0158:ブチャラティvsガラ前編 ◆PN..QihBhI
宮城県の海岸線よりの道。そこから少し外れた森の中で二人の男が対峙していた。
「・・・戦う気はない。と言っても無駄なようだな」
「へへへっ、そーゆー事。お前と戦う方が面白そーだからな。怪我しているとこ悪ぃが」
ブチャラティは考える。
(オレは失敗したのか。そして晴子は・・・だが悔やむ事は何時でも出来る。
今はこの危機を乗り切きる事だ。事実は兎も角、この状況を見られては説得は難しいだろう。
逃げる事は容易いが・・・・止むを得んな)
(この目の前の大男『ガラ』、相当の手練れに見えるが、生かしておく訳にはいかない。
もしガラがこの状況を他の参加者に話せば、オレは一層不利な立場になるだろう。
ここはリスクを背負ってでも、このガラを始末しておくべきだ)
殺気を察知したのか、ガラが少し驚いた声をあげた。
「おっ、やる気になったか?」
「ニンジャというのは聞いた事がある。確かこの国の隠密部隊だったな」
「ンなコトより丸腰のようだが大丈夫なのかぁ?」
「お互い闇に生きる者だ。覚悟は良いな?オレは出来てる」
「おいおい冗談だろ。とても同業者には見えねー」
じりじりと、両者の間合いが近づいてゆく。
斬魄刀を構えながら、ガラはブチャラティの強さを測る。
(面白れー、相当な修羅場を潜ってやがるな。
しかし、片腕で丸腰の癖に自信満々に間合いを詰めて来やがる。
こりゃあ何かあるな・・・「あの技」で様子を見るか・・・)
「おらぁーーっ!『魔神(人)剣』!!」
ガラの必殺技『魔神(人)剣』。
高速で剣を振るう事で衝撃波を奔らせ、対象を切断する技。衝撃波のスピードは音速を超える。
「ちょっと手加減したぜー。これで終わりってこたぁねーよなぁ」
それでも至近距離、見てから避ける事など不可能。
ましてや生身の人間がガードできる訳が無い。しかし――!
「なにぃ!!?ブチャラティが消えた?」
衝撃波が命中する寸前、ブチャラティは忽然と姿を消していた。
目標を失った衝撃波は、轟音と共に一瞬前まで彼が居た場所の大地を抉り、
そのまま後方の大木に命中して薙ぎ倒した。
どこからか声が聞こえた。
「・・・『魔神(人)剣』か、スゴイ威力だ。まともに食らったらまず助からないな」
「なにっ、地下から!!」
「スティッキィ・フィンガーズッ!!」
有り得ない方向。地面からの攻撃がガラに襲いかかる。
何故だと思う前に体が反応し、辛うじて右腕で攻撃をガードした。
「ふー、危ねぇ危ねぇ。おめぇ地面に潜れんのか。
ひょっとしてその体から出てる『ロボット』?みてーのの能力か?」
「・・・『スタンド』だ。見えるとは驚いたな。
それにしても『勘』のイイヤツだ・・・ジッパーから吹き込んで来る風の動きに感づいたか。
しかも中々『素早い』動きだ・・・しかし、ガードしたな・・・」
次の瞬間、ガラは信じられないものを見た。
「少々でかいが、まぁその内慣れるだろう。おまえの右腕を頂いた」
「なにーーっ!オッ、オレの右腕がねぇ?」
「オレの『スティッキィ・フィンガーズ』の能力は、
ジッパーで別のもの同士を接続する事が出来る」
「オレの腕が~~~~!てってめェ・・・
だ、だが、分かったぜぇ。あそこの死体に首輪が無かった理由が。
そのなんだ『スタンド』か?ジッパーみてーな能力で首輪を外したのか。
だが、どーゆー訳かもう一人の方はしくじって・・・結局そのザマってわけだ」
「・・・『失敗』して『そのザマ』、か・・・その通りだ・・・オレは・・・」
ふと視線を逸らすブチャラティ。
その一瞬の隙を突き、ガラは落としていた斬魄刀を拾い、間合いを離した。
(腕が取られちまったがどうせまた生えてくる。しかし解ってきたぜぇ。
やべぇのはあの『スタンド』っつーヤツだ。特に『拳』には絶対に触れちゃいけねー。
ジッパーみてぇのでオレの右腕のように切り離されちまう。
狙うのは本体だ。動きで分かったが本体は生身の人間と大差ねぇ)
「どーやらマジで殺りあう事になりそーだな!」
斬魄刀を左手に持ち替え、構え直すガラ。
「オレの『スティッキィ・フィンガーズ』は近距離型の『スタンド』だ。接近戦は望むところだ」
ブチャラティも再び『スティッキィ・フィンガーズ』を出した。
「スタンドの右腕は復活しねぇみてぇだなー。
お互い利き腕を無くしたって事で、もう手加減はしねぇぜー!」
「手加減していただと?強がりを言うな・・・」
空気が張り詰める。そして、
「アリアリアリアリアリアリアリアリィィィ!!」
「うおおおりやーーーーーーーーーーーーー!!(いやアリアリはねぇだろ・・・)」
――その頃――
「おい
友情マン!何だあのでけぇ音は」
「凄い音だった。ガラ君が何者かと戦っているのか」
「なんかスゲーヤな予感がするぜ!オレは行くからな」
「ちょっと待て桑原君!あ~行っちゃった・・・僕は少し遅れて行こう。あの単純バカ」
「ばっ、ばかな。『スティッキィ・フィンガーズ』の攻撃が当たらない!?」
「へっへー、中々のスピードだが、もう見切ったぜぇ」
「こ・・・こいつは!!このパワーとスピードは・・・!」
スティッキィ・フィンガーズの攻撃を、全て紙一重で避けるガラ。
一方ブチャラティはなんとか致命傷は避けているものの、全身に無数の傷を負っていた。
「ぬんっ!」
「ぐはっ!」
ガラの膝蹴りが、もろに鳩尾に入り、ブチャラティは崩れ落ちた。
「くっ、『スティッキィ・フィンガーズ』!!」
「おっ、ま~た地面に潜ったかぁ~」
地中を移動しながら、ブチャラティは焦っていた。
(まっ、まずい、ガラという男、利き腕を失いながらこれ程までの強さとは。
勝てない、たとえ両手が無事だったとしても!ここは一旦土中に潜み・・・・)
「そっこだぁ~!魔神(人)剣!!」
(ハッタリだ!地上から地面の中が見える訳が無い!!)
しかしその思いも虚しく、衝撃波は正確に地中に隠れるブチャラティに命中した。
ブチャラティの体を真空刃が容赦なく切り裂き、石や土片が体の中に食い込んだ。
「ぐっはぁぁ!ば、ばかな・・・」
・・・ぐぅぅ・・・動くか体・・・?
・・・脇腹が裂けている。左足と右肩も重症だ・・・
・・・しかし、まだ動く・・・何とか致命傷は免れたのか・・・
・・・まともに命中したのに、まだ動けるのは、土中だから威力が弱まったのか。
・・・しかもガラが片手で、利き腕ではなかったから・・・
「隠れても気配で分かるぜぇ。まだ死んじゃいねぇよな。出てきなよ」
(け、気配か・・・『姿』を隠すことが出来ないというのなら、仕方が無い・・・)
止むを得ず地上に姿を現すブチャラティ。
(・・・・・・こ、この男、純粋に強い!小細工が全く通用しない・・・)
「大分きつそぉだな。観念するかぁ~、ってそんな目つきじゃねぇな」
(・・・じ、事態は益々悪化している・・・こうなったら、不確定要素も大きいが・・・『あれ』を・・・・)
(ま~だ何かやってきそ~だな~、厄介な事になる前に止めを刺すかぁ?よしっ)
「うおおおお~~~!!こーゆー手負いが一番怖ぇからな~。一気に決めるぜーっ・・・!
『忍法七ツ身分身の術』!!!」
「――!!!!」
目の前の光景に、ブチャラティは自分の目を疑った。
「バ、バカな・・・!これは一体・・・ガラが6人、いや7人か!」
「「「「「「「ははははははは・・・」」」」」」」
突如7人に増えたガラが、あっという間にブチャラティを取り囲んだ。
更に全員が一糸乱れぬ動きで一斉に斬魄刀を構える。
「しまった!囲まれたッ」
「中々面白かったぜブローノ・ブチャラティ。
その力に敬意を表し我が奥義によって応えよう、忍者の剣を受けられるか!!?」
「ぶっ、『分身の術』だと!それに、こ、この感じは先程の『魔神(人)剣』以上の・・・」
「地面に逃げても無駄だぜー、このあたり一面丸ごと軽~く削り取ってやるからよ~」
ガラの体にかつてないほどの力が溢れる。
それに呼応するように大地までも震え出した。
(ほ、『本体』は一つの筈だッ!いや『本体』が分かっても、
恐らく『魔神(人)剣』以上のスピードと威力であろうこの技を、避け切れるのか?
命中したら間違いなく死ぬッ!地下に逃げても、そこを狙われる!
だ、だが、どうする。一体この状況をどうすれば良いのだ!?)
その時、更なる事態がブチャラティを襲う。
「おーーい、ガラーっ!さっきの音は何だー!!?大丈夫かー」
「しっ、桑原君!声が大きいよ!」
茂みの奥から二つの声。恐らく後1,2分でこちらの方へ来るだろう。
「馬鹿なーッ!!ガラには仲間がいたのか!!?」
(最悪の事態だ!追い詰められ、名前も顔も能力も全てばれた!そして新手ッ!最早・・・逃げる事も・・・)
「あいつら、待ってろって言ったのになぁ」
今にも振り下ろそうとしていた斬魄刀を一旦止め、
ガラは一瞬、声のした方角に注意を向けた。
(・・・晴子・・・オレは・・・)
【宮城県、道から少し外れた森の中/午前】
【友情マン@ラッキーマン】
[状態]:健康
[装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)@遊戯王
[道具]:荷物一式、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分、ラーメン類品切れ)、青酸カリ
[思考]:1.本当は来たくなかったが桑原に引っ張られる形で様子を見に来た。
2.強い者と友達になる。ヨーコ優先。
3.最後の一人になる。
【桑原和真@幽遊白書】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式
[思考]:1.戦闘音が聞こえたので様子を見に行く。
2.ピッコロを倒す仲間を集める。浦飯と飛影を優先。
3.ゲームを脱出する。
【ガラ@BASTARD!! -暗黒の破壊神-】
[状態]:右腕がブチャラティに奪われた(再生中)、まだまだ余裕、満腹
[装備]:斬魄刀@BLEACH
[道具]:荷物一式(食料一食分消費、水無し)
[思考]:1.ブチャラティとの戦いを楽しみ、勝利する。
2.とりあえず友情マンについて行き、ラッキーマンのラッキーを拝んでみる。
3.脱出と優勝、面白そうな方に乗る。
【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:ガラの右腕をジッパーで固定(スタンドの右腕は復旧不能)
全身に無数の裂傷、さらに左足を引きずり、右肩、わき腹にも深い傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、スーパー・エイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[思考]:1 晴子・・・オレは・・・
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最終更新:2024年01月19日 00:27