「節分、ですか」
殺生石が小さく呟く。
その顔は少々億劫そうな感じで、その原因は僕の持ちかけた話にある。
「ぼ、僕が言い出したわけじゃないんだよ。子供たちが鬼役は殺生石って……」
「わたくしの耳が角に見えることは、不本意ではありますが認めましょう。しかし豆をぶつけられるというのはさすがにちょっと」
「そりゃまぁ、そうだよね。やっぱりここはみんなを説得してくるかな……」
当然だよね。子供相手とはいえ、殺生石はプライドが高い。
たぶん本当の鬼にも出会ったことがありそうだけど、きっと鬼より殺生石の方がめっぽう強いんだと思う。そんな殺生石が自分より弱い相手の役なんて……やってくれないよね、さすがに。
でもみんなもずるいよ。僕が頼めば殺生石が言うこと聞くって思ってるんだから。正直この話を出すのはかなり気が引けた。ちなみにけっこう怖くもある。
「わたくしがやらぬ場合、誰が鬼役を?」
不意に、殺生石が尋ねてくる。
そういえば考えてない。まぁきっとそういう役は僕に回ってくるのだろうけど。
「たぶん僕かな。まぁ、子供たちの相手だから仕方ないよ」
「わたくしがやります」
……即答だった。
「だんな様、貴方様は人がよすぎるのです。頼まれたことでも嫌ならば断るぐらいはしなければ……」
「え、いや、別に嫌じゃないけど」
「わたくしが許可しません」
なんだか話の方向性が掴めない。
とりあえず、僕が豆をぶつけられるぐらいなら自分が……ということかな。でも何でだろう。
「だんな様が鬼では、外に追い出してしまうことに。そんなこと許されるわけ……」
「どうかした?」
「何でもありません。とにかく、鬼の役はわたくしにお任せを」
その目に宿るのは、妙に熱い決意のような……。
「そ、そこまで言うならお願いするけど……」
こんな顔されては、お願いする以外選択肢がないわけで……ときどき殺生石がよく分からない。
「ところで、だんな様も豆まきには参加を?」
「え、まぁ、うん。僕が面倒見ることになってるから、当然そうなるのかな」
「そうですか、だんな様ったらわたくしに豆をぶつけるのですね……」
うっ、もしかして嫌なのかな……って、何か笑ってるよ殺生石。
「ふふふ……だんな様ったら、そんな趣味があったのですね。ぽっ」
「はぁっ?」
顔を赤くして、いかにも自分の世界に浸っているような。
今日はいつにも増して殺生石がよく分からない。
「い、いや、あの、豆ぶつけるって、何か変な方向に……」
「分かってます、だんな様も飴と鞭が好きなのですよね?」
「いやいやいや、全然好きじゃないから」
「隠さなくてもよいのですよ。わたくしならだんな様のすべてを受け入れることが……」
「はいストップ! なんかすっごいヤラシイ方向に進んでませんかっ?」
二人きりだから少し大胆になるのは分かるけど、豆まきでこんな話に持って行かれても僕が困る。
「気のせいですよ。とにかく、当日はだんな様の喜びそうな衣装で挑みますね」
「いや、そこまでこだわらなくても……」
僕が喜びそうな衣装って……。
「と、とにかく、任せるからね……」
「はい」
殺生石が小さく呟く。
その顔は少々億劫そうな感じで、その原因は僕の持ちかけた話にある。
「ぼ、僕が言い出したわけじゃないんだよ。子供たちが鬼役は殺生石って……」
「わたくしの耳が角に見えることは、不本意ではありますが認めましょう。しかし豆をぶつけられるというのはさすがにちょっと」
「そりゃまぁ、そうだよね。やっぱりここはみんなを説得してくるかな……」
当然だよね。子供相手とはいえ、殺生石はプライドが高い。
たぶん本当の鬼にも出会ったことがありそうだけど、きっと鬼より殺生石の方がめっぽう強いんだと思う。そんな殺生石が自分より弱い相手の役なんて……やってくれないよね、さすがに。
でもみんなもずるいよ。僕が頼めば殺生石が言うこと聞くって思ってるんだから。正直この話を出すのはかなり気が引けた。ちなみにけっこう怖くもある。
「わたくしがやらぬ場合、誰が鬼役を?」
不意に、殺生石が尋ねてくる。
そういえば考えてない。まぁきっとそういう役は僕に回ってくるのだろうけど。
「たぶん僕かな。まぁ、子供たちの相手だから仕方ないよ」
「わたくしがやります」
……即答だった。
「だんな様、貴方様は人がよすぎるのです。頼まれたことでも嫌ならば断るぐらいはしなければ……」
「え、いや、別に嫌じゃないけど」
「わたくしが許可しません」
なんだか話の方向性が掴めない。
とりあえず、僕が豆をぶつけられるぐらいなら自分が……ということかな。でも何でだろう。
「だんな様が鬼では、外に追い出してしまうことに。そんなこと許されるわけ……」
「どうかした?」
「何でもありません。とにかく、鬼の役はわたくしにお任せを」
その目に宿るのは、妙に熱い決意のような……。
「そ、そこまで言うならお願いするけど……」
こんな顔されては、お願いする以外選択肢がないわけで……ときどき殺生石がよく分からない。
「ところで、だんな様も豆まきには参加を?」
「え、まぁ、うん。僕が面倒見ることになってるから、当然そうなるのかな」
「そうですか、だんな様ったらわたくしに豆をぶつけるのですね……」
うっ、もしかして嫌なのかな……って、何か笑ってるよ殺生石。
「ふふふ……だんな様ったら、そんな趣味があったのですね。ぽっ」
「はぁっ?」
顔を赤くして、いかにも自分の世界に浸っているような。
今日はいつにも増して殺生石がよく分からない。
「い、いや、あの、豆ぶつけるって、何か変な方向に……」
「分かってます、だんな様も飴と鞭が好きなのですよね?」
「いやいやいや、全然好きじゃないから」
「隠さなくてもよいのですよ。わたくしならだんな様のすべてを受け入れることが……」
「はいストップ! なんかすっごいヤラシイ方向に進んでませんかっ?」
二人きりだから少し大胆になるのは分かるけど、豆まきでこんな話に持って行かれても僕が困る。
「気のせいですよ。とにかく、当日はだんな様の喜びそうな衣装で挑みますね」
「いや、そこまでこだわらなくても……」
僕が喜びそうな衣装って……。
「と、とにかく、任せるからね……」
「はい」
「瑪瑙、このような服を用意してもらいたいのですが」
「……何に使うんですか、こんな、その……うぅ」
「主様のためですから。ふふふ」
「……何に使うんですか、こんな、その……うぅ」
「主様のためですから。ふふふ」