ガシャン。
「またやりましたの?」
「ご、ごめんねケイちゃん……」
今日は宝石乙女が集まってのお茶会。優雅にゆったりとした雰囲気で過ごせる最高の時間。になるはずだったのに……。
「今日だけで三枚……あなた毎日何枚のカップをダメにしているのかしら」
「ふ、普段はお茶とか飲まない……かなぁ、なんて……」
「いい加減にしなさいっ!!」
「きゃっ」
怒りにまかせてテーブルを叩く。
「鶏冠石、そんなに怒らなくたっていいじゃないか。蛋白石だってわざとやってるわけじゃないよ」
「瑪瑙は黙っていてください! そもそも蛋白石! あなた乙女としての自覚がありますの!?」
「ふぇ……」
「もっとしゃんとなさい! お茶もまともに淹れられないなんて有り得ませんわ!!」
「鶏冠石……」
「あなたが私の姉妹だなんて信じられません!」
「鶏冠石っ!」
「な……」
「鶏冠石、今日はもう帰った方がいい」
なんで、蛋白石を庇うの?
「うっ……グスっ……」
「泣くんじゃありません! 泣けば許されるとでも思ってらして!? だいたい貴女は昔から食べるばかりで――」
パン!
乾いた音に、少し遅れて頬が熱くなる。
私が叩かれた? 瑪瑙に?
黒曜石も雲母も口を押さえて呆然としている。当たり前ですわ。私も呆然としてしまいました。
「瑪瑙……あなた何をしたかわかってらっしゃる?」
「君こそ何を言っているかわかっているのか」
「はいはいケンカしないの。鶏冠石、今日は帰りなさい」
「ペリドットお姉さま……」
「瑪瑙も。今の貴女は少し感情的になりすぎてるわ。そうねぇ、今日のお茶会はお開きにしましょうか。黒曜石、お片づけしましょう。瑪瑙も手伝ってくれる?」
ペリドットお姉さままで私を否定したのでしょうか。私が間違えていたのでしょうか。もう何もわかりません。
「またやりましたの?」
「ご、ごめんねケイちゃん……」
今日は宝石乙女が集まってのお茶会。優雅にゆったりとした雰囲気で過ごせる最高の時間。になるはずだったのに……。
「今日だけで三枚……あなた毎日何枚のカップをダメにしているのかしら」
「ふ、普段はお茶とか飲まない……かなぁ、なんて……」
「いい加減にしなさいっ!!」
「きゃっ」
怒りにまかせてテーブルを叩く。
「鶏冠石、そんなに怒らなくたっていいじゃないか。蛋白石だってわざとやってるわけじゃないよ」
「瑪瑙は黙っていてください! そもそも蛋白石! あなた乙女としての自覚がありますの!?」
「ふぇ……」
「もっとしゃんとなさい! お茶もまともに淹れられないなんて有り得ませんわ!!」
「鶏冠石……」
「あなたが私の姉妹だなんて信じられません!」
「鶏冠石っ!」
「な……」
「鶏冠石、今日はもう帰った方がいい」
なんで、蛋白石を庇うの?
「うっ……グスっ……」
「泣くんじゃありません! 泣けば許されるとでも思ってらして!? だいたい貴女は昔から食べるばかりで――」
パン!
乾いた音に、少し遅れて頬が熱くなる。
私が叩かれた? 瑪瑙に?
黒曜石も雲母も口を押さえて呆然としている。当たり前ですわ。私も呆然としてしまいました。
「瑪瑙……あなた何をしたかわかってらっしゃる?」
「君こそ何を言っているかわかっているのか」
「はいはいケンカしないの。鶏冠石、今日は帰りなさい」
「ペリドットお姉さま……」
「瑪瑙も。今の貴女は少し感情的になりすぎてるわ。そうねぇ、今日のお茶会はお開きにしましょうか。黒曜石、お片づけしましょう。瑪瑙も手伝ってくれる?」
ペリドットお姉さままで私を否定したのでしょうか。私が間違えていたのでしょうか。もう何もわかりません。
「お~ぃ、どうしたんだよ鶏冠石」
マスターが心配して声をかけてくる。
お姉さまや……瑪瑙に拒絶されたあとだと、そんな心遣いをとてもありがたく感じてしまう。
「マスター……」
「おぉ。どうした?」
「マスターは私の味方ですか?」
「ははぁ、なんか姉妹関係でトラブルがあったとみた」
ずばり言い当てられる。変なところで勘のいいマスターですわ。
「なるほど、それで鶏冠石は蛋白石が許せなかったわけだ」
「許せなかったというか……乙女の在り方として蛋白石は間違っています」
そうですわ。お父様に作られた私たち宝石乙女は淑女としての嗜みを持たなければいけません。それを蛋白石は……。
「いいんじゃないか? ケンカしても」
「け、ケンカ?」
「ん? 考え方の違いでぶつかってんだろ? ならただの姉妹喧嘩じゃないか」
「しまい……げんか……」
「まぁ鶏冠石が一方的にいじめめてるようにも見えるけどな」
マスターはからからと笑っている。私は怒っているのに。
「でも鶏冠石は妹想いだよな」
「え……?」
「誰だって憎まれ役は嫌だけど、鶏冠石は自分からその役を買ってでてるんだからさ」
マスターが心配して声をかけてくる。
お姉さまや……瑪瑙に拒絶されたあとだと、そんな心遣いをとてもありがたく感じてしまう。
「マスター……」
「おぉ。どうした?」
「マスターは私の味方ですか?」
「ははぁ、なんか姉妹関係でトラブルがあったとみた」
ずばり言い当てられる。変なところで勘のいいマスターですわ。
「なるほど、それで鶏冠石は蛋白石が許せなかったわけだ」
「許せなかったというか……乙女の在り方として蛋白石は間違っています」
そうですわ。お父様に作られた私たち宝石乙女は淑女としての嗜みを持たなければいけません。それを蛋白石は……。
「いいんじゃないか? ケンカしても」
「け、ケンカ?」
「ん? 考え方の違いでぶつかってんだろ? ならただの姉妹喧嘩じゃないか」
「しまい……げんか……」
「まぁ鶏冠石が一方的にいじめめてるようにも見えるけどな」
マスターはからからと笑っている。私は怒っているのに。
「でも鶏冠石は妹想いだよな」
「え……?」
「誰だって憎まれ役は嫌だけど、鶏冠石は自分からその役を買ってでてるんだからさ」
◇ ◇ ◇ ◇
「すみませんお姉さま……」
「いいのよ瑪瑙、謝ることなんて何もない。二人とも間違ったことはしていないもの。鶏冠石は誇りを、瑪瑙は姉妹を、それぞれ大切にするものがちょっと違っただけ。蛋白石は……確かにちょっと教養が足りなかったかもしれないわね」
お姉さまは笑っている。ボクは怒っているのに。
「でも、鶏冠石が『私の姉妹じゃない』って言ったのだけは許せない」
「あの娘は自分にも他人にもちょっと厳しいから」
確かに乙女としての教養だって大事だ。だけど……宝石乙女であるボクらだって個性はある。蛋白石には蛋白石のいいところだってあるのに。
「鶏冠石だって蛋白石のすべてが悪いなんて言ってないわよね」
「え?」
「誰かが教えてあげなきゃいけないもの。鶏冠石は損な役割よね」
「すみませんお姉さま……」
「いいのよ瑪瑙、謝ることなんて何もない。二人とも間違ったことはしていないもの。鶏冠石は誇りを、瑪瑙は姉妹を、それぞれ大切にするものがちょっと違っただけ。蛋白石は……確かにちょっと教養が足りなかったかもしれないわね」
お姉さまは笑っている。ボクは怒っているのに。
「でも、鶏冠石が『私の姉妹じゃない』って言ったのだけは許せない」
「あの娘は自分にも他人にもちょっと厳しいから」
確かに乙女としての教養だって大事だ。だけど……宝石乙女であるボクらだって個性はある。蛋白石には蛋白石のいいところだってあるのに。
「鶏冠石だって蛋白石のすべてが悪いなんて言ってないわよね」
「え?」
「誰かが教えてあげなきゃいけないもの。鶏冠石は損な役割よね」
◇ ◇ ◇ ◇
私のせいで瑪瑙ちゃんとケイちゃんがケンカしてしまった……。
「私ってなんでうまくできないんだろぉ……」
ケイちゃんに嫌われちゃったかな……瑪瑙ちゃんも私のこと、だらしないって思っただろうな……いっつもお姉ちゃんとか黒曜石とかに甘えてきちゃったもん。呆れられてもしょうがないか……。
「あら、貴女がそんな顔してるなんて。似合わないわよ」
「真珠お姉さま……」
「鶏冠石はえらいわ。誰よりもお父様に作られたことを誇りにして。どこに行っても恥ずかしくないようにってね。そのプレッシャーもきっとすごいんじゃないかしら」
「はぁ……」
「瑪瑙はね、誰よりも姉妹の繋がりを大切にしてるわ。だから鶏冠石の言った一言がどうしても許せなかったんだと思うの」
「でも……ケイちゃんの言った通りだと思います……」
「蛋白石は優しいわ。私は蛋白石のこと好きだし、鶏冠石だって貴女のことを気にかけてるから怒ってくれたのよ」
「……」
「そのままでもいい、とは言わないけど。私は蛋白石にずっと変わらないでいて欲しいわ」
お姉さまは笑っている。私は泣いてるのに。
「うー……」
「ほらほら泣かないの」
私のせいで瑪瑙ちゃんとケイちゃんがケンカしてしまった……。
「私ってなんでうまくできないんだろぉ……」
ケイちゃんに嫌われちゃったかな……瑪瑙ちゃんも私のこと、だらしないって思っただろうな……いっつもお姉ちゃんとか黒曜石とかに甘えてきちゃったもん。呆れられてもしょうがないか……。
「あら、貴女がそんな顔してるなんて。似合わないわよ」
「真珠お姉さま……」
「鶏冠石はえらいわ。誰よりもお父様に作られたことを誇りにして。どこに行っても恥ずかしくないようにってね。そのプレッシャーもきっとすごいんじゃないかしら」
「はぁ……」
「瑪瑙はね、誰よりも姉妹の繋がりを大切にしてるわ。だから鶏冠石の言った一言がどうしても許せなかったんだと思うの」
「でも……ケイちゃんの言った通りだと思います……」
「蛋白石は優しいわ。私は蛋白石のこと好きだし、鶏冠石だって貴女のことを気にかけてるから怒ってくれたのよ」
「……」
「そのままでもいい、とは言わないけど。私は蛋白石にずっと変わらないでいて欲しいわ」
お姉さまは笑っている。私は泣いてるのに。
「うー……」
「ほらほら泣かないの」
◇ ◇ ◇ ◇
「そうじゃありません! もう少ししっかり蒸らさないと薄くなってしまいますわ!」
「うぅ、ごめんー」
「まぁまぁ、初めはそんなもんでしょ。はい差し入れのクッキー」
「わークッキーおいしそー。これ瑪瑙が作ったの?」
「うん。お口に合うといいけど……」
「じゃぁ休憩にしてクッキー食べよう!」
「あ、こら。ちょっと待ちなさい!」
「そうじゃありません! もう少ししっかり蒸らさないと薄くなってしまいますわ!」
「うぅ、ごめんー」
「まぁまぁ、初めはそんなもんでしょ。はい差し入れのクッキー」
「わークッキーおいしそー。これ瑪瑙が作ったの?」
「うん。お口に合うといいけど……」
「じゃぁ休憩にしてクッキー食べよう!」
「あ、こら。ちょっと待ちなさい!」
――秋がくれば冬になり、冬が過ぎれば春になり夏がきて
また秋がきて冬をすごして春を待つように、姉妹の絆も永遠に――
また秋がきて冬をすごして春を待つように、姉妹の絆も永遠に――
「私も昔はよく真珠さんやアメジスト、鉄鉱石と言い争いをしたものねぇ」
「ペリちゃんも昔はずいぶんぶいぶい言わせてたものねぇ」
「真珠さんったら。貴女こそ爆弾岩さんと何度も衝突してましたよね」
「ふふふふふ」
「ふふふふふふふふ」
「ペリちゃんも昔はずいぶんぶいぶい言わせてたものねぇ」
「真珠さんったら。貴女こそ爆弾岩さんと何度も衝突してましたよね」
「ふふふふふ」
「ふふふふふふふふ」