅い新参者ではありますが、こうして選んで頂いたからには『七光』と呼ばれぬように、学院生活の水準向上に寄与していきたいと思いますので、どうかご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いします」
「
叶依、その後『リブラ』……今は『
ヴァルゴ』だったかしら、彼女の様子はどうなの? ……そう、分かったわ。今後も何かあったら、逐一わたくしに報告して頂戴。ん?どうかしたの。 ……何でもないならもう切るわね。―――“我らの頭上に、星の導きがあらん事を”」
「お父様に『蕩魅』の姓を頂いたあの日から、わたくしの見ている世界は色彩を取り戻したのです。この身この命、そして心も、私の全てはお父様のために。あぁそんな、礼だなんて仰らないでください。お父様への忠誠に見返りを求めるなど不遜ですから、気にせず何なりとお申し付けくださいな」
「ユニは普段通り、射撃中無防備なわたくしを守って。ペガ、グリ、貴方たちは暫く牽制に徹しなさい。後方から援護するわ。マンティ、貴方は今回お留守番よ。貴方が食い散らかすと後始末が大変だって下から苦情が来てたの。言っておくけど、わたくしがいないからって他のコを食べちゃ駄目よ。分かった?」
「一体どうしたというの、わたくしの体は。あの人の前に立つと、つい視線を逸らしてしまう。動悸もおかしい。それに姿が見えないと、自然とあの人を目で探してしまっているような。こんなのって、変よ。お父様以外の人に、こんな矛盾した感情を抱くなんて、本当にどうかしてる。 ……この手の話題は
緋冴が詳しそうよね。一応、まぁ一応相談してみるのも良いかもしれないけれど」
【SS使用条件】
特になし
最終更新:2016年01月05日 01:08