中国とは東アジアの国である

ベラルーシが「中国の砦」に 50億ドルの巨大都市建設 EU上陸拠点として(2013/05/28)

【大紀元日本5月28日】中国は、東欧のベラルーシ首都・ミンスク市近郊で巨大新工業都市を建設する計画を進めている。対欧州連盟(EU)とロシアの進出拠点として活用される見通し。ブルームバーグが27日に伝えた。

 両政府関係者によると、「ユーラシアの現代都市」と呼ばれる同プロジェクトが完成すれば、敷地面積112平方キロメートルに15万5千人の居住が可能になる。建設予算は50億ドルと伝えられている。ベラルーシ政府はすでに同プロジェクトの建設を中国に許可した。

 両政府が発表した建設計画によると、新都市を独ベルリン、露モスクワに繋げる高速道路が新たに建設される。さらにミンスク国際空港から高速鉄道網が各都市を結ぶ。新都市はポーランドとリトアニアまで170キロに位置し、ロシアとカザフスタンでは中国産製品に対する免税措置が適用されるなど、中国からの輸出にとって好条件が揃う。

 新都市建設の第一段階の完了は2020年と予定されており、次の段階完了にさらに10年が割り当てられているという。

 建設計画の許可を受けて、駐ベラルーシ中国大使・宮建偉氏は中国国営テレビで17日、「計画はユニークだ。EUのどの国もこのような巨大工業地域を作ることは出来ないだろう」と今後、中国が同地域で強い影響力を持つことを示唆した。

 ブルームバーグの取材に答えた、ベラルーシ経済省の元官僚キリル・コロティブ(Kirill Koroteev)氏の話によると、建設資金の半分は中国からの低金利融資。技術および労働力は中国側が提供するという。「中国からの融資は非常に有利な条件だった。他の銀行からの投資では考えられない」と答えた。融資に参加したのは中国輸出入銀行と中国開発銀行だという。

 ベラルーシは「中国の砦」に

 旧ソ連に属していた同国では、2009年以後、国際通貨基金やロシアから65億ドルの緊急資金援助を受けるなど、赤字経済が続いている。近年、巨額投資をちらつかせる中国に目を向けていた。

 一方、野党への弾圧が続き、民主化を拒んでいるとして、米国は同国の国営企業の在米資産を凍結するなどの制裁を加えている。現ルカシェンコ首相は1994年より4選連続で大統領職に就いており、「欧州最後の独裁者」と揶揄される人物だ。

 昨年4月、温家宝首相(当時)はポーランド首都ワルシャワで開催された、「中国および中・東ヨーロッパ諸国首脳会談」で中・東ヨーロッパ諸国の経済発展に寄与することを約束した。戦略研究シンクタンクの専門家は、「ベラルーシはむしろ純粋に、『EUにおける中国の砦』になりたがっていた」と分析している。

(翻訳編集・佐渡 道世)

中国潜水艦は新型元級 接続水域で潜航 防衛省断定 日米、音響測定艦投入(2013/05/26)

 中国海軍潜水艦による3度にわたる日本の接続水域(領海の外側約22キロ)での潜没航行について、防衛省が、うち2度確認したのは新型の通常動力潜水艦「元」級と断定したことが25日、分かった。今回の事態をめぐっては、海上自衛隊と米海軍が潜水艦のスクリュー音を収集する音響測定艦を投入。中国海軍の水上艦艇が海自艦艇を威嚇するように航行し、沖縄周辺海域で緊迫した駆け引きが展開されていたことも判明した。

 中国潜水艦は今月、(1)2日(2)12、13日(3)19日-の3度、沖縄周辺の接続水域で潜没航行。防衛省は(2)と(3)は同一で原子力潜水艦との見方を強めていたが、音響データの分析でディーゼルの元級と断定した。(1)は別の潜水艦とみている。

 元級はロシア製の「キロ」級潜水艦をベースに開発した中国の国産艦。近海への敵戦力の接近を阻む役割を担う通常型としては最新で、2006年に就役。浮上して酸素を取り込まないでも動力を得られるAIP機関を採用しており、長時間潜航が可能。AIPは海自も最新式の潜水艦しか備えていない。

 元級潜水艦の潜没航行を受け、海自と米海軍は音響測定艦「ひびき」と「インペッカブル」を沖縄周辺海域に投入。ひびきは、元級潜水艦が13日に沖縄県・久米島の接続水域を出た後もマークし、19日に同県・南大東島の接続水域に入るのを把握した。12日以降、インペッカブルも久米島の南西海域で潜水艦の位置を特定するソナーを海中に垂らし航行しているのを水産庁の船舶に確認された。

 防衛省が13日に2度の潜没航行を公表したことに反応し、中国海軍は16日、水上艦「ヤンナン」級を展開し、久米島西方海域で約7キロ後方から長時間、ひびきを追尾した。

 中国海軍の潜水艦の中で元級は「静粛性」という点ではキロ級に劣る。このため防衛省は元級の潜没航行が「陽動作戦」の可能性があると警戒し、キロ級潜水艦が展開していないか情報収集を強化している。

4副首相が固まる=「習・李体制」本格始動へ−全人代前に2中総会・中国(2013/02/26)

時事通信 2月26日(火)19時58分配信

 【北京時事】中国共産党の第18期中央委員会第2回総会(2中総会)が26日、北京で開会したもようだ。会期は28日までで、3月5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会)で了承される指導部人事を最終決定する。全人代では国家主席に習近平総書記、首相に李克強副首相がそれぞれ選出され、「習―李体制」が本格始動する。複数の共産党筋によると、副首相は、張高麗政治局常務委員、劉延東国務委員、汪洋政治局員、馬凱国務委員の4人体制になる。

 このほか国家副主席には李源潮政治局員が内定。全人代常務委員長と全国政治協商会議主席には、それぞれ張徳江兪正声の両政治局常務委員が就任する。胡錦濤国家主席や温家宝首相らは完全引退する。

 李克強・次期首相を補佐する副首相では、張高麗氏が筆頭として経済政策を統括し、劉氏は引き続き科学文化・教育などを担当。汪氏は工業・交通、馬氏は農業をそれぞれ統括する。

中国、ネパールとの関係強化 インド牽制、チベット独立運動を抑圧(2012/04/04)

 【ニューデリー=岩田智雄】中国がネパールとの経済関係の強化を進めている。3日付インド紙ヒンズーによると、両国は、中国チベット自治区の青蔵鉄道をネパールのコダリまで延伸する計画を協議した。貿易額も増加を続ける。中国にとって、ネパールは亡命チベット人の出国ルートになっているだけでなく、核武装国インドとの間に位置し、戦略的重要性が高いことが背景にある。

 中国の温家宝首相は今年1月、中国の首相としては約11年ぶりにカトマンズを訪問し、バタライ首相らと会談。中国が資金援助を増やすことや、チベット独立運動を念頭に、ネパールが中国を分断しようとする動きに対して領土を使わせないことなどを約束した合意文書に調印した。

 ヒンズー紙によれば会談の際、ラサと青海省西寧を結ぶ青蔵鉄道の延伸計画についても協議。駐ネパールの中国大使は先週、ネパール当局者に対し、中国国境の町コダリを通関地として整備するため支援することを明らかにした。

 ネパールは貿易の6割弱をインドとの間で行っており、物流の多くをインドに頼る一方、中国との昨年の貿易額は前年比61%増の約12億ドルと拡大している。

 また、チベット自治区から毎年数百人規模のチベット人がネパールを経由してチベット亡命政府があるインドへ渡っており、中国にはネパールとの関係強化でチベットの分離・独立勢力を押さえ込む狙いがある。

 中国が国境を接する国には、南シナ海の領有権問題で対立するベトナム、民主化の進展で相対的に関係が後退したミャンマー、親日的な国王を持つブータンなどがあり、中国にとりネパールを自国側に引き寄せることは戦略的意味を持つ。

 ネパールでは2008年に王制が崩壊し、反政府武力闘争を行ってきたネパール共産党毛沢東主義派が武装解除、毛派主導の政権が誕生した。王室と良好な関係を築いていた中国はかつて毛派をテロ集団とみなしていたが、民主化後は毛派を最重要政党とみて関係を構築してきた。毛派書記長のダハル元首相は首相就任後の初外遊先に慣例だったインドではなく中国を選び、インドを刺激した。

 インドのジャワハルラール・ネルー大学のシリカン・コンダパリ教授は、「中国はネパール国境に19の検問所を築いている。開通済みは数カ所で、残りはネパールの合意待ちだ。インドは、中国が軍事的に攻撃的な動きをしているとみなしている」と話している。

「中国軍がハッキングに関与」、米セキュリティ企業が報告(2013/02/20)

【AFP=時事】米情報セキュリティー企業マンディアント(Mandiant)は19日、中国軍の管理の下にサイバー攻撃を行う有能なハッカーは少なくとも数百人規模に上るとする報告書を発表した。サイバー攻撃の発信元を追跡したところ、上海(Shanghai)にある建物にたどり着いたという。

 マンディアントは、同社が数多く実施した調査の結果、米国の新聞社や政府機関、企業などのハッキングを行う複数のグループが「中国国内を第1の拠点とし、中国政府もこれらグループの存在を認識している」との結論に至った。

 報告書ではそのうちの「APT1」と呼ばれる1グループに焦点を当てた。APTは「Advanced Persistent Threat(高度で持続的な脅威)」の頭文字をとったもの。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は複数の専門家の話として、このグループは米国の電力網などの重要インフラを標的にしていると報じている。

 報告書によると、APT1は人民解放軍の「61398部隊」と呼ばれる部隊に属していると考えられている。APT1が行ったサイバー攻撃元をたどったところ、上海近郊にある12階建てビル近辺にたどり着いたという。

 マンディアントは「この報告書でわれわれが提示した証拠を総合すると、APT1が61398部隊であるとの主張を強く支持するものとなる」と述べ、APT1には「数百人、あるいは数千人の人員が配置されている」との推計も示した。

 中国国防省はAFPに宛てた声明で「中国軍はいかなるハッキング行為も支援したことはない」と述べ、関与を否定した。

 また中国外務省も、中国政府がハッキングに関与したとの主張は「事実無根」だと一蹴。さらに中国政府もサイバー攻撃の主要な標的となっているとして、外国からの攻撃の大半は米国から行われていると主張した。【翻訳編集】 AFPBB News

中国企業、パキスタン重要港を運営へ インドが懸念表明(2013/02/12)

グワダル港は、中国が建設費約2億5千万ドル(約225億円)の75%を支援し、2007年に開港。シンガポールの港湾企業が40年間の運営契約を結んでいたが、パキスタン政府が先月30日、運営を中国企業に移すことを閣議決定した。

新駐インド大使を任命(2013/01/17)

張炎・駐インド中国大使の後任に魏葦氏を任命

江沢民前国家主席、序列下がり12番目…人民日報(2013/01/13)

北京で21日に行われた楊白冰(よう・はくひょう)元政治局委員の葬儀を伝える記事の中で江沢民(こう・たくみん)前国家主席(86)の名前を現職の国家指導者や政治局常務委員の後に紹介した。

中国初の空母「遼寧」、正式に就役(2012/09/25)

【AFP=時事】中国初めての空母「遼寧(Liaoning)」が25日、正式に就役した。中国国防省が発表した。

中国初の空母は、ウクライナから購入した旧ソ連の空母「ワリャーグ(Varyag)」を遼寧(Liaoning)省大連(Dalian)で改修したもので、その省名から名称がつけられた。

写真は大連で人民解放軍(People's Liberation Army、PLA)に引渡された中国初の空母(2012年9月24日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News

中国、戦争準備本格化 石油、米の輸入量拡大 「尖閣国有化」前から備蓄(2012/02/09)

 ロイター通信は先月10日、中国税関当局発表のデータとして、2012年の中国の原油輸入が前年比6・8%増の2億7102万トン(日量542万バレル)だったと報じた。このうち、1億6190万トンが1−7月に輸入された。中国は20年をメドに、石油備蓄量を世界第2位、約5億バレルまで増やすプロジェクトを進めている。

中国軍将官が次々と大胆発言 存在感を主張?(2010/03/15 産経新聞)

 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍の将官は最近、メディアに頻繁に登場し、外交・安全保障政策について積極的に発言しており、国内外の注目を集めている。政府の立場より一歩踏み込み、対外強硬姿勢を示すことがほとんどで、愛国主義教育を受けた若者から支持を受けている。これまでは沈黙することが多かった“制服組”が、同じ時期に一斉に政策に口を出すことは異例だ。今年の国防費予算の伸び率が22年ぶりに一けたに抑えられたことを受け、軍備増強の必要性を強調し、軍の存在感をアピールする狙いがあるとみられる。

 2010年の国防費が発表される前日の3日、政府の諮問機関、全国政治協商会議の委員を務める羅援少将は、北京紙、新京報などの取材に応じ「今年の国防費の伸び率は例年と比べ抑えられる」と言明。「台湾、チベットなどの独立問題を抱え、国家分裂の危険に直面している中国には、国防を増強しなければならない理由はいくらでもある」と述べた。

 この発言は、国防費の伸び率が09年の約14%から、今年は7・5%に抑えられたことに対する「軍の不満を表している」と解釈する香港記者もいる。

 これに先立ち、国防大学の朱成虎少将は、2月に発売された週刊誌「瞭望」で、米国による台湾への武器売却問題について「米国に『台湾関係法』などが存在していることが問題の本質だ」と指摘。外交交渉を通じ米国に、中国の国益に損害を与える法律を改めさせるべきだと主張した。

 この発言は、中国外務省の対米政策を「弱腰」と批判するネットユーザーの熱烈な支持を受けた。朱少将は05年夏、「米政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、(中国は)核攻撃も辞さない」と発言したことで注目された。

 また、海軍情報化専化諮訊委員会主任の尹卓少将は昨年末、「アデン湾(イエメン沖)での護衛任務をスムーズに行うため、中国はインド洋沿岸に補給基地を設ける必要がある」とメディアに語り、世界から注目された。しかし、中国国防省はその後、「海外に海軍基地を建設する計画はない」と釈明した。

 軍将官による一連の発言は、10年の予算を審議する全国人民代表大会(全人代=国会)のみならず、現在策定中である次期5カ年計画の予算案を意識したものだ、という指摘もある。民族主義の観点に立った発言によって世論を味方につけ、予算をより多く獲得する思惑がありそうだ。

 中国のメディア関係者は「軍人から政府の方針と違う発言が飛び出すことは毛沢東、トウ小平時代には考えられなかった。江沢民時代も少なかった。今の胡錦濤政権が軍を押さえられていないことを象徴しているかもしれない」と分析する。

駐日大使に程氏 中国が通知、豊富な日本人脈(2010/01/06)

 【北京=野口東秀】中国政府は5日までに、崔天凱(さい・てんがい)駐日大使(57)の後任に程永華(てい・えいか)駐韓国大使(55)の起用を決め、日本政府に同意(アグレマン)を求めた。北京の日中外交筋が5日、明らかにした。

 大使の赴任には日本側の同意が必要だが、日本政府は早期に同意の回答をする意向で、程氏は3月中にも着任する見通しだ。

<原発>第3世代炉の安全問題と中国の炉型戦略(2)(2009/11/09)

 筆者の調べたところによると、中国では10月末現在、採用する炉型が公表されている発電所だけ見ても、60基を超える「AP1000」の建設が計画されている。内陸部に建設される原子力発電所では、「AP1000」を採用することが決まっていることから、同型炉がさらに増えるのは間違いない。

 すでに、09年4月19日には浙江省の三門で「AP1000」の初号機の建設が正式にスタートしたほか、山東省の海陽でも9月26日、原子炉基礎部分へのコンクリート注入作業が行われた(中国は同機の正式着工をまだ表明していない)。これに対して「EPR」は、今のところ広東核電集団有限公司が広東省の台山に計画している2基だけだ。

 「AP1000」が圧倒的に優位に立つきっかけとなった重要な会議が2006年9月下旬に開かれている。これは、第3世代炉として「AP1000」と「EPR」のどちらを選ぶかという専門家による会議で、24名が「AP1000」を支持したのに対して、10名が二つの炉型で進めるという路線を支持した。

 同年12月には、米国エネルギー省(DOE)のボドマン長官と中国国家発展・改革委員会の馬凱主任(いずれも当時)が、「AP1000」4基を中国に輸出するという了解覚書に署名した。

 一方、AREVA社は2007年11月、北京の人民大会堂で、サルコジ大統領と胡錦濤国家主席の同席のもと、フランスと密接な関係を持つ広東核電集団有限公司との間で、2基の「EPR」を供給する契約を締結した。「EPR」はこの2基だけだが、中国側としては、「EPR」ではなく、AREVAのフロントエンドとバックエンドに興味があったのではないかという、うがった見方もある。

 広東核電集団有限公司は、「EPR」だけでなく「AP1000」の採用も検討している。具体的には、湖北省の咸寧大販、広東省の韶関では「AP1000」を採用することを考えている。いずれにしても、初号機が着工したとは言え、第3世代炉の建設が本格化するのは、もう少し先だ。それまでは、「第2世代+(プラス)」と呼ばれる炉型が主流となる。

 中国では10月末現在、16基・1637万kWの原子力発電所が建設段階にある(海陽は含まない)。このうち、「第2世代+(プラス)」炉に分類されている100万kW級は、広東核電集団有限公司が採用する「CPR1000」が圧倒的に多く、合計で9基となっている。

 これ以外は、秦山2期・3、4号機に採用される「CNP600」(出力65万kW)と三門1号機に採用される「AP1000」だ。残りの、福清1期(100万kW級×2基)と秦山1期拡張(方家山、同)で採用される4基の炉型については、PWRであることに変わりはないが、「CPR1000」なのか、それとも中国核工業集団公司が開発を進めた「CNP1000」になるのか、はっきりしていない。福清と方家山の炉型については、国家核安全局から発表される資料等を見ても、「第2世代+(プラス)」炉としか明記されていない。

 広東核電集団有限公司は、大亜湾、嶺澳1期の両発電所で採用されているフランスの技術をベースに「CPR1000」を開発した。開発に着手したのは大亜湾が運転を開始した1994年で、同社は毎年1500万米ドルを研究開発に投入したと言われている。開発の中心的な役割を果たしたのは、中国核工業集団公司傘下の中国核動力研究設計院と核工業第2研究設計院。

 一方、中国核工業集団公司が開発を進めた「CNP1000」は、2003年9月に初期設計作業が正式にスタートしている。2004年9月には初期設計作業が終了し、同11月には同社内の専門家による審査をパスした。「CPR1000」を担当した二つの研究院と上海核工程研究設計院が設計を担当した。

 「CPR1000」と「CNP1000」設計諸元を見ると、最大の相違点は設計寿命だ。「CPR1000」が40年であるのに対して、「CNP1000」は60年となっている。また、「CNP1000」の運転サイクルは最初から18カ月となっているが、「CPR1000」のもとになっている大亜湾1号機では、1996年に長期サイクル運転の実行可能性研究がスタートし、2001年12月の国家核安全局による認可を得て、それまでの12カ月サイクル運転から18カ月サイクル運転に変更されている。

 中国核工業集団公司は当初、福清と方家山の両発電所に「CNP1000」を採用することを計画していたが、同型炉はまだ規制当局である国家核安全局の認可を取得していないと伝えられている。また、中国核工業集団公司は「CNP1000」の採用をあきらめていないとの見方がある一方で、「CNP1000」に関する情報が最近、途絶えてしまったことも事実だ。2007年に「CNP1000」の開発が中止されたという報道もある。

 ここで、興味深い報告書を紹介しておこう。中国核電工程公司がまとめた方家山発電所の設計段階における環境影響報告書だ。それによると、「100万kW級の第2世代改良型技術路線に照らして、嶺澳1期発電所を参考発電所として、また(「CPR1000」を採用する)嶺澳2期発電所も考慮して100万kW級の第2世代改良型を2基建設する」ことが述べられている。設計寿命は40年となっており、これを見ても「CNP1000」が復活する可能性はきわめて小さいのではないか。

 「CNP1000」と「CPR1000」を比較すると、同じ「第2世代+(プラス)」に位置付けられているものの、「CNP1000」の方が第3世代炉に近い。中国は、第3世代炉として「AP1000」と「EPR」の導入を決めたが、これによって「CNP1000」の立場が中途半端になってしまった感は否めない。

 中国国務院は、これから建設が本格化する内陸部の原子力発電所で採用する炉型を「AP1000」とすることを決めている。また、エネルギー政策全般を担当する国家エネルギー局の孫勤・副局長(当時、現在は中国核工業集団公司総経理)は、今後沿海部で新規に着工する原子力発電所で採用する炉型も「AP1000」が主流になるとの見解を表明しており、「AP1000」を標準型炉とする方針は固まったと言えよう。

 一方で、広東核電集団有限公司は、出資者である中国核工業集団公司によるコントロールから離脱することを考えていたとの報道もある。そんな憶測が出る背景には、両者の関係がぎくしゃくしていたのではないかという見方もできる。

 そうしたなかで、中国核工業集団公司の孫勤・総経理は9月2日、広東核電集団有限公司の銭智民・董事長と会談を行い、兄弟組織として協力・交流を強化し、共同で原子力発電の発展を強力に推進していくとの期待を表明。銭董事長もこれに同意した。

 「EPR」と「AP1000」の技術的な問題が浮上するなかで、「第2世代+(プラス)」炉の正式な統一は近いかもしれない。(了)(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

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最終更新:2014年01月10日 18:18