0152:刹那の風と燃え滾る炎◆SD0DoPVSTQ




「本当にこっちで良いんだろうな?」
「あぁ宮崎県とやらが封鎖されただろ?なら鼠は八方塞がりになる前に熊本県を通って逃げる筈だ」
そう歩きながら包帯の男――志々雄真実は地図を指さして説明した。
「ってもこの県ったって広いぜ。わざわざこんな広い通りを通る奴なんているのか?」
応急処置として首に着物を引き千切っただけの代物を巻き付けた死神――更木剣八が再び尋ねる。
首を切られたのだ。
本来ならば動けないであろう傷だったのだが、この死神はそんな乱雑な処置だけで既にけろっとしていた。
「なに、俺達の狙いは鼠の中でも大鼠だろ。更木、お前ならどの通りを行く?」
「はっ、なるほどな。俺なら広い通りを選ぶ」
「そういうことだ。得物か自分が強いと思う奴程隠れずこの通りを選ぶ」
志々雄の指が鹿児島、熊本、福岡と順に進んでいく。
勿論志々雄がその通りの存在を知っていた訳ではないが、
今までの道との比較や自分が暮らしていた時代の地理的関係等から、この道が主要道だということは安易に想像できた。
そして二人が選んだ道こそ、九州自動車道だった。

「――志々雄」
「あぁ解ってる。この先に誰かいるな……っと向こうも此方に気付いたようだ」
場に気が凛と張りつめる。
相手に動く気配はない。
動けないのか、それとも準備をしているのかはまだ解らない。
否、逃げられないと悟っているのかもしれない。
「大物だな……それも特級品」
「前の二人組と同じかそれ以上……」
まだ見ぬ相手を品定めしつつ二人は更に歩を進める。
一歩、また一歩と進むたびに相手の強さが感じられてくる。
「――おぬしでござったか、志々雄真実」
二人の目の前に現れたのは、腰に刀を差した着物姿の侍――緋村剣心であった。

「悪ぃな、更木。ご指名だ」
包帯の男が片手で、今にも戦い出そうとする大男を制す。
「なに俺が勝ったら其処の刀でお前との約束を果たす。俺が負けたらその刀で奴と戦えばいい。悪い条件じゃないだろ?」
「けっ、名指しなら仕方ねぇ。野暮な真似はしねぇから早くけり付けてこい」
そう言ってムラサメブレードを志々雄に投げ渡す。
刀は空中を舞い、剣八を制するために出した志々雄の手に収まった。
「俺も決着を付けたい相手がいるんでな。ただ俺の気が変わらない内に頼むぜ」
その言葉を受け取ると志々雄は荷物を下ろし、空いた方の手を上げ剣八に了解と無言で伝えた。
「――よぉ、待たせたな抜刀斎。後ろのは気にするな。奴は仲間でも何でもない、勝った方の敵だ」
「――説得は……無理でござるな」
殺気を感じた時、情報交換を中断して小早川瀬那と蛭魔妖一の二人を下がらせたのは正解だった。
相手は二人とも、自分と良くて互角。
一人は抑えられたとしても、二人目の行動を止める手だてはない。
そして二人は死合という物を知らな過ぎた。
説得すら効かない相手――戦うしかない宿敵という存在も。
「志々雄――おぬしこれからどうするつもりでござるか?」
「知れた事。元の世界で果たせなかった悲願、国盗りを成し遂げる迄よ」
「全てを殺した先には何も残らんでござるよ」
「それは成し遂げた後考えれば済む。決着がまだついていない貴様との戦いの前には無粋な事」
それ以上は不要とばかりに志々雄が鞘から刀を抜き放った。
鞘より出たる刀身は太陽の光を鈍く鋭く照り返し、其れが名刀である事を証明していた。
しかし剣心の脳には志々雄のある言葉がどうしても引っかかっていた。
「決着がまだついていない――とは、どういう事でござるか?」
そう、志々雄はあの時自分の目の前で燃え尽きて死んでいったのだ。
「言葉通りよ――宗次郎と貴様の戦い後、どうしてかこんな所にいたが貴様も此処に来ているとはな」
宗次郎との戦いの後やってきた?
剣心自身はその後の記憶もしっかりしている。
志々雄が燃え尽き、縁との因縁も断ち切った。
束の間かも知れない安息の日々であったが、それをやっと感じ取れるようになった頃、この世界に飛ばされた。
しかし目の前の男はどういう訳か燃え尽きて死ぬ前、自分と決着を付ける前にこの世界に飛ばされたらしい。
目の前の男はそんな事では騙らないだろうし、現に自分より百二十年以上後の世界から連れてこられた二人組とも出会っている。
つまりは異なる適当な時代から人を連れてきて、この日本の様な場所で戦わせているという事なのだろう。
「――いやはや宿命ってのはあるものでござるな」
130名。
たったそれだけの数の時代を超えた人が集められた中に志々雄が混ざっていたのだ。
これを宿命と言わずに何と言う。
「いくでござるよ」
それだけ言うと剣心も半身になって腰に差した刀を構えた。
剣心が一旦構えるとその雰囲気は一変していた。
目つきは鋭く、そして身体から出るオーラは殺気そのもの。
嘗て人々はその剣心を恐れ怯えこう称した――人斬り抜刀斎と。
腰に差した刀は以前志々雄と交えた逆刃刀・真打ではなく普通の刀。
護る者の為なら再び修羅の心構えにもなれる。
嘗て志々雄の配下、十本刀の刀狩りの張を斬ると覚悟した時と同じである。

次の瞬間、剣心の身体が一瞬沈んだかと思った瞬間には抜き身の刀が舞っていた。
剣心が使用するは抜刀術を主とする飛天御剣流。
神速の殺人剣は次の瞬間を待つまでもなく相手の間合いに入っていた。
「飛天御剣流 双龍閃」
言葉と同時に第一撃が決まる。
神速で放たれた刀が一直線に志々雄を襲うが、甲高い音と共に弾かれ軌道を反らされる。
そしてそのままの回転の勢いで左手に持った鞘でのコンビーネーション。
だが、其れすらも志々雄の左手で当たる瞬間に止められた。
逆刃刀と普通の刀では重心が異なる。
逆刃刀に慣れていた剣心の右腕ではどうしても必殺の抜刀が出来ないでいた。
「この程度か抜刀斎」
志々雄の人間離れした握力によって掴まれた鞘は捨て、剣心は即座に次の行動に移った。
「飛天御剣流 龍翔閃」
刀の重心にまだ慣れていないのならと、下段に構えた刀を峰に添えたもう片方の手で力のままに突き上げる。
今までなら逆刃刀で峰に刃があり、自分が切れない様に刀を横にするしかなかったのだが、この刀では最強の殺人剣の威力をそのままに出すことが出来た。
しかし、それすらも刀で反らす志々雄真実。
「飛天御剣流 龍巻閃」
そのまま流された方向に身体を捻り、回転しつつ攻撃。
「龍巻閃・嵐」
横ベクトルの回転をそのまま縦ベクトルに移行させて打ち下ろす。
「龍槌閃」
そのまま縦ベクトルを利用し空中から更に一撃を加える。
続けざまに飛天御剣流を4連発。
しかしどれも志々雄の身体に届く事は叶わなかった。
「飛天御剣流 龍巣閃」
ならばと更に連撃を叩き込むが、ある攻撃は刀で反らされ、其れすらも必要としない攻撃は紙一重でかわされた。
それからも数回打ち合ったが剣心は決定打に欠けていた。
しかし状況が剣心圧倒的であることには変わらず、剣心自身もそれを理解していた。
一つ、慣れない刀とはいえ飛天御剣流を自由自在に使用できる自分とは違い、志々雄の秘剣は無限刃という刀に依存する技であり今は使用できない点。
二つ、秘剣のない志々雄は通常の剣舞で攻撃する他ならず、剣心の飛天御剣流の前では防戦をしなければいけないという点。
三つ、防戦するしかない志々雄だが、その身体は発汗作用の異常により15分の制限時間付きである点。
5分、6分と経ち時間は徐々に減っていく。
以前に剣心達が対峙したときとの違いは両者共に未だほぼ無傷である事。
志々雄の動きが良くなってきたかと思えば、次第に剣心は人斬り時代の刀の重心を思い出し技に一層のキレがでてきた。
8分経ったが両者互角。
しかし10分を過ぎる頃両者に決定的な違いが見え始めた。
片や人の斬れない逆刃刀から、普通の刀に変わった剣心。
片や殺傷力をぎりぎり保つ限界を見極めて作られた無限刃から、光速の速さでの斬撃にも耐えうる、忍者マスターガラのムラサメブレードに変わった志々雄。
両者の動きが良くなるにつれて剣戟が掠めることが増えてきた。
以前ならば掠めてもなかなか斬ることが出来なかった刀であるが今は違う。
お互いに掠めれば斬れるし血も吹き出す。
だが額の鉢金に受けたとはいえ斎藤の牙突に耐え、
左之助の二重の極み、剣心のまともに入った飛天御剣流五連撃や九頭龍閃にすら耐えうる防御力の前に、体力面での差が出始めた。
「そろそろ宿命とやらも終わりにするぞ、志々雄」
剣戟ではもう時間稼ぎすら出来ないということを悟った剣心は再び志々雄から距離を取った。
ふぅと呼吸を整え構えを正眼に持ってくる。
「飛天御剣流 九頭龍閃!」
嘗ては志々雄を吹き飛ばしただけの技であったが今回は違う。
きちんと刃が通った刀なのだ。
唐竹、袈裟斬り、右薙ぎ、右斬上げ、逆風、左斬上げ、左薙ぎ、逆袈裟、刺突。
玖の刃の同時斬撃。
殺意のこもった刃が瞬間にして志々雄を捉える。
咄嗟に後ろに飛びつつ、幾つかの斬撃を瞬時にして叩き落とした志々雄であるが、流石に玖の刃の前には敵わず数撃受けてしまう。
其の恰好の隙を見逃さずに剣心は次の行動に移す。
最初に捨てた柄を拾いに行き、その場で刀を納め抜刀術の構えを取った。
前の世界で相見えた志々雄に大打撃を与えた技――天翔龍閃。
神速を文字通り超えた超神速で抜刀する飛天御剣流の奥義。
目の前の志々雄が、以前戦った前の志々雄ならばこの奥義の正体を知らない筈である。
場所、時代は違くとも最終的に同じ技で相見えた宿敵同士。
剣心は既に戦いの中で嘗ての刀の重みを完全に取り戻していた。
「飛天御剣流奥義――」
左足で地面を蹴りつけ右足を滑らせる。
「天翔龍閃!!」
右足が地面に着くか着かないかの刹那に今度は右足で地面を蹴りつけ、左足で踏み込みつつ抜刀した。
抜刀には向かないと言われた逆刃刀を扱うために鍛えた腕力と、空気をも超神速で切り裂く刃がシンクロする。
嘗てない迄に加速された刃が志々雄を襲う。
だが、鈍い音と共にその刃が、瞬時に左足踏切を確認した志々雄の刀によってまたしても防がれた。
刀が抜かれてからでは遅い。
抜刀する前に技を読むという志々雄の策である。
だが、真の天翔龍閃は隙を生じぬ二段構えの抜刀術。
龍の牙をかわしたとしても二撃目の龍の爪が相手を屠る奥義なのである。
一撃目の抜刀を受け止めた志々雄であったが、その防御は刀を跳ね上げられ無防備状態に陥っていた。
そのまま一撃目に作り出された真空状態により、弾かれ後退した筈の志々雄が再び剣心の間合いに押し戻される。
そのまま踏み込みの勢いを殺さないようにしてもう一度剣心が踏み込んだ。
遠心力を伴い更に加重を加えた二撃目が今度こそと志々雄を捉える。
――が、龍が起こした吹き荒れる風が止んだ時、其処に残っていたのは真っ二つに斬られた志々雄ではなく、真っ二つに折れてしまった龍の爪であった。
剣士としての技量は志々雄の方が上かも知れないが、奥義が使えない志々雄と剣心では技の差としては圧倒的に剣心に分があった。
それなのに刀が折られてしまったということは、何度もの撃ち合いによるダメージの蓄積と、純粋に刀の差によるものなのだろう。
その蓄積されたダメージの所に多大に負荷のかかる天翔龍閃を使用したのだから、よほどの刀でない限り同じ結果になっていたであろう。
決して幾度も死線を潜り抜けてきた斎藤の刀が悪かったわけではない。
超音速で城を斬っても無事な刀が相手、そもそも世界が違ったのだ。


「ヒル魔さん……あのままじゃ緋村さんが……」
「だまってろ糞チビ。俺達に何ができるってんだ」
道路から少し離れたビルの中で二人は隠れていた。
「でも緋村さんは僕たちに色々教えてくれたし、悪い人じゃ……」
「――確かに悪い奴じゃないかもしれねぇが、相手が悪い奴と仮定しても出会って即殺し合いを始めるか、普通?」
「……」
その問いに答えられず瀬那は黙ってしまった。
「俺達とは生きた時代が違うんだよ」
生きた時代が違えば常識も違う。
確かにこの世界では悪い奴に会ったら即殺した方が理屈としては正しいのかも知れない。
だが、現代で生まれて育った蛭魔と瀬那はその理屈を真っ正面から受け止められずにいた。
『できることなら、説得したいでござるが』という剣心の言葉を少なからず信じたいと思っていた。
だが、信じようとしていた端から殺し合いを剣心は始めたのだ。
未だ直接は命の危険に晒されていない彼らにとって、説得が効かない相手の存在というのは想像することすら出来なかったのである。
「だけど……」
それでも納得がいかないと言うような瀬那。
確かに自分たちとは違う時代の住人かもしれないが、逃がしてくれたのは事実。
悪い奴ではなさそうだし、思いっきり腕も立つ。
其れは蛭魔自身も感じていた。
ただ剣心を含め外の3人と自分達との実力差、そしてなにより死にたくない、殺したくないと思う気持ちが冷静に判断させていた。
何度も、逃げる以外自分達に出来る事はないかと考えた。
ただ1つだけ方法がある事はあるのだが、通用するのは1回のみ、しかも自分達の存在をバラしてしまうおまけ付きだ。
相手が1人ならまだしも2人の場合もう片方に殺されてしまうのがオチだ。
万が一瀬那の足なら逃げられるかも知れないが、恐らく自分の足では無理だろう。
だが、その方法は自分がやった方が確率がぐっと高まるので、下手に瀬那にやらせることは出来ない。
やるにはあまりにもリスクが大きすぎる一か八かの大博打。
アメフトで作戦を1回失敗してもそれ以上取り返せば結果的には構わないが、この場でのミスは命取りに繋がる。
口では冷たく言い放っていた蛭魔だが内心非常に迷っていた。
そうやって迷っている間にも剣心は次第に劣勢になっていった。
最初は常に攻め、素人目で見ても優勢であったが、今では所々から血が滲み明らかに動きが落ちてる。
「ヒル魔さん!」
「うっせぇってんだ、少し黙ってろ糞チビ」
しかし、瀬那は今にも剣心の元に走って向かいそうな目をしていた。
止めても聞かないだろうという位は想像がつく。
「――お前が行ったら俺までバレるだろうが」
減らず口を叩きながら、ポケットの中からある物を取り出す。
「合図と共に奴等とは逆方向に逃げるぞ」
「でも、それだと緋村さんが……」
「俺達が出来る限りの事をすればいい。ただ無駄死にってのは御免だ」
そう言ってビルの窓の傍に立ち再び剣心達を眺める。
「――距離は40ヤード……いや40.5ヤードか」
手に持った物を弄びながらそう呟く。
「用意は良いな糞チビ」
その言葉に応じて瀬那がコクンと頷く。
後は外のタイミングを計るだけ。
その時剣心の大技がやっと決まり相手に一瞬隙が出来たのを見逃さなかった。
「YA―――HA―――!!」
2、3歩ステップしつつ腕を撓らせてオーバースローで投げ、次の瞬間には反転して走り出していた。
「ぼけっとすんな、走れ!」
「あ……はい」
成功かどうかは見届けなくても解る。
これでもクォーターバックなのだ。
この距離でアメフトのボールより投げやすい物を外す訳がない。

蛭魔が走り出した瞬間にはもう剣心の天翔龍閃は終わっていた。
0.1秒にも満たない刹那の間であったが二人はその結果に呆然としていた。
しかし次の瞬間には自分達に向かって迫り来る物体に顔を向けた。
それは決して大きくはなく、当たっても大したことのない物体に思われた。
が、無視して無防備になった剣心に止めを刺そうとした瞬間、頭上で大きな音を立ててその物体が爆発した。
咄嗟に振り向くと大きなヒトガタの何かがもう目前まで迫っていた。
瞬時に斬りつけるがそのヒトガタの分厚い表面によって斬撃の威力が全て吸収される。
「なっ……夷腕坊?!」
外見は異なるのだがその特徴的なフォルムと性質から、嘗て仲間であった十本刀の一人を思い出した。
しかし、気がついたからといって何になろうか。
斬ることも出来なかったその物体はそのまま志々雄の上に音を立てて着地した。
「――参號夷腕坊でござるか……」
あの金髪の少年が乗っていた参號夷腕坊が志々雄の代わりに目の前に俯せに横たわっていた。
恐らく衝撃吸収機巧と元からの頑丈さによって下の志々雄は殆どダメージを受けてはないだろう。
(さて、どうしたものでござるか……)
じっとしていても折れた刀では出てきた志々雄の刀の錆になるだけだろう。
かといってほって置いても犠牲者が増えるだけ。
判断の時は直ぐ其処まで迫っていた。

「ねぇヒル魔さん何をしたんですか?」
「ケケケ、あの参號夷腕坊をカプセルごと相手にダイレクトパス」
その顔は先程までの悩んでいた顔とはほど遠い、何かを思いついた時の表情と全く一緒だった。
「アレが相手の上に落ちれば良し、落ちなくてもその隙を見て逃げるだの、知っているならそれに乗って戦うことも出来るって訳だ」
情報交換が途中で終わった為に、蛭魔は剣心から参號夷腕坊の情報を聞き逃していた。
もし乗れなかったとしても、弱点を知っていればこそ利点も応用できるだろうし、まだ巧く使えない自分が乗っていても仕方がないので手放した。
「さ、やっちまったもんは仕方がねぇ、さっさとずらかるぞ。後は信じて合流すればいい」
そのままビルの階段を駆け下り裏口から出たのだが……
「一寸待ちな、全員でかかられる分には気にしねぇが、全員で逃げられると面倒なんでな」
いつの間にやら先回りしていた大男が其処に突っ立っていた。
「なっ!!」
走り出してからまだ15秒も経ってはいない。
投げる瞬間までは剣心の戦いを傍で見ていたのは確認している。
其れなのに裏口に回り込む事が出来る人間がいると考えられる訳がなかった。
もっともその男は死神であり人間とは違うのだが。
「彼奴の戦いを見てたら身体がうずいてな、彼奴らが終わるまで楽しませてくれや」
その大男は殺気を解放する。
武器は持ってはいなかったが、その殺気だけで武器無しで自分達を簡単に捻り殺すことが出来る存在だというのは何となく理解が出来た。
「くそったれ……」
参號夷腕坊があったとしても即座に殺されるであろう。
しかし、そのカードすら無いとなると対抗する術はもう思い浮かばない。
いや、弱気でどうする。
こんな時こそ何かを思いつかなくてはいけないのだ。
震えている瀬那を横目に入れつつ必死に対処法を模索する。


刹那の第一幕は燃え尽きる炎の様に幕を降ろし、狩りの第二幕が静かに幕を開けようとしてた。





【福岡県/午前~昼】

【緋村剣心@るろうに剣心】
【状態】身体の至る所に軽度の裂傷、中程度の疲労、精神不安定(精神はセナ達と出会ったことで大分安定してきています)
【装備】無し
【道具】荷物一式
【思考】1.志々雄の処遇について
    2.セナ、蛭魔との再合流、情報交換
    3.人を斬らない

【小早川瀬那@アイシールド21】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式、野営用具一式(支給品に含まれる食糧、2/3消費)
 [思考]:1.剣八から逃げる
     2.剣心との再合流、情報交換
     3.薫、斎藤、まもり、進との合流。

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:夷腕坊操作の訓練のため疲労
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.剣八から逃げる
     2.剣心との再合流、情報交換
     3.薫、斎藤、まもり、進との合流。

【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:首筋に中度の裂傷(簡易止血済み)
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1.瀬那と蛭魔で遊ぶ
     2.志々雄、ヒソカと決着を付ける
     3.強いヤツと戦う

【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:身体の至る所に軽~中度の裂傷(戦闘から11分程経過)
 [装備]:ムラサメブレード@BASTARD!! -暗黒の破壊神-
 [道具]:無し
 [思考]:1.まずは目の前の剣心と決着を付ける
     2.剣八と決着を付ける
     3.全員殺し生き残る

【荷物一式、ゴンの釣竿@HUNTER×HUNTERは志々雄との戦闘場所の近くに放置】
【参號夷腕坊@るろうに剣心は志々雄の真上にのし掛かるようにして横たわってます】


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138:袖振り合うも多生の縁 緋村剣心 169:螺旋は回る。狂々と
138:袖振り合うも多生の縁 小早川瀬那 169:螺旋は回る。狂々と
138:袖振り合うも多生の縁 蛭魔妖一 169:螺旋は回る。狂々と
75:邂逅・乖離 更木剣八 169:螺旋は回る。狂々と
75:邂逅・乖離 志々雄真実 169:螺旋は回る。狂々と

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最終更新:2024年06月16日 17:52