0120:暴走列島~藍染~
「君達の支給品と能力を教えてくれないか?」
長身の優男はいきなりそう言った。見れば日本刀を帯びている。
越前は少しだけ緊張したが、相手が両手を上げている事、少し怪我を負っている事で少しだけ緊張を緩めた。
火口とは違い、いきなり襲い掛かることも無く、話も通じるようだ。
「アンタはゲームに乗ってないみたいだね」
越前はそう言うと、ウェイバーに乗せた片足を下ろす。
新八が刀を向けているにも関わらず、男に攻撃の意思が無かったからだ。
「ああ、私はゲームには乗っていないよ。それよりも、支給品と各自が持っている能力の方が興味がある。
良かったら、君達の支給品と能力を教えてくれないか?」
「へぇ、変わってるね、アンタ」
越前は興味なさそうに答える。
「これでも、科学者でね。未知の物には興味があるんだ」
「それより、怪我は大丈夫なんですか?」
新八が刀を下ろして聞く。藍染は笑って、処置はしてあるから大丈夫だと答えた。
「私は
藍染惣右介。君達は何というのかな?」
新八と越前はそれぞれ答える。
新八も越前も既に藍染に気を許しつつあった。
藍染は考える。
見たところこの二人には能力は無いようだ。
自分がそんな能力を持っていれば、相手も持っているかも知れないと警戒するだろう。
そして、先程の放送。
主催者は何らかの監視装置を持っているようだ。
最も簡単なのはこの首輪に盗聴装置でも組み込んでおく事だろうが、藍染はそれだけの筈は無いと確信していた。
あれほどの力と技術を持つ存在だ。全員の動きを把握するのは難しくはないだろう。
そして、映像でこのゲームの全てを見たいと考えているはずだ。
ゲームの参加者を嘲笑うには映像は不可欠だし、何より、自分ならそうするからだ。
まぁ、目的は違うだろうが……
支給品は奪い取って説明を見れば良いのだが、考えが変わった。眼鏡の男が斬魄刀を持っていたからだ。
この状況。
そして自分の斬魄刀。
この二人にも役に立ってもらうとしよう。
「面白い事が出来そうだ」
「え?何がですか?」
新八が急に意味が分からない事を言い出した藍染に怪訝な顔をする。
「いや、君達の支給品はそれだけなのかな?」
「ああ、これだけだよ。あんたの興味を惹きそうな物は無かったみたいだね」
「いや、この二つは貰っておこう」
言葉と同時の瞬歩。これも制限されているが、彼らから見れば消えたように見えただろう。
藍染は斬魄刀を一瞬で奪い、ウェイバーの前に現れる。
「何をするんだ!!!」
新八が叫ぶ。
藍染は全く調子を変えずに笑って言う。
「言った筈だよ。私は支給品に興味があるんだ。それに、この刀は元々私達の物でね。返してもらった」
越前は飛び掛ろうとする新八を片手を上げて制する。
「あの動き見ただろ?只者じゃないよ」
「ふむ、君は冷静だね。一つ頼みがあるんだが……」
「ふざけるな!!!」
「聞くと思ってんの?」
怒る新八と越前に藍染は呆れて言う。
「人の話は聞きたまえ。私はこのゲームからの脱出手段を持っている。
私は琵琶湖で待っているから、出来るだけ多くの人を連れて来るんだ、良いね?」
藍染はそう言うと、ウェイバーに乗って去っていく。
あの二人は真偽の程は別として誰かに伝えるだろう。そして、
太公望達は自分を追ってくるだろう。
そして、それを見ている主催者共。
全ての失敗は自分を招いた事だと知るが良い。
藍染は笑い続ける。
【兵庫県/山陽自動車道のサービスエリア/朝】
【藍染惣右介@BLEACH】
[状態]:わき腹負傷、骨一本にひび、多少の疲労、打撲数ヶ所
[装備]:刀「雪走」@ONE PIECE、斬魄刀@BLEACH
[道具]:荷物一式(食料二人分)、スーパー宝貝「盤古幡」@封神演義、ウェイバー@ONE PIECE
[思考]:1.琵琶湖へ向かう
2.出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害。特にキメラの翼を求めている。
3.計画の実行
【志村新八@銀魂】
【状態】中度の疲労、全身所々に擦過傷、特に右腕が酷く、人差し指、中指、薬指が骨折
【装備】なし
【道具】荷物一式、両さんの自転車@こち亀、火口の荷物
【思考】1:目の前の男への警戒
【越前リョーマ@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】テニスラケット@テニスの王子様
【道具】荷物一式(半日分の水を消費)、サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ)
【思考】1:藍染の事を考える
2:情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
3:仲間との合流。竜崎桜乃の死は信じない。
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最終更新:2023年12月08日 15:00