0304:死神交響曲第十一番第二楽章『狂戦士』





「その殺された仲間ってのはどんな奴だったんだ?」
「跡部は偉そうで説教臭くて、一輝は真面目で正義感が強くて・・・でも二人とも本当にいい奴だったってばよ」
「襲ってきたヤロウはひょっとこみたいな顔してやがったが、本体もあんな顔なのか?」
「影分身の術は自分そのままの姿しか作れないってばよ」
「殺した奴には仲間がいたんだって?」
「そうだってばよ。ピエロみたいな奴で、変な手品を使ってたってばよ」
「俺から見りゃあ、お前の使う技も手品みたいなもんだぜ?」
「これは忍術だってばよ!」

四国へ渡る橋の上で、ヒル魔とナルトが話していた。
ヒル魔はさりげなくナルトに探りを入れていたのだが、ナルトの身体を乗っ取った九尾は嘘を交えながら質問に完璧に答えていた。

(この小僧、ワシのことを疑っておるな?フン、百年早いわ)
(チッ、なかなか尻尾を出しやがらねぇな・・・別の角度から攻めてみるか)

「ラーメンが好きって言ってやがったな。何ラーメンが好きなんだ?味噌か?塩か?」
「一楽のラーメンなんだってばよ!」

                 ・
                 ・
                 ・

「ほうほう、それでどうしたって?」
「火影のじいちゃんってば、俺のおいろけの術で鼻血出してぶっ倒れて・・・ん?」

話が逸れまくり、何故か木の葉の里の最高権力者の弱みを握る話をしていたヒル魔とナルトは、
後方から来る人影に気付いた。二人とも警戒態勢をとる。

「誰か来るってばよ。俺の敵じゃなさそうだけど・・・」
「あの頭・・・ゲッ!あいつはファッキンウニ頭!」
「ファッキン・・・?変な名前だってばよ」
「アホか、そんな可哀相な名前の奴はいねぇ。あとお前人のこと言えねえ」
「蛭魔妖一も十分変な名前だと思うってばよ」

そんなことを話している間にその男ーーー更木剣八が近づいてきた。

「よう、また会ったな小僧」
「ハッ、俺はもう二度とテメーの面なんざ見たくなかったけどな。あのファッキン手巻きミイラはどうしやがったんだ?」
「またファッキン・・・ハッ、もしかして名字!?だとしたら家族で参加してるってことになるってばよ」
「だから違うって言ってるじゃねーか!それはもう置いとけ!」

言い争う二人を見て、剣八はニヤリと笑う。

「元気いいじゃねーか・・・見たところそっちの初顔の小僧はかなり出来るみてぇだな。ひとつ手合わせ願うぜ」

その言葉で、一気に場を緊張感が支配する。

(こやつの狙いはワシか。しかし、ここで戦闘狂と戦ってチャクラを消費するのは避けたいところだな。
だとしたら取るべき行動はひとつ。それはーーー)

「逃げるってばよ!」

忍の瞬発力で駆け出そうとするナルト。
しかし、剣八は一瞬のうちに回りこんでいた。

「逃がさねえぜ」

死神特有の移動法「瞬歩」でナルトの逃走経路を妨げたのだ。
ここは橋の上。他に逃げ場はない。

(これは・・・瞬身の術!こやつも忍か!)

「観念しな、なあに負けても死ぬだけだ。死後の世界もそう悪い所じゃねえぜ、何せまだまだ戦えるからな」
「どうやらやるしかねーみたいだってばよ」

ナルトは持っていたデイパックをヒル魔に投げ渡した。

「下がっていろってばよ」
「言われなくてもそうするつもりだ」

ヒル魔が後ろに下がり、ナルトが印を組み、剣八がムラサメブレードを構えた。

「そうだ、それでいい・・・さあ始めようぜ、死合いをよぉッ!」

剣八が突進した。ナルトは術を発動する。

「影分身の術!」

何人ものナルトが剣八に襲い掛かる。その全てを剣八は叩き斬った。

「藍染の奴のようなチンケな幻術とは違うみてえだな、実体のある幻ってところか。
面白えッ!さあ、本体はどいつだぁッ!」

影分身が何体も襲い掛かるが、剣八には傷一つ付けられない。

(かなりの剣捌きだな、ここはセオリー通り背後から強力な術で片付けるとするかの)

ナルトは影分身に紛れて剣八の後ろに回りこみ、攻撃をしようとした。

が、

「こいつかァッ!」

歴戦の経験を持つ剣八は瞬時にその気配に気付き、剣を振るった。
間一髪で後ろに下がったナルトの服に横一線の傷が走る。

「ハァッ!当たりみたいだなあッ!」
そのまま剣八は連撃を加える。ナルトはなんとか捌き続けるが、徐々に裂傷が増えていく。

「どうした!この程度かぁ!?」
そのまま剣八の圧勝に思われたがーーー遂に九尾がキレた。

「嘗めるなよ若僧がアアアァッ!!」
「うおッ!?」

全身から黒いチャクラを噴出させたナルトから、剣八は思わず後ろに下がる。
ナルトの尻からは尻尾状にチャクラが具現化されている。

「虚化か?いや違うな、仮面がねぇ」

既に人外の様相を呈してきたナルトの口から黒い塊が生まれる。
それはチャクラを高密度で固めたものだった。大蛇丸も恐れたものである。

「・・・面白え。面白え面白え全く全体面白過ぎるぜこの世界はよおぉっ!」

剣八は眼帯を剥ぎ取った。抑えられていた霊力が噴出する。

「さあ、来いよ!俺か手前か!生き残るのはどっちか決めようじゃねえか!」

ナルトから拳大のチャクラの塊が放出される。
剣八のムラサメブレードがこれを迎え撃つ。

両者が接触するとき、凄まじい圧力が発生した。
その圧力は大気をたわませ、空気を歪める。
その圧力に耐え切れず、
ムラサメブレードが、

根元から折れた。


同時、大爆発が巻き起こる。

「ぐううっ!」

後ろで見ていたヒル魔はその風圧に飛ばされないよう、必死で身をかがめた。
そしてナルトの変異はそのころにはもう治まっていた。

(くうッ・・・チャクラを大分消費したな。しかし、制限とはここまで激しいものなのか。
チャクラの枯渇を恐れて使用するチャクラの量をかなり抑えたが、
それでも本来の威力の10分の1にもはるかに届かないとは・・・!)

「ふん、だがあの男はもう生きてはいまい。このワシに戦いを挑んだこと、
その『そこまで悪くない死後の世界』で後悔するがいいわ」

しかし、煙の中から声が聞こえた。

「勝ち名乗りを上げるのは・・・まだ早えェぜ」

更木剣八は生存していた。
身体はあちこち傷だらけで、出血も激しいが、五体満足で存在していた。
ナルトが技の威力を抑えたこと、
眼帯を外して身体を守る霊力を強化したこと、
ムラサメブレードが威力の大部分を削ってくれたこと、
これらの複合要因が剣八を生かしたのだ。

「バカな・・・」
「さあ、続けようぜ・・・って刀が折れちまったな。しょうがねえ」

剣八は荷物からサッカーボールを取り出し、手で握りつぶす。
そしてその丈夫なゴムを、折れたムラサメブレードの刀身に巻きつける。
それは、即興の刀の握りになった。

「これでよし、まあ多少持ちにくいがその辺りは我慢しようじゃねぇか」
「クッ・・・」

(残ったチャクラでこの男を倒せるか・・・!?否!危険過ぎる!こうなったら四国にいる同族がお人好しなのを願うしかないわ!
本当はあの餓鬼を使って安全に接触しようと思っておったが已むを得ん!
この男に襲われていることにして・・・いや、今回は本当に襲われているかの。同族にこの男を倒させる!
もし同族がこの男に勝てなかった場合は妖力を喰らい、回復したチャクラでワシが今度こそ全力でこの男を殺す!)

「どうした、来ねえのか?来ねえならこっちから行くぜ」
「フン、ワシ・・・俺はお前なんかにかまってるヒマはないんだっ」

足の裏にチャクラを集中させる。

「てばよ!」

全速離脱。ナルトは剣八の視界から消えた。
さきほど剣八に回り込まれたのは普通に逃げようとしたからで、最初から全速力で逃げれば回り込まれることはない。

「オイ・・・オイオイオイオイ!?手前はまだ戦えるだろうがあ!俺と・・・戦えええェッ!」

ナルトを追って剣八も全速移動する。
そうして橋の上にはただ一人、ヒル魔だけが残された。

(クッソ、何だあの化け物どもは!?あれが人間か?少なくとも危険過ぎる奴らだってことは分かるぜクソッタレ!
一度糞チビ達の所に戻るか?いや、今の目的をよく考えろ!糞マネを探すことだ!
もし糞マネが四国にいて、あの二人の戦いに巻き込まれて死んだら後悔してもしきれねェ!・・・見届けるしかねぇな)

ヒル魔は自分とナルトのデイパックを担ぎ、二人の後を追う。

こうして二匹の飢えた獣が四国に入った。
比較的平穏だった四国でも、狂乱の嵐が吹き荒れようとしていた。




【岡山/下津井瀬戸大橋・通過中/夜】
【更木剣八@BLEACH】
 [状態]:軽度の疲労、股関節・両肩の軽い炎症、全身に軽度の裂傷・火傷・出血(出血は治まりかけ)、眼帯を外したため霊力上昇
 [装備]:折れたムラサメブレードの刀身(サッカーボールの握りが巻いてある)@BASTARD!! -暗黒の破壊神-
 [道具]:荷物一式
 [思考]:1、ナルトを追う。
     2、誰かと戦いたい。
     3、志々雄、キン肉マンらと決着をつける。
     4、キン肉マンの仲間になる気はない。

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、疲労はほぼ回復
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式 ×2(一つは食料と水を消費済み)
     ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
     ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
 [思考]:1.ナルト、剣八を追う
     2.香川で姉崎まもりを捜索し合流
     3.ナルトを警戒
     4.22時までに岡山市街地に戻る

【うずまきナルト@NARUTO】
 [状態]:九尾の意思、かなり疲労、全身に軽度の裂傷、チャクラ消費中
 [装備]:無し
 [道具]:フォーク5本(すぐ使えるようポケットに入れてある)
 [思考] 1、四国から感じた強大な妖気の源(鵺野)と接触し、可能なら利用。不可能なら殺害後捕食。
    2、剣八を殺す。
    3、サクラを探し、可能なら利用。不可能なら殺害。
    4、術者に能力制限を解かせる。
    5、優勝後、主催者を殺害する。

[備考] (ナルトの精神は九尾の部屋で眠っています。
    肉体的に瀕死、またはナルトが外部から精神的に最大級の衝撃を受けると一時的に九尾と人格が入れ替わります)

※玉藻の封印は、玉藻の死亡と、九尾のチャクラの一部によって解除されたという見解です。
 そのため、今のナルト(九尾)はナルトのチャクラ+九尾のチャクラ15%程度のチャクラが上限です。
 ただし、九尾のチャクラも使いこなせます。
 あと、九尾は基本的にナルトの口調で喋ります。



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298:死神交響曲第十一番『戦求者』 蛭魔妖一 320:死神交響曲第十一番第三楽章『王者』
298:死神交響曲第十一番『戦求者』 うずまきナルト 320:死神交響曲第十一番第三楽章『王者』
298:死神交響曲第十一番『戦求者』 更木剣八 320:死神交響曲第十一番第三楽章『王者』

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最終更新:2024年06月10日 22:47