カチン独立機構とは、
ミャンマー政府と内戦状態にある少数民族の武装勢力である。
ミャンマー政府とカチン独立機構、戦闘停止合意(2013/06/01 読売新聞)
【バンコク=永田和男】2年近く戦闘状態にあった
ミャンマー政府と北部カチン州の少数民族勢力「 カチン独立機構 」が5月30日、戦闘停止に合意し、7項目の文書に調印した。6月中にも正式な停戦協定調印が行われる見通しだ。
テイン・セイン政権は、 カチンを除く10の主要少数民族勢力と停戦を果たしており、最後に残った主要勢力とも停戦することになる。 これにより、すべての勢力との和平を目指す一体交渉の前進が期待される。
カチン州の州都ミッチーナで3日間の協議の末調印された文書には、
〈1〉政府軍とカチン側軍事部門「カチン独立軍」の戦闘停止
〈2〉カチン側が求める自治権拡大を巡る政治対話継続
〈3〉停戦監視委員会の設置
〈4〉戦闘で発生した避難民再定住に向けた協力
――などが盛り込まれた。
ミャンマー政府とカチン独立軍が雲南省で会談(2013/02/06)
ミャンマー政府と
カチン独立軍(KIA)は4日、
中国側の調整と手配の下、中国雲南省瑞麗で会談を行った。最近の衝突のエスカレート以来、初の直接接触だ。中国の羅照輝外交部(外務省)アジア局長が会談前に双方の代表と会見し、証人として会談にも立ち会った。外交部の華春瑩報道官が5日、明らかにした。
ミャンマー政府軍とKIAの最近の衝突は2011年6月に始まり、昨年12月にエスカレート。中国領内に砲弾が落下し、中国国境地帯の安全が脅かされていた。(編集NA)
ミャンマー北部の内戦、「これは資源戦争だ! 」(2012/07/09)
【AFP=時事】
ミャンマー北部カチン(Kachin)州では、ミャンマー軍と少数民族武装勢力のカチン独立軍(Kachin Independence Army、KIA)との間で泥沼の「資源戦争」が繰り広げられている。
2011年には巨大ダム建設が中止に、民意を受け大統領が決断
ミャンマー軍とカチン独立軍の17年に及んだ停戦協定が前年6月に破綻したのをきっかけに、カチン州では激しい戦闘が展開、以降、最大7万人の住民らが避難を余儀なくされている。
前年11月以降、ひすいビジネスで財を築いた大物実業家が中心となって地元実業家4人のグループが停戦交渉を進めている。交渉を重ねた結果、政府軍に戦闘の中止を命じる大統領令の発令にまでこぎつけたが、政府軍はさらに多くの部隊を投入し続けている。
「大統領はボクシングの試合の審判のようなものだ。『終了』と言えば戦いは中止しなければならない。だが、実際はそうなっていない」と、ひすいビジネスの大物実業家Yup Zau Hkawng氏が5月末にAFPの取材で語った。
中国と
インドにはさまれたカチン州。そこに存在する豊富な自然資源こそが内戦の原因であり、停戦の障害になっていると考えられている。
最近、カチン州の州都ミッチナ(Myitkyina)で開催された政府のタウンホール・ミーティングで、ある住民が次のように問いかけたという。
「木材、ひすい、金。カチンの自然資源は全部、ミャンマー南部の開発のために投じられている。カチンの開発はしないのか? 」
■「これは資源戦争だ」
カチン州での迫害や避難民などについての報告書を最近執筆した国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)のコンサルタント、マシュー・スミス(Matthew Smith)氏は、「紛争地域では数百万ドル規模のプロジェクトが複数進められている。紛争にかかわるすべての当事者が、この戦争の帰結に経済的な利害を抱えている。中国こそが、誰も話したがらない重要な問題だ」と語る。
カチン州では現在、ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州からカチンの武装勢力が実効支配する地域を通って、中国の雲南(Yunnan)省へとガスと原油2本のパイプラインを建設するプロジェクトが進められている。
カチンの天然資源については、ミャンマー政府と親密な関係を持つ中国企業や地元実業家らが政府から権利を獲得したとの臆測も上がっており、また中国に電力を供給するための水力発電施設をカチン州に建設する計画も複数立ち上がっている。
「これは資源戦争だ。カチンの富を支配するための戦争だ」とHkawng氏は語り、「カチンの住民にはほとんど利益が回ってこない上、この(資源)戦争で苦しめられている」と続けた。
■終わりの見えない紛争
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、最新の報告書で、政府軍による少数民族への「無差別攻撃」は「戦争犯罪」に相当と批判。またKIAに対しても、少年兵と地雷を用いていることを非難した。
和平交渉グループは現在、停戦協定の締結を目指す一方で、武装勢力が実効支配する前線地域からの政府軍の撤退を提唱している。
Hkawng氏によると、前年12月にはテイン・セイン(Thein Sein)首相が数日以内の部隊の撤退を約束したこともあった。だが政府軍による武装勢力拠点への攻撃は現在も続いている。
「唯一の出口は、政治的な決断である」(Hkawng氏)
【翻訳編集】 AFPBB News
<ミャンマー>北部で戦闘続く 中国利権が関与(2011/07/04)
ビルマ(ミャンマー)北部のカチン州モーマウ郡で先月9日、緊張関係にあったビルマ国軍とカチン独立軍(KIA=カチン独立機構の軍事部門。ビルマの少数民族武装勢力の一つ)との間で戦闘が始まったが、KIA筋によると周辺地域から住民約1万人が逃げ、一部は国境を超えて中国側に入った模様だ。
戦闘が起きたのは、中国国境に近い
ターペイン第一、第二ダムの周辺だ。ビルマ国軍とKIAが互いにこの地域からの撤退を要求し、どちらも譲らなかったため交戦開始に至った。
両ダムは、中国の大唐集団とビルマ政府との共同事業で、大唐集団のウェブサイトによれば電力の90%が中国に送られる。
ターペイン第一ダムは今年初めに完成。第二ダムの建設も進んでいたが、戦闘勃発で約200人の中国人作業員らが帰国し、第一ダムの発電は停止、第二ダムの建設作業も止まっている模様だ。
<ミャンマー>国軍、少数民族と一触即発 停戦体制崩壊も(2010/10/21)
【バンコク西尾英之】20年ぶりの総選挙実施を目前にしたミャンマーで少数民族カチン族の「カチン独立機構」(KIO)と国軍の軍事的緊張が強まっている。軍事政権が求める武装部門の国境警備隊への再編を最終的に拒否したKIOに対し、政権が壊滅を目指す大規模な軍事行動に出るとの見方も出ている。90年代から続いた政権と少数民族の「停戦」体制は、完全崩壊の瀬戸際に立っている。
KIO同様、停戦合意を結びながら警備隊への再編を拒否している他の少数民族武装組織も危機感を深めている。「イラワディ」誌によるとKIOや、最大勢力の「
ワ州連合軍」▽停戦合意に至らず戦闘を続けている「
カレン民族同盟」(KNU)--など六つの武装組織が最近、「いずれかの組織が国軍の攻撃を受けた場合、一致して対抗する」との同盟関係を結んだという。
1960年代から中央政府への武装闘争を続けたKIOは、94年に軍事政権との間で停戦に合意。政権から一定の自治を認められ、その後も武装部門を維持した。しかし総選挙とそれに続く民政移管後も「安定した軍事支配」確立をめざす政権は、最大の不安定要素の少数民族武装組織解体を狙い、国境警備隊への再編を求めた。
関連項目
最終更新:2013年06月04日 12:45