0121:shadow ◆wWckNpxqPo
名簿と地図を確認してからまず思ったのは、キルアに会いたいということだった。
大切な友達であり、暗殺のプロでもあるキルア。
このゲームの中では信頼できる唯一の人である。
しかしこの状況では、キルアが何かの影響で、戦う気のない人を殺してしまうのではないかという心配もあった。
そんなことが起きる前に、何よりも自分たちがまだ無事な内に、会いたい。
問題は、この舞台となっている世界のことを自分が全く知らないこと。
どこを探せばよいか検討が全く付かない。
そして自分の支給品。
それは人捜しにおいては役に立ちそうになく、同時に武器としてもあまり期待できないものだった。
手の中には黄色いボールが三つ。
(思いっきり投げれば、ある程度ダメージ受けるよね)
そう考え、ゴンは一つをズボンのポケットに入れる。
そして何も手がかりのないままに移動し始めた。
しばらくして人並みはずれた聴力を持つゴンの耳に聞こえてきたのは、話し声。
気配を断ちながら近づいてみれば、二人の男が話し合っている。
殺気は感じられず、ゲームに乗っているということはなさそうな二人。
様子を窺っていると、一人の男の口からある言葉が出た。
『では人が集まるであろう東京にいってみよう』
(トーキョー?)
自分には初めての世界。しかし、雷電という男はこの世界を知っているらしい。
トーキョーという場所が、本当に人が集まる場所ならば、
(もしかしたら、キルアも同じような情報を聞きつけて、トーキョーに来るかもしれない)
闇雲に探すよりはきっと、その場所へ行ってみる方がいい。
どうせなら、この人達と一緒に行動するのもいいかもしれない。
そう思い腰を浮かしかけて、迷う。
殺気は感じられないけれど、初対面な上にこの状況。
もしも、もしもキルアがこの場にいたなら、きっと声を掛けようとした自分を止めるだろう。
様子を見ながら慎重にいこうぜ、と。
キルアに会うまでは、無事でいなければならない。
話しかけることは、二人を追っていればいつでもできる。
ゴンは、二人を尾行しながら東京を目指すことに決めた。
他にも何か情報が得られるのではないかという期待と共に。
――それから約三時間後。
三人は、すでに東京に入っていた。
明るくなってきた空の下、
奈良シカマルと雷電は建物の陰で早めの朝食を摂っている。
気付かれることはなく、しかし会話は聞こえるだけの距離をあけて、ゴンもパンを囓っていた。
どうやら雷電は非常に物知りらしく、ここに来るまでにゴンは、理解できたかどうかは別として様々なことを聴いた。
その中で特に心に留めている情報が一つある。
『東京の次に人が集まる所といえば、大阪だろうな』
東京でキルアが見つけられそうになければ大阪に行ってみるべきなのだろうか、とパンを片手に考える。
(でも、ちょっと遠いかなぁ・・・来た方向と逆だし・・・)
うーん、と眉根を寄せながら水を手にしたその時、どこからともなく声が聞こえ始める。
―――諸君、ご苦労。
…爽やかな朝だ。よく眠れたかね?
自分の頭に直接響くその声。
(そうか、これが放送なんだ!)
知っている者の名前はなかった。
キルアの名がないことに安堵してほっと息をつき、あわてて頭を振る。
18人も亡くなっている。大切な人を失った人もいるだろう。喜んでいい場合ではない。
禁止エリアが自分たちに直接関係のない場所だということを確認すると、ゴンは一口だけ水を飲み荷物をまとめる。
今の放送で、二人が何らかの行動に出るかもしれない。
ゴンは、耳と目に意識を集中させた。
【東京都/朝】
【ゴン=フリークス@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)、テニスボール×3@テニスの王子様
[思考] 1:キルアを捜す
2:奈良シカマル・雷電を尾行し、情報を集める
【奈良シカマル@NARUTO】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)・仙豆(一粒)@DRAGON BALL
[思考]:知り合いとの合流(男塾メンバー含む)
【雷電@魁!!男塾】
[状態]:健康
[装備]:木刀(洞爺湖と刻んである)@銀魂
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
[思考]:知り合いとの合流(うずまきナルト、春野サクラ含む)
【備考】ゴンのテニスボールですが、あとの二つはデイパックの中に入っています。
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最終更新:2024年04月19日 10:14