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ずこうのじかん - (2006/12/20 (水) 17:54:35) の1つ前との変更点

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  それはいつもの休日のこと。 「電気石、何作ってるの?」   座布団に座ってしきりに手を動かしている電気石の後ろ姿に、僕は興味を覚えた。まぁ、子供のやっていることだからたいしたことではないとか、電気石には言えないような失礼なことも考えているけど。 「んー……?」   でも、それは僕の想像を遙かに凌駕するものだった。 「……何、これ?」 「んー、基盤?」   首をかしげられても困るんだけど……しかし、それは確かに電気石の言う通り基盤だった。よく機械に入ってる緑色のアレ。しかも電気石の片手にははんだごて。電源は自前のようだ。 「図画工作?」 「いや、普通こういうのは作らないよ」 「楽しいよ?」 「ごめん、僕には何が楽しいか分からない……」   あ、電気石しょんぼりさせちゃった。いくら分からないからって、そんなこと言ったらやっぱダメだよね。でも話を合わせるのはとうてい無理。だって基盤を作るとかやったことないし。 「ご、ごめんね。じゃあ僕はよく分からないから、どういうの作っていたか教えて?」 「うん……いんてる入ってる」 「そ、そうなんだ。じゃあパソコンなの?」 「ううん。使っちゃダメ……どかーん」   それはつまりパソコンに使うと爆発すると。 「あ、危ないんだね……」 「んー……ちょっと?」   爆発するのはちょっとじゃないよ。充分危険だと思う。   しかし、僕と話している間も少しずつ手を動かして作業を進めている、とても楽しそうに。手つきも慣れており、きっと昔からこうして遊んでいたんだろうなぁ。 「マスター……一緒に、やろ?」 「ぼ、僕も? いいけど上手くできるかどうか」 「……教えるよ」   と、電気石は嬉しそうに微笑む。 「マスター、いろいろ教えてくれるから……だから、私も♪」   僕にはそんな自覚はなかった。電気石は普段からけっこう器用で、普通の生活の上でできないことはほとんどなかった。身長が足りなかったりで物理的にできないこともあるけど。   とにかく、僕が何を教えてあげたのかなんて、自分自身よく分かっていない。しかしこんな笑顔を向けられれば、そんな謙遜は無用どころか失礼に値するってことくらいは分かる。   今日は電気石につき合おう。この子が満足するまで。 「そっか。じゃあ今日は電気石にいろいろ教えてもらおうかな」 「うん」   手を休め、近くの座布団を自分の座布団の隣に置く電気石。僕は礼を言ってその上に腰を下ろす。電気石と密着する形で。 「これでこれ、じゅーって溶かすの」 「ふむふむ」   というわけで、今日の休日は電気石との工作の時間。たまにはこういうのんびりした日も、悪くはない。 「ただいまーっ。あれ? ご主人様、お姉様と何してるんですか?」 「……一緒に遊んだ」 「うん。何作ったか自分でもよく分からないけど……」   床には、例の緑色のアレが数枚。僕より作るペースの早い電気石のがほとんどだけど。 「楽しかった♪」 「そうなんだー。よかったね、お姉様っ」   ま、電気石が楽しかったなら、それでよししってことで。 「で、結局これって何なの?」 「んー……どかーん?」 「……何、つまり爆弾作ってたの? 僕」 「パソコンに使うと爆発……ほほぉ」 「置石、うちにはパソコンない」 「じゃあアキバ辺りに売りに行く?」 「行かない」

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