【名前】庵西院泥夢(あんざい なずむ)
【性別】男
【所属】科学
【能力】記憶樹脂(メモリーカムバック)レベル3
【能力説明】
触った合成樹脂に形状記憶特性を付加する念動能力。通常の念動力のように浮遊させる事はできない。
イメージとしては紙を折る際の折り目。この折り目の付加が能力の肝であり形状記憶の道標となる。

例:合成樹脂の塊に能力を掛け、馬型の成形とする。この場合、
  • 馬の脚を再現している部分の折り目に沿って合成樹脂を操る事で合成樹脂製の馬が走る。但し、折り目に沿った行動のみという一直線的な動作に限定される。その上バランスをよく崩すので使い物になるかと問われれば正直微妙と言わざるを得ない。
  • 折り目に沿って戻す事で馬を元の合成樹脂の塊に戻す事ができる。しかも、形状が記憶されている塊は、今度は庵西院が触らなくても馬に成形する。
  • 形状記憶の解除は任意で可能だし、部分的解除もできる。そこから新たな折り目を作る際は再び触る必要があるが、逆に部分的解除した上で残っている折り目を使って新たな造形を部分的に構築する事は可能。

制限は合成樹脂の個数でも無く操作範囲でも無く折り目の数という変わった制約の能力。折り目が少なければ少ない程多くの対象に能力を仕掛けられるが、逆に折り目が多ければ多いほど対象の数は絞られる(折り目の具体的な数字は定めません。少なくとも例に挙げた馬は成形可能。この馬一体の造形が折り目付加の上限という解釈でもOKです)。
この能力を使う際のコツは、予め人の手で成形されている合成樹脂に手を加える事。そうする事で一から合成樹脂を任意の形に成形するパターンより多くの対象へ能力を仕掛けられる。
【概要】
唱和園高校三年生。『奇行一座(ウェイステッドワークス)』の一員であり、『奇行一座』きっての【奇行屋<ウォーズマン>】とされている。
また、『唱和園の七不思議』の一角たる『死生生物達の饗奏宴(ライフ・アンド・デス・オブ・フルオーケストラ)』が発生した元凶でもある。
街中を歩けば落ちている空き缶を拾い、公園を歩けばゴミ箱に捨てられているスプーンを、路地裏を散策すれば放置されているドラム缶や水道管などを拾い集め、自宅へ持って帰る。
一般的にゴミとされる物を隅々まで洗浄し、湧き上がる創作意欲そのままにゴミを加工しながら組み合わせて様々な楽器を作る。
アルミ缶やフォークに木枠などでバイオリンやギターを、水道管や鍵などを用いてフルートを、コインやビンの蓋でサックスを作る姿は、時代の最先端をトップスピードで駆け抜ける学園都市の生徒とは思えない異質な少年。
能力が成長してからは様々な合成樹脂を漁り求め、アクリル絵の具などと組み合わせる事で立体的かつ生命の死生観を表現している彫像や絵画を生み出したりと非常に創作意欲に富んだ人間である。
その独創的感覚で生み出した作品を例に上げると、「顔の右半分は生命力溢れる表情、左半分は死に絶えているような虚ろな表情を浮かべる馬」、「ゴミの中から見付けた木枠を組み合わせて、彫像の口部分から木枠が『生えている』鹿の生首」。『さすがに刺激が強いだろう』と考えて他人には見せていなかった…『七不思議』の件があるまでは。
「いつもイニシアチブであれ。常にクリエイティブであれ。そうあれば、たとえ目に映る物や事が客観的に不必要と分類されてしまう物でも一瞬で己の人生を変えてしまう程の素晴らしき出会いに様変わりする」という親の格言をいつも胸に留めている。

『奇行一座』きっての【奇行屋】とされている最大の理由は、学園都市の英知の結晶であるハイテク機器が全く使えない機械オンチだから。より正確には『使わない』から覚えない。使っていけば物覚えは早い。合成樹脂の成形装置操作は最早職人レベルである。
『時間に束縛されるのが嫌』という理由で時計はおろか携帯電話さえ持っていない。学校でも時計は見ない、自宅にも時計は無いという徹底振り。
見るに見兼ねた『奇行一座』のリーダー大玄利則から連絡用も兼ねたノートPCを贈られたが、『時刻表示がある』という理由で中々起動しない(おおよその時間間隔は体内時計…つまり腹の減り具合で測っている)。
よって、『奇行一座』のメンバーのくせに『奇行一座』の活動時刻に毎度遅刻する、着いた時には既にメンバー達は風紀委員や警備員から逃走しているのが大体のお約束。
最近では時刻表示の無い(メールの受信時刻さえ表示されない)特注の携帯電話を大玄から貰い、『奇行一座』メンバーで小学五年生の飛規斜子から操作方法を教えて貰っている。
どちらが年上なのかがわからなくなる構図を作り出す庵西院が『奇行一座』へ加入した理由は、親が自分へ贈ってくれた格言に『奇行一座』が当て嵌まると直感したからである。

そんな幽霊部員状態の庵西院の為を思って、リーダー大玄から庵西院の携帯へ一通のメールが送信される。
内容を要約すると『「オバケが出そうな何処かの夜の学校で各自おバカ行動を繰り広げる動画を取って来い的大会」を三日後の深夜三時より明け方まで開催するからちゃんと動画を取って来い』というもの。
『奇行一座』に加入して以来ロクに皆の活動に参加できていない事、今回は皆単独活動である、『深夜三時から明け方』までと時間の幅に余裕がある、動画の取り方がわからないので開催日時まで右往左往していたという、見るからに浮き足立っている・ワクワクしていた庵西院は企画におあつらえ向きである母校唱和園高校に狙いを絞った。
気を抜けば眠ってしまいそうになる睡魔と懸命に格闘しながら、慣れない動画撮影の準備を自分なりに整え、最低限の変装をしながら唱和園へ向かった庵西院を待っていたのは、メンバー全員が期せずして唱和園に侵入し持ちうる技術全てを使って馬鹿騒ぎしている光景だった。


大玄利則「オバケが出そうな何処かの夜の学校」
滑子進ノ助「非科学的な事象がよく否定されるこの学園都市でじゃろ?」
切瀬漢時「今時の推理小説でもオバケの存在が実証された試しは無いしね」
星地瑠璃香「そんな中で面白動画の舞台に相応しいオバケが出るなんて噂が立っている学校だなんて」
飛規斜子「…庵西院さんが通う唱和園高校くらいしか思い付きませんでした」


誰も彼も全くの偶然で、皆が『オバケが出そうな何処かの夜の学校=唱和園高校』と連想して、若干到着が遅れた庵西院を除くメンバー全員がバッタリ遭遇した同僚に驚きながらも「負けられるか!」という意地一つで騒ぎ、浮き足立つ自分が到着する前から盛大に奇行を繰り広げる場面に遭遇した庵西院は何故か無性に、堪らなく悔しくなり一度自宅へ戻った。
数十分後唱和園へ戻って来た庵西院は、自宅から大量の『作品』を持ち込んできた。「顔の右半分は生命力溢れる表情、左半分は死に絶えているような虚ろな表情を浮かべる馬」、「ゴミの中から見付けた木枠を組み合わせて、彫像の口部分から木枠が『生えている』鹿の生首」を筆頭に多種多様に渡る不思議生物の彫刻や立体的に映る絵画を総動員し、形状記憶を活かした動作付加で『奇行一座』メンバーを驚かしに掛かった。
勿論『奇行一座』メンバーは驚愕する。だが、驚愕するだけで終わらないのが『奇行一座』メンバーたる所以。
暗闇に染まった深夜も影響して、生きているのか死んでいるのかさえ不明な死生生物達の乱入に呼応するかのように奇行をヒートアップさせていく各『奇行一座』メンバー。滑子の摩擦係数操作能力で彫像達が群れを成して行進する。切瀬の空間移動能力で空中に突如姿を現しては消え去る不思議生物達。
飛規の計算し尽くされたワイヤーアクションに連動する立体的かつ躍動的な絵画達(元々の紙が闇に溶ける黒だった為、絵画に映る生物が本当にそこにいるように映る)が空を飛ぶ。
死生生物達がゴミで作られた楽器を打ち鳴らし、どんどん騒がしくなる饗奏宴は最高潮を迎える。
最後の〆として庵西院は完成直前だった古代中国の神獣である麒麟が立体的に見える大きな絵画にその場で最後の一筆を足し、大玄の念動能力で唱和園校舎の天上付近から吊るしてはためかせて貰った後に証拠隠滅工作を行い唱和園から去った。一連のどんちゃん騒ぎは余す所無く全て星地の手で収められ、後日『奇行一座』サイトに『「奇行一座」は見た!唱和園で産声を挙げる新たな都市伝説を!!』というタイトルが付いた編集動画がアップされた。

これが唱和園生徒の目に止まり、瞬く間に生徒間の間に噂として広がった。今までの『奇行一座』の行動パターンとは全く以て外れる動画映像に、一部では『「奇行一座」の新メンバーの仕業』という声も見られたが新たな都市伝説誕生を歓迎する多数の声に掻き消される。
それは生徒達の多くが都市伝説に興味津々な事もあるが、動画の最後に映し出された、最古の『七不思議』である『童怪』の如く『生きているようにしか見えない』古代中国の神獣麒麟の影響もある。
庵西院を含めて生徒は時折こんな不思議体験を口にする。『夢の中に麒麟が現れたんだ。そしたら、その日から運が良くなった気がするんだ。不思議だろ?』と。
だがしかし、一番の影響はやはり『奇行一座』の奇行を置いて他に無し。庵西院泥夢がピタゴラスイッチ的流れの開始地点となり、おバカ行動に全身全霊を注ぐ『奇行一座』が引き寄せられ、偶然が偶然を呼び人が人を呼んだ結果産声を挙げた都市伝説は最新の『唱和園の七不思議』として『死生生物達の饗奏宴(ライフ・アンド・デス・オブ・フルオーケストラ)』の銘を与えられる。
そして。これを切欠とし庵西院は真の意味で『奇行一座』のメンバー入りを果たした(と本人は考えている)。
遅刻癖は相変わらずだが、以前よりは各メンバー間との付き合いも深まった。これを見越した上での開催だったのか…真実を知るはリーダーたる大玄利則のみ。
【特徴】
デコが広めで長短の丁度中間くらいの長さに切り揃う逆立つ臙脂色の毛。175センチ70キロ弱。狐目なのは、細かい作業をする際によく目を細める癖が自然と身に付いた為。
普段からして落ち着いた性格なのだが、一度(庵西院曰くの)『沸点』を超えると色んな意味でブレーキが掛からない自由な行動力を発揮するのは『死生生物達の饗奏宴』での庵西院の行動を見てくれれば理解できるだろう。『奇行一座』きっての【奇行屋】と称されるのは、実はこの辺も絡んでいる。
拘り事には徹底的に拘っていく職人気質。携帯電話の使い方などを教えて貰う飛規と気が合うのはその為。お礼として飛規の勉強を見ている。
【台詞】一人称「僕」。年上にも年下にも丁寧語。『沸点』超えたら口調は激変する。
「『死生生物達の饗奏宴(ライフ・アンド・デス・オブ・フルオーケストラ)』か。何時の間にか、すごく格好良い都市伝説名が付いてたんだ。僕って都市伝説とか余り興味が無いからなぁ。クラスでも一人でいる事ばっかりだから、そういう流行に疎いんだろうな」
「あぁ、また遅刻した。リーダーに携帯貰って、飛規ちゃんに使い方まで教えて貰っているのに。僕の腹時計が狂ってい……そういえば作業の合間に間食としてメロンパン食べたんだっけ。あれがいけなかったか」
「【奇行屋<ウォーズマン>】って名前、実は結構気に入ってるんです。だって、表現っていつの時代も『戦争(ウォーズ)』みたいな感じじゃないですか。自分の感情を、自分の表現したい事を実際に表現するのってまさに自己と…世界との『戦争』ですよ」
「オラッ!オラッ!オラオラオラアアアアッッ!!このまま終われるか!イイ所を掻っ攫われたまま終わりにさせられるか!このやるせなさを表現するには…これだ!!表現は自由だ!表現し切れないものを表現しようとする志は誰にも束縛されない!」
【SS使用条件】
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最終更新:2016年01月13日 00:44