0165:魁!一護100%~戦う壮年~ ◆HKNE1iTG9I





――拝啓おふくろ様
  ご無沙汰しております。最後にお会いしてから、もう六年になりますね。
 それというのも、便りが無いのはなんとやら、という言葉にあやかろうと思い立ったからです。愚かな考えではありますが。
――ごめんなさい、嘘です。
  ユズもカリンも元気にしています。ヒゲはぶっちゃけ元気すぎで迷惑です。
 さて、バカ息子一護の近況をお話いたします。 何の因果か、今、オレはクソッタレな殺し合いゲームに巻き込まれています。

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「次から次へと…この天は余程、このアミバの才を妬んでいるとみえる」

 アミバは目の前に現れた巨漢、江田島平八に対して語りかけた。
その身を包むものは余裕。己が才に対する絶対の自信。
独学で北斗神拳すら会得した、天賦の才をもつ者として、このような場で死ぬことなどありえないという確信。
先は子供二人相手に不覚を取ったが、同じ過ちを繰り返すような愚は、このアミバには有り得ない!!

 ――実際、一護の秘孔を突くために拳銃を腰に仕舞ったという行動自体が悪手ではあったが、
生憎、今の時点ではアミバがそれに気づくことは無かった。

「貴様…そこの二人に何をした?」
 江田島は問いかける。静かな声で。だが、その声音は抑えきれない怒気を孕んで。
「黒髪の餓鬼は、我がアミバ流北斗神拳の新たなる一歩のための実験体になってもらった。
 オレンジの方も、これから実験体になってもらうつもりだ。何、運がよければ死ぬことは無い。
 いや、死んだとしても、この天才の糧になれたと思えば、むしろ喜ぶべきことだとは思わんかね?」
 アミバは感心していた。目の前の男が放つ威圧感に。
アミバは慢心していた。圧倒的に有利な立場に居る自分を自覚して。
アミバには自信があった。自分の溢れんばかりの才能に対して。
アミバには過信があった。自分の溢れんばかりの才能に対して。

 江田島の目の前に居るのは男。名をアミバ。この男が行っているのは、闘いではない。
無力な者を嬲り、踏みつけ、己を誇示することになんの躊躇も無い行動。これは闘いではない。
江田島の頭に、一瞬、死んだ男塾一号生筆頭の顔がよぎる。それは、一瞬の回想。

 桃よ。日本男児として恥じない、立派な散り様だったのだろう。
さらばだ、剣桃太郎。わしは貴様のような塾生をもって誇りに思うぞ!!

 次の瞬間、江田島から溢れる威圧感が。
この戦場を覆い隠すかのように広く、深く、大きく、重く膨れ上がる!

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「おい、真中!大丈夫か?!」
 一護は這いずる。先ほど砕かれた膝は言うことを聞かず、今は這いずることしかできない。
目の前で、また誰かが傷つけられた。自分はまた、守ることが出来なかった。そして、今は這いずることしかできない。
自分の動きが、まるで泥の中を泳ぐように緩慢に思える。それでも。先ほどから痙攣を続けている真中の元へ這っていく。
「ファー…ブルスコ…ファー…ブルスコ…ファ-」
だが。未だ痙攣している真中に声をかけても、まともな返答がない。
極度の緊張、実際に襲われたという事実、アミバに突かれた秘孔の作用…
あるいはそれ等全てが真中の内部で出会ってしまい―――化学反応を起こしスパーク……はしなかったが。
「くろ…あし…あぐ!」
「あ?」
「あがが…ひざ…うたれ…」
「つーか、お前が大丈夫かよ!?」
「かゆ…うま…」
「って、まて。お前は何を言おうとしてるんだ?!」

――拝啓おふくろ様
 こっちにきてから、オレはどんな状況でもツっこんでばかりです。オレは一体どこに行くんでしょうか。

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「おれはどんな拳法でも誰よりも早く習得できる天才だ!!」

 叫ぶ。叫ぶ。アミバは吼える。この天才としたことが、相手を過小評価していたとは!
目の前の相手、江田島の姿が、何倍にも大きく見える。
越えることを考えることすらできない、絶壁のように見える。
――考えろ。越えられぬ絶壁など無い。超えられぬ相手などない。

 思いついた一手。それは…

――フン、先程と同じ手で行くか。

 人質をとること。こいつらが黒髪のガキが言っていた仲間に違いない。ならば、仲間の命をチップに使えばいい。
目の前の男は強い。だからこそ、我が北斗神拳の進化のためのいい木偶人形になってくれるだろう。
そこで、アミバは銃口を真中に向けようとし、ついに自分の失策に気付く。

――それは、一護の秘孔を突くために拳銃を腰に仕舞ってしまったという、単純なミス。
拳銃を抜き、照準を合わせ、引き金を引くという三挙動が生み出す、致命的なまでの隙。
目の前の相手が、それを見逃してくれるとは、アミバにはさらさら思えなかった。

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……
………

 ――拝啓おふくろ様。
 淳平です。何の因果か、訳の分からない殺し合いゲームに巻き込まれています。
殺人者に襲われたって言っていた男性を助けたら、突然、変なツボを押されて、只今、絶賛痙攣中です。
先程の超常バトルはオレの理解を超えていました。
映画監督を志す身としては、非常に情けないのですが、音声だけお伝えすると、以下のような感じです。

「死ねィ!江田島ッ!! 天破活殺ッ!!」
「ふ、それで天才とは笑わせよる。気の練り込みが全く足らんわ。せっかくの技が泣いておるぞ。 
 アミバよ、これが拳。これが技。これが千歩氣功拳じゃあッ~!!」


 先の闘いは、平八のおじさんの勝ちでした。決まり手はビームです。
あの隈取り鍼灸師みたいな奴は「モルスァ」みたいなこと言いながらすごい勢いで飛んで行きました。

 ――拝啓おふくろ様。先立ちそうな不幸をお許しください。

でも。東城も、西野も、さつきも、黒崎も、平八のおじさん…いや、おじさまも、絶対に死なせはしません。


――死なせて、たまるか。

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【埼玉県(森)/朝】
【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:ダメージ大、気絶中(森の奥で、つたに絡まって逆さ吊りになってます)
 [装備]:ニューナンブ@こち亀
 [道具]:支給品一式(食料1日分消費)
 [思考]:1.目の前の敵と戦う 
     2.皆殺し

【真中淳平@いちご100%】
 [状態]手首捻挫、痙攣中(1時間ほどで治まる)
 [装備]無し
 [道具]無し
 [思考]1.知り合いとの合流
    2.東京を目指す

【江田島平八@魁!!男塾】
 [状態]健康
 [装備]無し
 [道具]支給品一式、不明
 [思考]1.「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
    2.「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」

【黒崎一護@BLEACH】
 [状態]両膝破壊 (名簿に写真がないため、メガネ藍染かオールバック藍染かは知らない)
 [装備]シャハルの鏡@ダイの大冒険
 [道具]支給品一式
 [思考]1.目の前で襲われている奴らがいたら助ける
    2.朽木ルキアとの合流
    3.東京を目指す


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130:天才の知略 アミバ 247:天才の復活
130:天才の知略 真中淳平 223:魁!一護100%~Frame framin' SAITAMA MIX~
130:天才の知略 江田島平八 264: 十 
130:天才の知略 黒崎一護 223:魁!一護100%~Frame framin' SAITAMA MIX~

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最終更新:2023年12月14日 02:18