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踊らされやすい人々 - (2007/02/12 (月) 12:29:54) の1つ前との変更点

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「主っ、ばれんたいんが都市伝説とは本当か!?」   俺は盛大にココアを吹いた。 「にゃあぁ~っ」 「あ、すまん天……じゃない。珊瑚、お前は何を言っているんだ」 「この新聞記事にそう書いてあるぞっ」   差し出された紙切れを見てみる。   ……バレンタインデーチョコ贈与、政府都市伝説と認定か。   確かに都市伝説ってことになったんだな、うん。   しかし隅のブーンチョコとかいう広告は何だよ。思いっきりネタじゃないか。 「都市伝説とはつまり存在しないということなのか!」   でもそんなネタに珊瑚は思いっきり踊らされてる。   ちょっと……いや、かなり面白いな。 「そうだなー、そう書いてあるってことはそうなんだろ?」 「な、なんという……つまり黒曜石たちは存在しない行事のために……」 「そういうことになるなー。で、何で珊瑚がひざまずいてるんだよ?」 「……はっ、いや別に某は何もっ!」   どう見ても何かある感じの珊瑚。 「バレンタインデーないの? じゃあお姉ちゃんと作ったチョこっ――」 「そ、そうか都市伝説なのかっ。それじゃあさっそく黒曜石たちに伝えなければなっ!」   天の口を塞ぎ、珊瑚はそうそうに退散。   ……うぅむ、ネタと伝えるタイミングを逃してしまった。 「まぁ、いいか」   それよりも吹いたココアを拭かないとな……あー、染みになったかなぁ。     ◇    ◇    ◇    ◇   どうも面白いことがない今日このころ。   何か退屈しのぎはないかなぁ……って、珊瑚と天河石? 「残念だね、お姉ちゃん」 「それは天河石の方だろう。あんなに張り切ってチョコを作っていたのに」 「お姉ちゃんもだよ?」 「そ、某はそんなに……」   何話してるんだろ、残念とかチョコとか。 「ねーねー、何かあったの?」 「おぉ、置石か。ちょうどよい、これを見てくれ」   ん、どれどれー……は? バレンタインデーが都市伝説? 「バレンタインデーがねー、なくなっちゃったんだよぉ」 「天河石は主に渡すためのチョコを頑張って作っていたのだがな……」 「お姉ちゃんもだよ?」 「だ、だから某は……」   いや、どう考えてもネタでしょこれ。   それなのにこの二人、本気にしてるわけだ。   ちょっと、いやかなり面白いじゃん。あたしはこういうのを待っていたのよ!   これはやっぱり少しいじってみないとねぇ……ふっふっふ。 「あー、それじゃあこの前のあの話も本当なのかもねー」 「む、何のことだ?」   食いついてきたっ! 「ん、2月14日はチョコレート禁止の日になるんだってー。チョコレート工場はその日は絶対休みで、店もチョコレート関係の物は出しちゃダメ。で、チョコレートを持ってたら逮捕されるんだってー」 「なっ……」 「け、警察さんに捕まっちゃうの?」   おぉ、思った以上にいい反応。 「うんっ」   トドメといわんばかりにうなずいてみると、二人とも顔が青ざめていく。   まさかここまで本気にするなんてねぇ……。 「天河石っ、急いで家に戻るぞ!」 「うんっ、家にあるチョコレート全部隠さないとぉー」 「急いだ方がいいよー。チロルチョコでもアウトだからねー」 「わ、分かった。忠告感謝する!」   二人で一目散に家へ帰って行く。   いやぁ、純粋な二人組ですねぇー♪ 「……置石」 「うわっ、いきなり後ろから出てこないでよ!」 「どうなっても、助けないから……」     ◇    ◇    ◇    ◇ 「主ぃ! チョコレートが見つかったら逮捕されるぞ!」   俺は盛大にアンパンを吹いた。 「こ、今度は何なんだよ……」 「お、置石が、14日はチョコレート禁止の日だと!」 「見つかったら警察さんに捕まっちゃうよぉーっ」   ……この二人は何を言っているんだ。   だいたい置石が情報源とか、絶対ホラ吹かれたに違いない。 「都市伝説やら禁止やら、この国は横暴だぞ!」 「いや、あの……」 「お姉ちゃんっ、お菓子袋ー!」 「おぉ、仕事が速いな天河石。さっそくチョコを隠すぞ!」 「だから、あのさ……」 「ポッキーはダメかなぁ?」 「ダメだろう、アレのメインはチョコだ。」 「あの、人の話を……」 「……今食べちゃうのは、ダメ?」 「ダメだ」 「……えぇいっ、人の話を聞けぇ!!」 「「は、はいっ!」」   二人同時にこちらへ顔を向ける。 「ったく……いいか、まず珊瑚の持ってきたその新聞はネタ。そして置石が情報源という時点で逮捕も大嘘。だいたいバレンタインデーがどーのこーのなんて聞いたことねぇよ」 「え……」 「うにゅ……」   一気に静まりかえる室内。   お菓子袋の落ちる音が、やたらと虚しく響く。 「し、しかし、主はあの記事を……」 「アレはお前に話を合わせただけだ。本気にしたなら謝るが、せめて嘘と言うまでつき合ってくれ……」 「……バレンタインデー、あるのぉ?」 「ある。さすがにそこまで国は横暴じゃない」   再び沈黙。 「……あははははは」   そして珊瑚の乾いた笑い声。 「ははははは……主も人が悪いなぁ」 「だってあまりにもお前が面白かったからな」 「そうかそうか、面白かったか……主ぃーっ!!」 「アッー!!」 「よかったねー、バレンタインデーあるんだよー」 「某は別に……まぁ、よかったな」   天は嬉しそうに、珊瑚は照れくさそうに微笑む。   これで俺が酷い目に遭ってなければ、素直に和めたんだがな……。 #ref(http://obsidian.no.land.to/jm/f/jm1069.gif) 「さて、某は少し出かけてくるぞ」 「どこ行くのぉ?」 「……ちょっと、置石を懲らしめに」 ----
「主っ、ばれんたいんが都市伝説とは本当か!?」   俺は盛大にココアを吹いた。 「にゃあぁ~っ」 「あ、すまん天……じゃない。珊瑚、お前は何を言っているんだ」 「この新聞記事にそう書いてあるぞっ」   差し出された紙切れを見てみる。   ……バレンタインデーチョコ贈与、政府都市伝説と認定か。   確かに都市伝説ってことになったんだな、うん。   しかし隅のブーンチョコとかいう広告は何だよ。思いっきりネタじゃないか。 「都市伝説とはつまり存在しないということなのか!」   でもそんなネタに珊瑚は思いっきり踊らされてる。   ちょっと……いや、かなり面白いな。 「そうだなー、そう書いてあるってことはそうなんだろ?」 「な、なんという……つまり黒曜石たちは存在しない行事のために……」 「そういうことになるなー。で、何で珊瑚がひざまずいてるんだよ?」 「……はっ、いや別に某は何もっ!」   どう見ても何かある感じの珊瑚。 「バレンタインデーないの? じゃあお姉ちゃんと作ったチョこっ――」 「そ、そうか都市伝説なのかっ。それじゃあさっそく黒曜石たちに伝えなければなっ!」   天の口を塞ぎ、珊瑚はそうそうに退散。   ……うぅむ、ネタと伝えるタイミングを逃してしまった。 「まぁ、いいか」   それよりも吹いたココアを拭かないとな……あー、染みになったかなぁ。     ◇    ◇    ◇    ◇   どうも面白いことがない今日このころ。   何か退屈しのぎはないかなぁ……って、珊瑚と天河石? 「残念だね、お姉ちゃん」 「それは天河石の方だろう。あんなに張り切ってチョコを作っていたのに」 「お姉ちゃんもだよ?」 「そ、某はそんなに……」   何話してるんだろ、残念とかチョコとか。 「ねーねー、何かあったの?」 「おぉ、置石か。ちょうどよい、これを見てくれ」   ん、どれどれー……は? バレンタインデーが都市伝説? 「バレンタインデーがねー、なくなっちゃったんだよぉ」 「天河石は主に渡すためのチョコを頑張って作っていたのだがな……」 「お姉ちゃんもだよ?」 「だ、だから某は……」   いや、どう考えてもネタでしょこれ。   それなのにこの二人、本気にしてるわけだ。   ちょっと、いやかなり面白いじゃん。あたしはこういうのを待っていたのよ!   これはやっぱり少しいじってみないとねぇ……ふっふっふ。 「あー、それじゃあこの前のあの話も本当なのかもねー」 「む、何のことだ?」   食いついてきたっ! 「ん、2月14日はチョコレート禁止の日になるんだってー。チョコレート工場はその日は絶対休みで、店もチョコレート関係の物は出しちゃダメ。で、チョコレートを持ってたら逮捕されるんだってー」 「なっ……」 「け、警察さんに捕まっちゃうの?」   おぉ、思った以上にいい反応。 「うんっ」   トドメといわんばかりにうなずいてみると、二人とも顔が青ざめていく。   まさかここまで本気にするなんてねぇ……。 「天河石っ、急いで家に戻るぞ!」 「うんっ、家にあるチョコレート全部隠さないとぉー」 「急いだ方がいいよー。チロルチョコでもアウトだからねー」 「わ、分かった。忠告感謝する!」   二人で一目散に家へ帰って行く。   いやぁ、純粋な二人組ですねぇー♪ 「……置石」 「うわっ、いきなり後ろから出てこないでよ!」 「どうなっても、助けないから……」     ◇    ◇    ◇    ◇ 「主ぃ! チョコレートが見つかったら逮捕されるぞ!」   俺は盛大にアンパンを吹いた。 「こ、今度は何なんだよ……」 「お、置石が、14日はチョコレート禁止の日だと!」 「見つかったら警察さんに捕まっちゃうよぉーっ」   ……この二人は何を言っているんだ。   だいたい置石が情報源とか、絶対ホラ吹かれたに違いない。 「都市伝説やら禁止やら、この国は横暴だぞ!」 「いや、あの……」 「お姉ちゃんっ、お菓子袋ー!」 「おぉ、仕事が速いな天河石。さっそくチョコを隠すぞ!」 「だから、あのさ……」 「ポッキーはダメかなぁ?」 「ダメだろう、アレのメインはチョコだ。」 「あの、人の話を……」 「……今食べちゃうのは、ダメ?」 「ダメだ」 「……えぇいっ、人の話を聞けぇ!!」 「「は、はいっ!」」   二人同時にこちらへ顔を向ける。 「ったく……いいか、まず珊瑚の持ってきたその新聞はネタ。そして置石が情報源という時点で逮捕も大嘘。だいたいバレンタインデーがどーのこーのなんて聞いたことねぇよ」 「え……」 「うにゅ……」   一気に静まりかえる室内。   お菓子袋の落ちる音が、やたらと虚しく響く。 「し、しかし、主はあの記事を……」 「アレはお前に話を合わせただけだ。本気にしたなら謝るが、せめて嘘と言うまでつき合ってくれ……」 「……バレンタインデー、あるのぉ?」 「ある。さすがにそこまで国は横暴じゃない」   再び沈黙。 「……あははははは」   そして珊瑚の乾いた笑い声。 「ははははは……主も人が悪いなぁ」 「だってあまりにもお前が面白かったからな」 「そうかそうか、面白かったか……主ぃーっ!!」 「アッー!!」 「よかったねー、バレンタインデーあるんだよー」 「某は別に……まぁ、よかったな」   天は嬉しそうに、珊瑚は照れくさそうに微笑む。   これで俺が酷い目に遭ってなければ、素直に和めたんだがな……。 #ref(jm1069.gif) 「さて、某は少し出かけてくるぞ」 「どこ行くのぉ?」 「……ちょっと、置石を懲らしめに」 ----

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