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  • どうでもいいことに限ってなかなか忘れない

どうでもいいことに限ってなかなか忘れない

最終更新:2008年08月06日 02:33

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どうでもいいことに限ってなかなか忘れない




 アレ?何かしらコレ。空が真っ赤だわ。

 アレ?真っ赤なのは私じゃないの。

 アレ?何で私こんなことになったんだっけ。

 アレ?ちょっと待って、私……。

     ◇      ◇      ◇


 長い夢のような出来事から暫く経って結城梨斗が目を覚ますと、自然の匂いがツンと鼻腔を突いた。
 ぼやけた視界を一回転。起抜けであるためか微かに脳が眩んだがそこはグッと堪えた。
 段々と明瞭になっていく世界の中を支配し尽くしたのは黒く今にも覆いかぶさってきそうな何かの数々とその隙間から漏れる光。
 覚えの無い場所は梨斗に恐怖心だけを与えていく。

「何だよ、わけわかんねぇよ……。どこだよここ……。って、うおわっ!」

 恐れから無意味に後退りをすると何かに躓いて背中で地面に乱暴なキスをした。 
 じんわりと広がる痛みにイテテ、と低く唸りながら梨斗は自分が転んだ原因に目を向けるとそこにあったのは黒いバックだった。
 そこでようやく梨斗は自分が置かれている現状を思い出す。

 通学途中に転倒しそうになった瞬間、驚いて瞬いたら見知らぬ部屋に景色が差し替えられていたこと。
 そこでカバのようなブタのような、化け物のような人物に殺し合いをしろと言われたこと。
 理不尽な物言いに逆らったダイアーという男が目の前で殺されてしまったこと。

「ってことは……ここは本当に…」

 いや、ちょっと待て。
 いくら何でもそれは無いよな。
 確かにオレの周りでは現実味の無いことばかりが起きてきた。
 だけど殺し合いだなんてそんなことあるはず―――――。

 これが夢であるという証明のために試しに自分の首を一周している首輪に触れてみた。
 すると確かにひやりという金属独特の感触が伝わってきた。
 夢ではない、全て紛れもない現実。首輪を摘む指の腹がそう言っている。
 受け入れたくないその事実を突きつけられた梨斗の足はガクガクと震え始めた。

 冗談じゃない。
 オレは何の変哲もないただの男子高校生なんだぞ。
 なのに、なのに……どうしてオレが!!
 早く家に帰りたい、皆のところに戻りたい!

 …ん、待てよ――――――皆に?

「皆……そういえば皆は…もしかして一緒に連れてこられてたりなんて」

 たった一人の妹である美柑、オレのことを好きだと言ってくれたララ、ずっと想いを寄せてきた春菜ちゃん、学校の奴ら。

「……まさか…………、まさか…な」

 嫌な予感はするがここは敢えて信じないでおこう。
 ここに居るのは自分だけ、他の知ってる奴らは今頃朝の学校で退屈な授業を受けている。
 あの部屋に集められた中に居たのは俺と知らない連中だけ。

 ―――――だがもしも違ったとしたら?

 唯一無二である妹が、いつの間にか大事な存在になっていたララが、傷ついた時にそっと手を伸ばしてくれた春菜ちゃんが。

 ―――――もしもここに居たら?

「アイツは……最後の一人になるまで殺し合えって言っていたな」

 となると皆を助け出すことはできない、ということか?
 美柑を守り抜けばララと春菜ちゃんを失い、ララを守り抜けば春菜ちゃんと美柑を失い、春菜ちゃんを守り抜けば美柑とララを失ってしまう。
 ……オレは一体どうすれば良いんだ。


「…………きっと…きっと何か方法がある!それに皆がここに居るかすらわからないんだから……だから…とにかく誰かと協力してこのゲームから脱出しよう」

 自分に強く言い聞かせると梨斗は足元に落ちていた黒いバックを拾い上げた。
 そういえばこの中には食料や地図が入っているんだったか。
 取りあえず地図を見て今後の行き先を決めよう。
 梨斗がチャックを開こうとバックの口に手を伸ばしたその時、草木がぶつかり合う音を立てた。

     ◇      ◇      ◇

 強ければ生き、弱ければ死す。

 それは遠い夢の中。ある人が告げた。
 その人は僕を助けてくれた人。
 あの時、――――――この言葉のおかげで、僕は永遠だったはずの闇から抜け出すことができたんだ。

 〝所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ〟

 瀬田宗次郎は勿論殺し合いに積極的に参加しようと考えていた。
 何故なら〝あの人〟が教えてくれた言葉が自分にとってのこの世の全てだから。
 強いから生きる、生きるから強い。弱いから死ぬ、死ぬから弱い。それが世界。
 守りたいから戦うという生温い意志よりは何とも信憑性のある言葉。
 ずっと縋りついてきたその言葉が、嘘なはずがない。
 このゲームとて例外ではないはずだ。強者のみが最後の一人となる。
 自分が死んでも生き残っても、ただ強かったのか弱かったのかそれだけのこと。
 あの変な男が何者なのか、ここがどこなのか、どういう仕組みで自分がここに動かされたのか。
 宗次郎にとってはそんなことどうだって良かった。

「武器は……クナイかぁ。ちょっと使いにくそうだけど慣れたら平気かな?」

 主催者に与えらた武器を額の高さまで持ち上げあらゆる角度から観察しながら湿った土を踏みしめる。
 空の方向へと伸びた木々たちにその能天気な様子を眺められながら宗次郎は月明かりのみを頼りにジャングルの葉を掻き分けて歩いていった。

     ◇      ◇      ◇


 眼鏡、忍者、見事なまでに華麗なスタイルと色っぽい泣き黒子。
 もう一点頭に猫耳でも生えていればそれはもう秋葉をうろつく男性方に歩く萌要素と称されていただろう彼女の名前は猿飛あやめ。
 完全に気配を絶ったあやめは器用に木の枝の上に立ち、自分の存在に気付いていない少年の様子を窺っていた。

 あやめは銀時のストーカーをしていた最中何がどうなったのかそもそも彼女の存在は正しいのか、とにかく何故か知らない部屋に居た。
 愛する人の姿を探そうと一歩動いたところでワポルという男の声がして―――――。
 殺し合いだの何だのと理不尽な事を言われ、気付けばジャングルの中で眠っていた。
 そして付近から『うおわッ』と少年の声がして目覚め、現在に至る。

 もしも観察対象がゲームに乗るようであれば即座に抹殺、そうでないようならば協力して主催者を倒す。
 いくら銀時を愛しているとは言えど彼女は始末屋である。
 やはり悪は許せないのだ。
 今はメス豚モードになっている時ではないことくらい彼女も理解していた。
 ただ、無論銀時がこのゲームに参加させられていないかは気になっている。
 それでもきっと自分が悪を始末することによって直接的ではないが彼を守ることに繋がるだろう。

『アイツは…最後の一人になるまで殺し合えって言っていたな』

 ――――――ということは。
 あやめは息を殺して自身に与えられた支給品、仕込み傘を梨斗の頭部に合わせる。

『…………きっと…きっと何か方法がある!それに皆がここに居るかすらわからないんだから……だから…とにかく誰かと協力してこのゲームから脱出しよう』

 しかし少年の中でどんな葛藤が行われたのか、結果はあやめの予想とは違ったものだった。
 一応傘を構えたままあやめはもう少し少年の様子を見ていようと続けて気配を消していた。

 とそこに、自分の下からもう一人少年が現れる。
 その少年の意思はわからない、わからないのだが。
 あやめの持つ傘の銃口は自然に新たな客人の方へと移動した。

 きっと本能がこう言っているのだ。

 彼は危険だ、と。

     ◇      ◇      ◇

「…………!」

 通常であれば聞き逃すであろう僅かな草木のざわめきに梨斗は身を固まらせた。
 動け、逃げろ、脳が赤信号を出しているにも拘らず身体がちっとも反応を示してくれない。
 早鐘を打つ心臓が、限界に達そうとしていたとき。

「…………あれ?」
「……あ、えっと…」

 姿を現すなり素っ頓狂な声を上げたのは自分とあまり歳が変わらないであろう少年。
 視線が交わればその少年の表情に笑みが構成されていった。
 実に感じの良い少年である。この人ならきっとこの馬鹿げたゲームの進行を阻止する仲間になってくれるかもしれない。
 着ている衣服に大幅な相違は感じられるがきっとそういう趣味を持っているだけなのだろう。
 勝手に納得すると梨斗はその少年との距離を詰めていった。
 少年が脇に垂らした右手に握られている凶器に気付かずに。

「あのさ、オレは結城梨斗って言うんだけど君の名前は……」
「丁度良いや」

 梨斗が何歩目かの前進を図ろうとしたと同時にただ笑顔だった少年、宗次郎も動きを見せた。
 動いたのは表情でも足でもなく、クナイを握った右腕。

「………ッッッッ!」

 鋭いクナイの先端が梨斗の面、顎から目元に掛けて赤い線を走らせる。
 シュッというシンプルな音の後に宗次郎の頬に梨斗の鮮血が模様を描いた。

「ひっ…………!」

 予測しなかった事態にドサリと重たい音を立てて腰を抜かした梨斗の身体は尻から地面に落ちた。
 絶叫して恐怖を発散させることもできないぐらい、梨斗の全身は怯えに支配されていた。
 宗次郎はその様子を〝あの日〟の自分と重ねる。

「所詮この世は弱肉強食」

 縁側に隠れる小さな少年とその少年に迫るいやらしい顔付きをした男。

「強ければ生き、」

 とうとう男が小さな少年に追いついてきた。少年の顔が恐怖一色に染まる。

「弱ければ―――――――」

 そして、

〝うわあぁああああああああああああああああああああああああぁぁぁああぁああぁ!〟 

「死ぬ」

 最後に残ったのはただ一人、

「そういえば名前聞かれてたんだっけ。僕の名前は〝瀬田宗次郎〟。…………名乗ったからってこれから宜しくすることもないんですけどね」
「ぁ、あ…………ぃ…………ひ…ぃ……ッ」

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
 いや、そんなに上手く感情を表現することさえ今の梨斗には不可能だった。
 脳が真っ白になって真っ黒になって、状況処理ができない。

「じゃあ、そちらにもやる気が無いようですから、死んでもらいます」

 宗次郎が躊躇いもなく腕を振り上げた。
 その時。

 ドドドドドドドドドド!

「わ!!」
「………………!」

 宗次郎の足元に数々の光がほとばしり、やがてその一つが彼の右足を貫いた。
 腰を抜かしたまま立ち上がることもままならない梨斗の脳内は、連続的な銃声を現実で耳にしてしまったことから尚更フリーズする。
 木の上にて、銃口から躍り上がる煙に息を吹きかけた何者かは素早く地上に降り、梨斗の身体を抱きかかえると真っ先に走り出した。
 宗次郎はそれを追おうと力強く右足を踏み出すが骨が軋むような痛みに反射的に身体を引っ込めた。
 そして罰が悪そうに頬を掻きながら〝何者〟かが潜んでいたと思われる木の枝を仰ぐ。

「いててて………。誰かがあそこに居るなんて、ちっとも気付かなかったなぁ」

 せっかく良い練習台になると思ったのに。

「これじゃあ縮地は使えそうにない、かな?」

 血が止め処なく溢れる足首を見下ろし、呑気に呟いた。
 放置を決め込もうとも思ったがこのままでは己の得意とする技が使えそうにない。
 さて、どうしたものか。

「………こういうときは手当てをしなくちゃいけないんだっけ」



【E-6 南・ジャングル / 一日目 深夜】

【瀬田宗次郎@るろうに剣心】
【装備】:クナイ@るろうに剣心
【所持品】:支給品一式 クナイ×19@るろうに剣心 他支給品0~2(未確認)
【状態】:右足負傷
【思考・行動】
1:いてて。手当てしなきゃ。
2:弱肉強食の言葉に従い弱い者を殺す。

※ 参戦時期は対剣心再戦前です。
  怪我に関してですがあくまでも縮地が使えるか〝わからない〟というだけで実際にどのくらい行動が制限されるのかは後続書き手に任せます。

     ◇      ◇      ◇


「ぅ………ぁ…」
「私はさっちゃん、貴方を殺すつもりはないわ。一応貴方が怖がらないように頭をぶち抜くとかはしなかったんだけど…それでも相当キてるみたいね」
「………………ぁ、あ…」
「もしも私の言ってることが理解できてるなら、………あの人がついてきていないかどうか、後ろ確認してくれない?あの人がタフだったら…多分かなりヤバイと思うから」

 梨斗の身体を軽々抱き上げあやめはジャングルの出口を目指していた。
 今だ先ほどの出来事が把握できていない梨斗にとっては、それすらも理解できていないのだが。

「………」

 暫しの無言が続いた後、梨斗はようやく身に起こったこと全てを飲み込んだ。

 悪意の無い笑みを浮かべていた少年。
 ほんの疑念も抱かず易々と他人に近付いていった自分。
 笑顔を消すことなく刃物で傷つけてきた少年。
 腰を抜かして震えていた自分。
 何故、そうなった?
 他人を簡単に信じ込んでしまったからではないのか?

「……な……くれ…」 
「何?」
「離してくれ!」
「ちょっ………!あ」

 あやめの胸を両手で力いっぱい押し梨斗は彼女の腕の中から逃げだそうとする。
 自分が助けた相手がこんなことをするなど想定していなかったためあやめは呆気なくバランスを崩した。
 体勢を整えようと右手を地面に突けば必然的に梨斗は解放され、その隙にバックから一つの支給品を取り出しあやめに向かって構えた。
 咄嗟にあやめも腰を落とし反撃のタイミングを待つ。

「う、うおおおおおおおおおおおお!」
「…………」

 びよーん。

「おおおおお、おおお、お、……」

 ぼよん。
 左の親指に引っ掛け右手で精一杯伸ばした支給品、ワゴムを思い切り弾くと見事失敗。
 弾力のある小さな音を発したあとでワゴムは足元の方へと消えていった。

「…………貴方、色々と大丈夫?」
「う………わああああああああああああああああああああ!」
「あ、ちょっと待ちなさい!」

 梨斗は完全に混乱していた。
 実際に相手を仕留めることはできていないが僅かながらも敵意を見せてしまった。
 もしかしたらこの女に殺されるかもしれない。いや、元々この人だって助けた振りをして殺すつもりだったのかも。
 何にしろこんな状態じゃ何もできない!逃げるが勝ちだ!

 あやめは慌てて去りいく背中に腕を伸ばすが掴んだのは空気だけ。
 こうなったら手荒なマネにはなるがこの傘で気絶させて落ち着いたときにでも自分の意思を話そう。
 そう考えたあやめは早速梨斗の背を追い始めた。

 ヤベェヤベェヤベェヤベェヤベェ!追いかけてきた!
 梨斗には振り返る余裕も勿論一本道に飛び出している枝たちが身体に刻んでいく傷の痛みを気にする余裕も無くひたすら走り続けた。

「ハァッ……ハァッ………ハァッ……」
「待ちなさいっつってんだろコノヤロー」
「ひぃッ…!」

 耳元で声がした、まさかと梨斗が顔を横に向けるとそこには先刻の女が。
 自分がただの一般人だからだろうか、自分と違って素性の知れない相手は息切れすらもしていない。

「取りあえず面倒だから暫く眠っててもらうわ」
「え?」
「おやすみなさい」
「い、いやだ!」
「ふん、そんな攻撃が私に効くと………あ゛」

 勢い良くかざされた傘の下、梨斗は先ほどと違って無意識の内にあやめを突き飛ばそうと両手を突き出した。
 しかしそんな攻撃を二度もあやめが喰らうはずもなかった、なかったはずなのだ。
 それでも彼女が短い声を上げたのはきっと梨斗の攻撃のせいでなく、ポロリと落とした眼鏡のせい。

 ガ ツ ン !

「え……ちょっと…待てって…」

 右手に転げたあやめの頭がそこに構えていた岩に衝突したのだ。
 もしかしたら今ので彼女がポックリと……なんてことを信じたくなかった梨斗は恐る恐る横たわったまま動く気配の無いあやめに近付いていった。

「おい、冗談だろ?……頼むよ、起きてくれよ…」

 返事は無い、ただの屍のようだ。

「……マジ、かよ………」

 最悪だ。
 誰かと協力してゲームを脱出しようと思っていたはずなのに。
 なのに何でオレ人を殺してんだよ。
 美柑に、ララに、春菜ちゃんに、皆に……これからどう接していけば良いんだよ。
 それにこの人だって…この人だって本当は………!

「ん………」
「……!」

 序々に冷静さを取り戻してきた梨斗が耳にしたのはあやめの唇から漏れた声だった。

「大丈夫?こ、これ、眼鏡…。ごめん、さっきはごめんなさい!オレ、ちょっと動揺してて、それで……!」

 浅く亀裂の入った眼鏡を差し出し一気に言葉を捲くし立てる梨斗はやはり冷静になどなっていないのかもしれない。
 それでも先刻までの困惑の色は見えなくなっていた。
 騒がしい梨斗の声にあやめのぼやけた脳は段々と覚醒していく。

「……………」
「あ、頭痛かった?痛かった、よな、そりゃ……だって血…」

 上体を起こしながら無表情で血をダラダラと流すあやめのその様を顔面蒼白になりながら眺める梨斗。
 一人で騒ぐ彼を無視して、ただ自分の中に生まれたのであろう疑問をあやめは呟いた。

「ここはどこ、私は誰?何も思い出せない」




え゛?

「ねぇ、貴方、私は誰なの?貴方も誰なの?何で私は血を流しているの?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、話がよく…」
「どういうこと?まさか貴方顔に似合わずそんなプレイを?……責任取ってくれるんでしょうね!」
「いや、だから……」
「この状況、しっかり説明なさい」


まさか、まさかまさかこれって。


――――記憶喪失!?

     ◇      ◇      ◇
「……まったく現実味の無い話ね」
「オレだって夢だと思いたいよ」

取りあえず梨斗はあのジャングルを抜けてからこのゲームに関してわかっていることを一からあやめに説明した。
優勝者はこの殺し合いゲームに生き残った最後の一名のみ、その優勝者には特別に主催者が願いを叶えてやるというシステム。
主催者に逆らった一人が殺されてしまったこと、六時間毎に行われる放送のこと、参加者には武器が支給されているということ。
あやめは納得いかないと言いた気ではあるがこのバックの中に入った支給品や地図、首輪、梨斗の表情などからそれが事実であることを悟っていた。

「…それで、貴方に聞いておきたいことが三点あるんだけど」
「ん?」
「まず貴方はこの殺し合いに乗るの?」
「いや、オレは殺しとかそういうのは…。できることなら皆で脱出したい」
「それなら安心だわ。それから二点目、私と貴方はさっき逢ったばかりってことで良いのかしら。それとも元々知り合いだったの?」
「あぁ、それならさっき……」

――――いや、待て。

 これはもしかしたら、ここに居るかもしれないオレの仲間を守るチャンスかもしれない。
 さっきのこの人の身体能力はオレのような一般人を上回っていた。
 となると……!
 いやいやいや、でもヒトの記憶喪失を利用して自分たちの身の安全を確保するなんて…。

「…う……うん。オレたちは同じ世界の仲間だった」

 ちょっと待てよオレ!
 この人はオレの命の恩人なんだぞ!

「そう。でも私と貴方の装束、明らかに何かが違う気がするんだけど」

 ど、どどどどうする!何て言おう!
 正直にさっき出逢ったばかりの赤の他人ですと白状…!

「そ、それは君がオレたちの護衛係だから!」

 でも、オレには守りたい人たちが居る……。

「護衛……?」
「そう、護衛……オレとオレの仲間の…」

 もしもララや春菜ちゃんや他の皆が居るのなら、オレは皆を……。

「そうだったの。じゃあ私は貴方たちを守れば良いってわけね」
「あ、あぁ……」

 良いのかよ、これで…。
 アイツらを守りたいのは…オレじゃないのかよ。
 情けねェよこんなの……。

「それともう一つ。私の名前、教えてくれない?」
「な、名前?」
「ええ、覚えてないの」
「え、えー…」

 ほら下手な嘘吐くからこういう答えようの無い質問されるんだ。

「………?」

 いきなり黙り込んで、不審に思われてるだろうな。
 しかしどうすんだよ。何て答えれば良いんだ?
 ……そういえば、せっちゃんだかさっちゃんそんなこと言ってた気がする。
 意識があるかないかの危険な状態の時に名乗られたような。

「ねぇ、聞いてる?」
「あ、えっと瀬田宗次郎……」

 あぁそう、確かそんなこと誰かが…。
 ん?宗次郎?
 あれ、それってこの人のことだったか?

「せたそうじろう……?本当に私、そんな貧相な名前だったの?」
「…………あ、いや…あ、の」

 これ以上は苦しいだろ、いい加減。
 それにやっぱり嘘を吐いて騙してまで皆を守るなんてことしたくない。
 オレが守りたいものはオレの手で守ってみせる。

「………あのさ、」
「せっちゃん!そうよ、せっちゃんよ!」

 必要以上に言葉を発っそうとしなかったはずのあやめが突如声を張り上げる。
 自分で行われていた葛藤もその声に掻き消された。

「何が?」
「私、せっちゃんと呼ばれていた記憶があるわ」
「………ごめん、それは単なるオレのう」
「それで貴方はロボ。そうなんでしょう」
「いや、オレ正真正銘人間だし!一体何のネタだよ、わかんねぇよ、わからない振りとかじゃなくてさ。つーか本当に記憶喪失!?」

 わけのわからない言いがかりに思わずツッコミを入れる梨斗はあやめに真実を明かすタイミングを奪われていく。

「私宗次郎なんてヘボくれた名前で呼ばれるのは嫌なの。多分記憶を失う前も名前に相当なコンプレックスを持っていたと思うわ」
「そ、そうなんだ……」
「だから、せっちゃんって呼んでください」
「何で苗字から取るんだ?じゃなくて――――――――あの、だから…」
「あ、あと一つ言っておきたいことがあって、私、貴方たちを守らなくちゃいけないみたいだけど、」

 人の話は無視、自分の言いたいことばかりをつらつらと並べていくあやめに段々と苛立ちを感じながら梨斗は耳を傾けた。

「……戦い方も忘れちゃった」


【E-6 南東・民家付近 / 一日目 深夜】

【結城梨斗@to loveる】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 ワゴム×19@ONE PIECE  他支給品0~2(未確認)
【状態】:精神的疲労(極小/回復中)、顎から目元までに掛けての切り傷
【思考・行動】
1:エッー!
2:正直に話したいけどタイミングが…。
3:もしも知り合いが居るとしたら皆を守りたい。
4:ゲームからの脱出。

【猿飛あやめ@銀魂】
【装備】:仕込み傘@銀魂
【所持品】:支給品一式 他支給品0~2(未確認)
【状態】:健康、記憶喪失
【思考・行動】
1:戦い方がわからないけどとにかく梨斗やその仲間を守る。
2:ゲームからの脱出。

※梨斗の言うことを完璧に信用しています。



001:支【ささえ】 投下順 003:クライモリ
001:支【ささえ】 時間順 003:クライモリ
初登場 結城梨斗 029:想い人
初登場 猿飛あやめ 029:想い人
初登場 瀬田宗次郎 022:少年は涙を忘れ去り、少女は涙を拭い去る

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