0247:天才の復活





「ぬ……」
自由に動かぬ身体。瞳に映る逆さまの光景。高く昇る太陽。
覚醒から数秒、漸く自らが逆さに吊るされていることに思い至った。
本日、2度目の、屈辱。
「この天才に……凡人どもが、このアミバ様に一日に2度も、屈辱をっ!!!!」
怒りのままに叫び、力任せに絡まった蔦を引きちぎる。
支えるものを失ったアミバの身体はザザ、と木々の合間を転がりながら、地面に落ちた。
ガンッ☆ 日本列島と濃厚なキスを交わせば、途端に全身に激痛が走る。苦痛に表情を歪めながら叫ぶ。

「江田島ァァァァァァ、ああああああっっ、許さん、許さんぞ!ああっ!ああっ!」

天才の自分に敗北を味わわせた漢(オトコ)。断じて許すわけにはいかん。即ち、死刑。
目に付く端から蔦という蔦、草という草に八つ当たりしながら、茂みを這った。目を焼くような眩い輝き。

「く……眩しいな。暫く気を失っていたようだが……ちっ」

ふと思いついたように時計を眺める。短針は既に、二時を回っていた。舌打ち。どうやら、放送を聴き損ねた。
伏せたまま用心深く辺りを見回し、誰もいないことを確認する。フッと安堵からか、鼻を鳴らし、

「誰が死んだか分からないが……まあいい。全員殺せば同じことよ」

聖者トキの顔を模した顔が、邪悪にほくそ笑む。
天才である自分の前に立ち塞がる輩は、全て凡夫たる敵。順に倒していけば自分だけが残る。簡単な話だ。


ちゃき。腰に吊るしたニューナンブの重たい感触を確かめる。
驚くべきことに、弾さえも抜かれてなかった。自分の荷物も放置してある。
――江田島は猛者ではあるが、甘過ぎる。この天才を唯の凡夫と決め付けたことを後悔するがいいわ。
ニタアと不気味に笑みながら、アミバは歩き出した。次の実験体を、木偶人形を求めて。





【埼玉県(森)/午後】
【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:ダメージ中(多少回復しました)
 [装備]:ニューナンブ@こち亀
 [道具]:支給品一式(食料1日分消費)
 [思考]:1.皆殺し
     2.(可能なら)江田島にも復讐する
 [備考]アミバは第二回目の放送を聞き逃したため、死者、死者数等の情報を持ちません

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165:魁!一護100%~戦う壮年~ アミバ 266:狩人の意思は、非情の舞台で爆発し

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最終更新:2024年04月04日 22:29