ライスマのストーリー

ネタバレ注意⚠️
一気におさらいしたい人や内容を整理したい人用。
(かなり長文です)








第1章 犬猿の双子編(1〜4戦)

主人公:ラグーノ


魔法界には、ヴァルタティーヌ王国というエルフの国がある。
昔、その国のある地主の一家に、双子の兄弟が生まれた。
兄をラグーノ、弟をチャルカと言い、とても仲のいい一家だった。

しかし、流行病によって母親が死去したことから、家庭環境は一変。
最愛の妻の死から性格の歪んでしまった父は、家業を継ぐことにばかり固執するようになる。その結果、家業である農家志望のチャルカには優しく、対照的に家業では無くファッションデザイナーの道を志すラグーノには冷たく接するようになる。

時は流れ、父の態度に痺れを切らしたラグーノ(その時点で大体20歳頃)は実家を飛び出す。
翌朝、その事を父親から聞かされたチャルカは激怒。

というのも、母親が死去した日、幼いラグーノチャルカは「僕たちはいつまでも一緒にいる」という約束をしていたのだ。
チャルカは、兄から約束を破られ、裏切られたと勘違いしてしまったのである。

そこからさらに時は流れ、新天地で夢を追っていたラグーノ、兄とのしがらみを抱えつつ実家で農業をしていたチャルカライスマの招待状を受ける。
2人は、それぞれの想いを胸にライスマに参戦することを決意した。

ライスマの試合で再会した2人は、喧嘩っぽくなりつつもお互いに本音をぶつけ合い、乱闘する。そこでチャルカは初めて兄の苦悩を知るのだった。
本音をぶつけ合った結果、2人は和解。
試合後、2人はバーで酒を飲みかわしながら、第1章は幕を閉じた。


第2章 青き少年の夢(5〜10戦)

主人公:ライム

ドロドロのホームドラマだった第1章とは打って変わって、王道な少年の成長物語である。

魔法界にはファリスティナ王国という、世界の中心に位置している国がある。
幼き日の、スライムの少年ライムは、母親や兄と共にファリスティナ王国の街に遊びに来ていた。
しかし、道端でライムは迷子になってしまう。
そこに通りかかったのが、魔法使いの少女ライラライラライムに話しかけ、彼を親元へと送り返すべく街を奔走する。

その優しさと温かさに触れたライムは、ライラに強い憧れを抱くようになる。
そして、ライラを意識してベレー帽を被り、ライラのように強くて優しい人になるべく行動をし始めた。
結果、他のスライムの子供と比べても特に早い段階で「人間の姿に変身する技」を身につけることに成功する。

そんな彼は、ライラがライスマを企画しているという噂を聞きつけ、ライラに直接、参戦させて欲しいと願い出る。
当初は「大乱闘は生易しいものでは無い」と反対気味だったライラも、「覚悟はある」というライムの熱意に押され、参戦を認める。
ただし、「その代わり、手加減はしない」という条件付きで。

やがて、ライスマが始動。試合で勝てなかったライムは対戦相手でもあったライラに「今は勝てなくて当然。でもいつかは…」と発言。
自分に自信が無いライムの様子を見かねたライラは、「勝てなくて当然と思ってるようでは、憧れには程遠い」、「私の真似をするのではなく、ライムきゅんだけの方法で私を超えて欲しい」とライムに説教&鼓舞する。
その言葉を受けたライムはスライムである自分の特性を活かした技を身につける。

一方、ライラがすっぽかしたシンプル戦のBOSS戦に、謎の少女黒ライラちゃんが姿を現す。
本物のライラの振りをした彼女は、試合に勝てずに落ち込んでいたライムの心の隙に入り込み、ライムを絶望させようと目論む。

しかし、目論みの最中にライムは「魔法によって生成されたものを消す能力」に目覚める。
着実に成長していくライムを見て、「ライムちゃんの絶望フェイス」をさらに楽しみにした黒ライラちゃんは、最終手段に出る。

それは、本人の前で「ライムちゃんなんか大嫌い」と宣言し、彼を絶望させ、さらに魔法の力で彼を自分の手駒にするというものであった。
しかし、以前にライムと仲良くなっていた、ライラの弟子ミドリが現れ、黒ライラちゃんの目論みを阻止。
さらに、目を覚ましたライムの一撃を喰らった黒ライラちゃんは、崖から落下してしまった。

1人、森の中を歩きながら物思いにふけるライム
彼は、「辛いことや苦しいことも1歩ずつ乗り越えていこう、それが自分の経験になるから」と決意するのであった。


夏休みスペシャル(前・後編)

主人公:ラグーノ

ライスマが始まる前のお話。

ラグーノが、ファッションデザイナーの夢を叶えるため実家を飛び出してから、数ヶ月。
彼は都会の喧騒に揉まれながら、灰色の生活を送っていた。
そんな生活の虚無感を紛らわすべく、女遊びに走るラグーノは、兎の獣人である女性チモと出会う。

ラグーノは女遊びに、幼い頃の母親との関わりで知った女性の身体の美しさや女性に対する美学を掲げていた。
しかし、その本質はラグーノの抱える寂しさに他ならなかった。

チモによって、その事を暴かれたラグーノ。最初はチモの図星に激昂する彼だったが、チモの「貴方が好きだから」という言葉を聞き、ラグーノの心境は変化する。それは、ラグーノにとって、生まれて初めての「真面目な恋」だった。
2人は、夜闇の中、静かにキスをする。
その瞬間、ラグーノの灰色だった人生に鮮やかな色がついたのだった。

正式に付き合うことになった2人。
ラグーノのアパートに入り浸っていたチモは、ラグーノが母親の夢を見ながら涙を流す瞬間を目撃する。
また、ラグーノチモの故郷が武道の国ナユ・ングであること、チモが昔の特訓により超筋肉質な足を手にしていることを知る。

季節は夏。生まれて初めての海を見たり、カンフーを教わったりと、色々な思い出を作っていく2人。
ラグーノチモと「来年も一緒に海に行こう」と約束を交わすのであった。

季節はだんだん秋へ。気候の変化に合わせるようにラグーノチモとの関係も変化していく。
ある日、ぼんやりと空を眺めるチモ。その様子がおかしい事に気づき、彼女に踏み込もうとするラグーノであったが、チモはそれを拒否し、アパートを出ていってしまう。
チモが姿を現さなくなった事から、ラグーノの生活は再び灰色な物に戻ってしまった。

鮮やかだった紅葉もだんだん散っていき、遂に最後の一つの葉が落ちてしまった頃。
耐えきれなくなったラグーノは、大雨の日、傘もささずにチモの住むマンションへと訪れる。
びしょ濡れのラグーノに驚いたチモは、彼を風呂に入れてあげる。

風呂の戸越しに会話する2人。
しかし、チモは自分の本音を隠そうとする。
そこでラグーノは「自分だけ踏み込もうとするのはずるい、ボクにも本音を話してよ」と、本人にはっきり伝えた。2人の関係を変えるには直接本音を言うしかないと思ったのだろう。
それを受け、チモは「夢を追ってある貴方が好き、だけど貴方を見ていると自分の不甲斐なさを思い知るのが辛い」と自分の劣等感を吐露する。
それを聞いたラグーノは、あの日のチモように「君が好きだから」と言い、彼女を抱擁した。

実はチモはカンフーの道を極めようとしていたが、妹に負けたことから夢から逃げ、ここにいたのだ。
そんな自分を「私ってダメ」と蔑むチモに対し、ラグーノは彼女の努力を肯定する。
最後に、ラグーノは再び夢を追おうとするチモを応援するのだった。
たとえそれで、離れ離れになってしまうとしても。

緩やかに、季節は冬に。
思い出を胸に、故郷に帰る決意をするチモ

クリスマス・イブの日、ラグーノは空港へ向かうチモに付き添う。
そして、最後に小さな箱に入ったプレゼントをチモに渡し、屈託のない笑顔で微笑む彼女を見送るのだった。

1人になったラグーノは、空へと飛び立った、もう二度と会うことのないであろう恋人を思い、涙を流す。
涙に濡れた目に写るのは、灰色の景色ではなく、鮮やかに輝き続けるネオンの光なのだった。

「約束、果たせなかったなぁ…」と1人つぶやいたラグーノの声は、都会の喧騒の中に消えていった。


今でも、夏になると思い出す。
陽の光を一身に浴びて、一際輝いていた彼女のことを。
全ては、あの夏の日に始まったーー。
最終更新:2021年12月07日 12:37