北朝鮮、4月配置のミサイル「ムスダン」と表記 党機関紙の論評(2013/05/16)
朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は16日付「軍事評論員」名の論評で、同国が4月に日本海側に配置した新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」の名前に言及した。ムスダンの名は、ミサイル基地がある北東部の舞水端里の地名から米国がつけたコードネームとされてきた。北朝鮮メディアがこの呼称で報じたのは初めてとみられる。北朝鮮自身がつけたミサイルの名を米国が察知し使った可能性も出てきた。
論評は「われわれはムスダンミサイルの動きに関する(米国などの)衛星観測データに基づく論議も一面的な見方としか見なさない」と、衛星による位置追跡に信頼性はないと主張。3、4月に続き5月も米韓の訓練で危機が続いているとけん制した。
一方で「(米韓で)最近、
北朝鮮が挑発レベルを下げているとの声が聞こえる」とし、平和を志向する北朝鮮と米国のどちらが核戦争を仕掛けているか分かるとも強調した。(共同)
ソ連製の劣化版? 北朝鮮ミサイル、謎多い「ムスダン」の実戦能力(2013/05/07 産経新聞)
北朝鮮が発射待機状態を解除したとみられる中距離弾道ミサイル「ムスダン」は、過去に発射実験が確認されておらず、性能については推定が多い。専門家の中には、実戦能力を疑問視する意見もある。
英有力シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)の報告書などによると、ムスダンが初めて確認されたのは、2003年9月。平壌付近で旧ソ連の中距離弾道ミサイルR27(SSN6)に似たミサイルと発射車両(TEL)が偵察衛星に捉えられた。R27は1960年代に開発された単段式、液体燃料の潜水艦発射弾道ミサイルで、北朝鮮は90年代に技術を入手したとされる。
北朝鮮は発射実験を経ず2007年から実戦配備。10年10月の朝鮮労働党65周年の軍事パレードで内外メディアの前に初登場し、R27の性能を基に分析が進んだ。米国防総省の今月2日の報告書では、名称を特定せず、射程約3200キロ以上の中距離弾道ミサイルを最大約50基開発中としている。
だが、独専門家のマルクス・シラー氏は昨年5月と10月の報告書で、ムスダンの性能はR27より「大幅に低い」と指摘する。そもそもR27は、短距離弾道ミサイル「スカッド」を基に射程を伸ばしてきた北朝鮮の他のミサイルとは設計思想や技術が根本的に異なり、北朝鮮がそれぞれ開発するのは合理的でないという。
ムスダンの全長はR27(約9メートル)より3メートル長く、射程を伸ばすため燃料タンクを大型化したとされるが、発射車両がミサイルと比べて長く、強引に陸上発射式にした跡がうかがえる。
だが、R27は潜水艦に立てて搭載する方式。本来はアルミ製で振動に弱く、燃料も温度管理が必要なため陸上での移動には適さない。また、スカッドを除く一般的な液体燃料式のミサイルは構造上、燃料の重さに耐えられず、実際には立ててから燃料を注入して発射するため、即時発射能力も低いという。強度を高めて合金製にした場合、重量が増し射程は1500キロ以下になるといい、準中距離ミサイル「ノドン」(射程約1300キロ)とほぼ変わらないことになる。(田中靖人)
北、中距離弾「ムスダン」2基を撤去…ロイター(2013/05/07)
【ワシントン=山口香子】ロイター通信は6日、複数の米政府高官の話として、北朝鮮が、東部の日本海沿岸に展開していた2基の移動式中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射台から撤去したと報じた。
米当局は、2基は別の発射場所に移されたのではなく、発射態勢が解除されたとみているという。撤去した時期は不明。
ダニエル・ラッセル米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は同日、電話を通じた記者会見で、報道については「コメントしない」と述べたものの、「北朝鮮の挑発行為が続いていくのか、収束するのか、判断するには早すぎる」と述べ、依然として警戒が必要だとの見方を示した。
一方、国防総省のリトル報道官は6日の記者会見で、ミサイルについての言及を避けたが、「最近、(北朝鮮の)挑発的行動が休止したようだ」との見方を示した。
韓国国防省は4月初旬、北朝鮮軍が、東部の
元山(ウォンサン)周辺地域に中距離弾「ムスダン」2基を展開し、移動式発射台に据え付けたとの見方を示し、米韓などが24時間態勢で衛星などによる監視を続けている。(2013年5月7日11時03分 読売新聞)
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最終更新:2013年12月11日 09:24