リビングに駆け込んできたソーダの、第一声。
「ママーっ。ソーダひとりでねんねするーっ」
……ソーダとの生活で、色々驚かされる経験をしてきた私だけど、これほどまで驚かさせられるとは思わなかった。
あの、甘えん坊のソーダが、一人で寝る? 夜になってから言うのだから、昼寝という訳ではない。
確かに、仕事で遅くなる時はソーダに添い寝をしてあげることは出来ない。それでも、他のお姉さん達が付き添ってくれているのは確実。一人で寝たことなど、これまで一度もないと思う。
「え、えっと……大丈夫なの?」
コーヒーの入ったマグカップをテーブルに置き。満面の笑みを浮かべるソーダに顔を向ける。
「うんっ。てんちゃんがー、おねーさんはひとりでねるんだよーっていってたー」
「お姉さんって、ねぇ」
そのお姉さんと呼ばれるには、ソーダはまだまだ幼すぎると思うけど……。
と、隣に座っていた爆弾岩さんが、あたしの肩に手を乗せる。
「いいんじゃないかしらぁ。たまにはそういう経験も必要よ?」
「でも、まだソーダは……」
「小さくても、宝石乙女は一人で永い眠りに就かなければならないこともあるの。次のマスターを探す時に、ね。ソーダは生まれたばかりで経験はないけど、それは避けられないことなのよ」
穏やかだけど、寂しそうな表情の爆弾岩さん。
そんな生々しい話を聞かされては、あたしから言う事なんて何もなくなってしまう。
……きっと、宝石乙女には必要な事。
「ママーっ。ソーダひとりでねんねするーっ」
……ソーダとの生活で、色々驚かされる経験をしてきた私だけど、これほどまで驚かさせられるとは思わなかった。
あの、甘えん坊のソーダが、一人で寝る? 夜になってから言うのだから、昼寝という訳ではない。
確かに、仕事で遅くなる時はソーダに添い寝をしてあげることは出来ない。それでも、他のお姉さん達が付き添ってくれているのは確実。一人で寝たことなど、これまで一度もないと思う。
「え、えっと……大丈夫なの?」
コーヒーの入ったマグカップをテーブルに置き。満面の笑みを浮かべるソーダに顔を向ける。
「うんっ。てんちゃんがー、おねーさんはひとりでねるんだよーっていってたー」
「お姉さんって、ねぇ」
そのお姉さんと呼ばれるには、ソーダはまだまだ幼すぎると思うけど……。
と、隣に座っていた爆弾岩さんが、あたしの肩に手を乗せる。
「いいんじゃないかしらぁ。たまにはそういう経験も必要よ?」
「でも、まだソーダは……」
「小さくても、宝石乙女は一人で永い眠りに就かなければならないこともあるの。次のマスターを探す時に、ね。ソーダは生まれたばかりで経験はないけど、それは避けられないことなのよ」
穏やかだけど、寂しそうな表情の爆弾岩さん。
そんな生々しい話を聞かされては、あたしから言う事なんて何もなくなってしまう。
……きっと、宝石乙女には必要な事。
「はぁ……じゃあ、ちゃんと暖かくして寝るように。分かった?」
「はーいっ」
「はーいっ」
元気な返事をされても、心配なものは心配だ。
真っ暗な子供部屋。その中央にあるのが、ソーダの寝床である宝石箱。
普段は、ソーダが寝付くまで傍にいて、眠ったところを計らってあたしが蓋を閉めている。
だから、暗い部屋の中で、蓋が閉まった宝石箱が一つ置かれているのは、何故か落ち着かない。
静かに寝てるの、かな……。
「心配?」
背後から、爆弾岩さんが部屋の様子を覗き込む。
「当然ですよ。あんな甘えん坊がいきなり一人でなんて」
「でもぉ、【ソーダのマスター】ちゃんだって、小さい頃は一人で寝るようになったのもいきなりじゃない?」
「それはまぁ……」
それでも、小学校に入ってからやっと一人で眠れるようになった訳だけど……。
でもソーダはどうだろう。まだ精神的には幼すぎるような気も。
「すっかり過保護なお母さんになっちゃったわねぇ」
「ちょ、爆弾岩さん……うぅ」
否定出来ない。昔はこの年でシングルマザーはダメだと言っていたのに。
「まぁ、貴女も明日早いんでしょ? ちゃんと寝るようにね。じゃあ、あたしは帰るわぁー」
「え、ええ……おやすみなさ……ひゃあぁっ!」
耳たぶに吐息を吹きかけられ、思わず声を上げてしまう。
文句の一つも言ってやろうと振り返るも、爆弾岩さんの姿はすでに無い。
まぁ、いいか。とりあえずソーダも静かに寝てるみたいだし、そろそろ寝る準備でも。
「……ママぁ」
寝言なのか、部屋の方からソーダの小さな声が聞こえる。
真っ暗な子供部屋。その中央にあるのが、ソーダの寝床である宝石箱。
普段は、ソーダが寝付くまで傍にいて、眠ったところを計らってあたしが蓋を閉めている。
だから、暗い部屋の中で、蓋が閉まった宝石箱が一つ置かれているのは、何故か落ち着かない。
静かに寝てるの、かな……。
「心配?」
背後から、爆弾岩さんが部屋の様子を覗き込む。
「当然ですよ。あんな甘えん坊がいきなり一人でなんて」
「でもぉ、【ソーダのマスター】ちゃんだって、小さい頃は一人で寝るようになったのもいきなりじゃない?」
「それはまぁ……」
それでも、小学校に入ってからやっと一人で眠れるようになった訳だけど……。
でもソーダはどうだろう。まだ精神的には幼すぎるような気も。
「すっかり過保護なお母さんになっちゃったわねぇ」
「ちょ、爆弾岩さん……うぅ」
否定出来ない。昔はこの年でシングルマザーはダメだと言っていたのに。
「まぁ、貴女も明日早いんでしょ? ちゃんと寝るようにね。じゃあ、あたしは帰るわぁー」
「え、ええ……おやすみなさ……ひゃあぁっ!」
耳たぶに吐息を吹きかけられ、思わず声を上げてしまう。
文句の一つも言ってやろうと振り返るも、爆弾岩さんの姿はすでに無い。
まぁ、いいか。とりあえずソーダも静かに寝てるみたいだし、そろそろ寝る準備でも。
「……ママぁ」
寝言なのか、部屋の方からソーダの小さな声が聞こえる。
いつもと変わらぬ暗闇に包まれた寝室の天井。
なのに、今日はそれが気になって眠れない。
隣の部屋で眠るソーダだって、いつも通りのこと。普段と何ら変わらぬ夜のはず。
寝返りを打ち、二つの部屋を仕切る壁へと顔を向ける。
床を挟み、この白い壁の向こうで、ソーダは眠っている。
いつも通り眠れただろうか。また熱いと文句を言って、毛布をはがしてはいないだろうか。
……気になって仕方がない。
「はぁ」
――明日も仕事だ。
そう自分に言い聞かせ、反対側へ寝返りを打つ。
大丈夫大丈夫。明日の朝、きっと一人で眠れたと自慢するソーダの姿を……。
「ママぁ」
……あれ?
「ママ……ねんねしちゃった?」
何で、ソーダの声がすぐ横で?
寝返りを打ち、再び壁の方へと顔を向ける。
「わっ」
思わず声が出てしまった。振り向いた瞬間、ベッドの上に乗ったソーダの顔が目の前にあるのだから。
「ママぁ」
そして、あたしの顔に抱きついてくる。ちょっと苦しいが、我慢。
「あのね、ねんねがんばったんだよ。でもぉ……」
やっぱり、一人で寝るには心細かったかな。
でも、泣いていないところは偉い。いつもなら泣きながら抱きついてくるところなのに。
一人ではまだ眠れないけれど、少しずつ成長しているんだ。
「ソーダ、おねーさんはめー?」
「ん……そうだねぇ」
「うぅ」
暗闇でも分かるぐらい、残念そうに俯く。
でも、まだお姉さんにはならなくていい。多分それが、あたしの本音だろう。
だって、まだ子離れが出来ていない、駄目なママなんだから。あたし自身の心の準備が出来るのは、まだ時間が掛かりそう。
「ママぁー、ねんね……」
抱きついていた体を離し、布団の中へ潜り込む、
そして、あたしのパジャマをしっかりと握りしめてくる。
「ちょ、ソーダ。もぅ」
眠れなくても、眠気には苛まれていたのかな。離れないようしっかりとくっついたところで、ソーダの寝息が聞こえてくる。
……こうして、二人で寄り添って眠るのは久しぶりだ。
「おやすみって、言わなきゃ駄目でしょ」
注意する相手は、すでに夢の中。
そんな小さな同居人の頭を、起こさないよう優しく撫でる。
とても柔らかい、髪の毛の感触。
なのに、今日はそれが気になって眠れない。
隣の部屋で眠るソーダだって、いつも通りのこと。普段と何ら変わらぬ夜のはず。
寝返りを打ち、二つの部屋を仕切る壁へと顔を向ける。
床を挟み、この白い壁の向こうで、ソーダは眠っている。
いつも通り眠れただろうか。また熱いと文句を言って、毛布をはがしてはいないだろうか。
……気になって仕方がない。
「はぁ」
――明日も仕事だ。
そう自分に言い聞かせ、反対側へ寝返りを打つ。
大丈夫大丈夫。明日の朝、きっと一人で眠れたと自慢するソーダの姿を……。
「ママぁ」
……あれ?
「ママ……ねんねしちゃった?」
何で、ソーダの声がすぐ横で?
寝返りを打ち、再び壁の方へと顔を向ける。
「わっ」
思わず声が出てしまった。振り向いた瞬間、ベッドの上に乗ったソーダの顔が目の前にあるのだから。
「ママぁ」
そして、あたしの顔に抱きついてくる。ちょっと苦しいが、我慢。
「あのね、ねんねがんばったんだよ。でもぉ……」
やっぱり、一人で寝るには心細かったかな。
でも、泣いていないところは偉い。いつもなら泣きながら抱きついてくるところなのに。
一人ではまだ眠れないけれど、少しずつ成長しているんだ。
「ソーダ、おねーさんはめー?」
「ん……そうだねぇ」
「うぅ」
暗闇でも分かるぐらい、残念そうに俯く。
でも、まだお姉さんにはならなくていい。多分それが、あたしの本音だろう。
だって、まだ子離れが出来ていない、駄目なママなんだから。あたし自身の心の準備が出来るのは、まだ時間が掛かりそう。
「ママぁー、ねんね……」
抱きついていた体を離し、布団の中へ潜り込む、
そして、あたしのパジャマをしっかりと握りしめてくる。
「ちょ、ソーダ。もぅ」
眠れなくても、眠気には苛まれていたのかな。離れないようしっかりとくっついたところで、ソーダの寝息が聞こえてくる。
……こうして、二人で寄り添って眠るのは久しぶりだ。
「おやすみって、言わなきゃ駄目でしょ」
注意する相手は、すでに夢の中。
そんな小さな同居人の頭を、起こさないよう優しく撫でる。
とても柔らかい、髪の毛の感触。
◇
「マスタぁー……あ、あのね、お酒終わりにしてね、一緒に寝よ?」
「はぁ? いきなり起きてきたと思ったら……お姉さんになるって、一人で寝るつもりじゃなかったのかよ?」
「にゃうぅー……」
「はぁ? いきなり起きてきたと思ったら……お姉さんになるって、一人で寝るつもりじゃなかったのかよ?」
「にゃうぅー……」