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桜の木の下、春迎え

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匿名ユーザー

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  桜の下で、姉妹が集まり春の訪れを祝う。
  若葉萌える新緑の季節、華やかな乙女が集う姿は壮観だ。いい目の保養になる。眼福眼福。

  ふいにペリドットが子供達を集める。
「さあ、雲母。着替えていらっしゃい。始めますよ。他の子も一緒にね」
「?? ペリドット、何が始まるんだい?」
「ふふっ、少し待ってて下さいね。春のお祝いですから」
  しばしの時間を他のマスターたちとお喋りをして過ごす。年長組のお酒の相手や、お年頃世代の乙女達の相談にのったり、
  賑やかな声が聞こえてきた……準備が出来たようだな。

  雲母ちゃんを先頭に、子供乙女達が春らしい衣装に身を包んでいた。薄絹で……フワリフワリというか……ヒラリヒラリというか……
  どこの国の衣装なのだろう。見覚えがあるような……無いような……。まるで、お伽噺の世界のように綺麗だ……。

「雲母は私たちの中では一番、草木や生き物とコミュニケーションをとることが上手ですから、昔から伝わるこの踊りを一番上手に踊れるんです。
 さあ、始めましょうか。アメジスト、曲を――」
  終始、無言で澄ましていた美女がおもむろに立ち上がりヴァイオリンを奏で始める。まるで聞いたことの無い曲。
  なのに、なぜ懐かしく思うのだろうか……。

  曲に合わせてペリドットが歌う。聞き覚えの無い言葉。でも、こちらも何故か懐かしい……。

  彼女達、姉妹に伝わる曲。悠久の時を生きる彼女達。僕達、人間の意識下にでも刷り込まれているというのだろうか。

  雲母ちゃんが踊る。小さな身体を目いっぱい伸ばして、華やかに、賑やかに、右に左に、見ている僕たちの間をすり抜けて。
  他の子供達が後に続く。微笑ましく見守る姉乙女達。魂を抜かれたように呆けるマスター達。
  桜舞い散る庭に、乙女が舞う。
  なんという光景。なんという美しさ。なんと雅な……。

  夢のようなひと時は終わり、雲母ちゃんが膝をつき、頭を垂れる。
  鳴り響く拍手喝采。やんややんや。
  渡された荒巻を抱きしめ、汗を輝かせてにっこりと笑う雲母ちゃんの笑顔。綺麗だ……。
「いかがでしたか?」
「ああ、ペリドットか。凄かったよ。正直、形容する言葉が見つからないんだ。ホラ、見てごらん。
 あのマスターも、このマスターも子供達に詰め寄られて困った顔してる。
 みんな、感動を言葉に出来ないんだ」
「それは良かったです。喜んでもらえたんですね」
「ああ、春なんだな。なんだか、新しいことが始まるような気分だ。ワクワクしてきた」
「そうですよ。新しい季節です。マスターと私も、新しいことを始めましょうか?」
「え? ナ、ナ、ナ、何を始めるのかな???」
「ふふふっ、な い しょ です」

  あーあ。こりゃぁ、他のマスターと同じような困り顔になっているに違いない。
  しかし……揃いも揃って、人のいい男達がマスターに選ばれたものだ。

  視界の端で紫色が澄ました顔で微笑んでいた。

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