「オラッ!!」

ガシャーン!!

「ひぃーっ!まただー!」 「逃げろー!」

ここは成瀬台高校の廊下で時間は丁度昼休みだ。しかし今日は一段と騒がしい。
なぜなら廊下の窓ガラスが成瀬台高校の1年生、行灯疾風によって割られているからだ。

「何見てるんだ!文句あるやつは殺すぞ!」
「ひいっ!」

行灯に睨まれたとある生徒は震え上がっていた。
それもそのはず、行灯は成瀬台高校では悪い意味で有名な生徒なのだから。
何でも成瀬台屈指の問題児で、校内のみならず他校の生徒やスキルアウトのメンバーにまで喧嘩を売るという。
その問題行動が原因で留年しており、1年生ではあるものの本来は、2年生である「速見スパイラル」こと速見翔界刺得世と同年齢なのだとか。

「またお前か行灯!」

とある生徒を睨んでいた行灯が声の聞こえた方を見るとそこには、教師である餅川晴栄がいた。
知らせを聞いて止めにきたのだろう。

(チッ…餅川か。面倒くさい…)

行灯は面倒くさそうに、窓ガラスを割った金属バットで餅川に殴りかかる。

「死ねェ!」

餅川の肩にバットが振り下ろされそうになるが、なんと餅川は素手でそのバットを掴んだ。

「そんな物騒な物振り回すんじゃねぇ!コラ!!」

焦った行灯はバットから手を離して右手で餅川に殴りかかる。しかしそのパンチも悉くかわされ、今度は餅川に拳骨されてしまう。
拳骨されて頭を押さえてたら、その両手を掴まれて抵抗できなくなった。

「痛!俺に拳骨するなんてバカにしてるのか!?離せクソ餅川!!」
「ああ!?窓ガラス割ったやつを大人しく離すバカがどこにいんだコラ!?」
「クソォォォ!」

行灯はバットで殴ろうとしたときに能力「幻影模写(ドッペルゲンガー)」を使っていれば勝ってたかもしれないと後悔していた。
しかし幻影模写は複数の分身を見せるだけの能力なので、両手を掴まれたこの状態で能力を使っても何の意味もない。行灯は諦めるしかなかった。

その後器物破損で謹慎処分を受けることになってしまう行灯であった…
行灯は帰りに寮の近くの公園のベンチに座っており、昔の事を思い出していた。

(……)

三年前のとある中学校の教室…

「あ、あれ?俺のノートがない…」
「おーい行灯!ノートならここにあるぜ!お前レベル3(当時)なんだから当然取り返せるよな?」
「か、返せよ!うわっ!」

「ははは、コイツ転んでるぞ!おもしれー!」
「いくらレベル3でもこんなに弱かったらレベル0と同じだな弱虫!」
「うう……」


(何思い出してんだろ俺は…)

行灯は寮の部屋に戻ろうとすると、

「行灯じゃねえか。こんなとこで何やってんだ?」

行灯が振り向くとそこには餅川がいた。

「ゲ、餅川……」

行灯は急いで寮に戻ろうとする。

「おら待て!逃げようとすんな!!」
「寮まで何しに来た!?まだ俺になんか用でもあるのかコラ!!」

「違う!荒我に用があるから来ただけだ!」
「荒我?」
「ああ、あいつはお前とは違うクラスだからそんなに知らねえか。」

荒我拳…2人の舎弟が居るらしいが行灯とは違うクラスのため、これといった接点がない。

「それより…なあ行灯、何でお前はいつもあんなに問題ばっか起こしてんだ?」
「俺が強いってことを他の奴らに分からせるために決まってるだろ。そうすれば俺に絡んでくるバカは居なくなるからな。」

「そうか…だが俺はお前をそこまで強いなんて思ってねえ。むしろ荒我のほうがよっぽど強いと俺は思う。」
「ああ?俺があんなレベル0より弱い?笑わせんな…荒我とアンタが喧嘩してるのを前に見たことあるが荒我はそんなに強くねえだろ!」

「それはお前が武器なんか振り回してるからだ!素手で喧嘩してるあいつの方がよっぽど強え!お前は能力や喧嘩の強さ以前に問題があんだよ!」
「黙れ!クソ餅川!!」

また行灯が殴りかかるが、殴ろうとした右腕を掴まれて餅川の頭突きをくらってしまう。これはもうなんというか哀れとしかいいようがない。

「ったく…今度は気を失っちまったか?しょうがねえな…」

結局、ため息をついた餅川は行灯を背負って部屋まで運んでいった。

謹慎処分が終わった後、行灯はスキルアウトと喧嘩をしており、そこらじゅうにスキルアウトが倒れていた。
そんな光景を見て二人の舎弟が不思議そうに話す。

「しかし最近の行灯さんって武器を使わなくなったよな…何でだろ?」
「さあ…?」

continue…?

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最終更新:2012年05月27日 00:45