ひとりの美しい少女が、暗いローマの街中に佇んでいる。
その少女は日本人ながらほりが深く美しい顔立ちをしており、身長は高くスタイルもよい。
腰まで伸びる長い髪が、十人中八人は振り返るであろう容姿を演出していた。
そんな彼女もまた、理不尽なゲームに参加させられた身なのだが、その表情からは不安や恐怖、悲壮感といった感情は感じられなかった。
首筋に感じる冷たい感触を放つ金属に手を添えた彼女は、不思議と理解していた。
なんだか分からないが、自分が「殺し合いゲーム」とやらに巻き込まれている事。
それが夢じゃあなく現実で起こっている事だと言う事も、なぜか疑ってはいない。
客観的に見て、彼女は不自然なほど冷静に見える。
だが、なぜか胸の奥にあるモヤモヤした気持ちは晴れない。
まるでぶつける場所を見失った怒りを持て余しているような、妙な浮遊感を感じていた。
川沿いに街を少し歩き、なんとなく適当な建物に入る。
落ち着いて手荷物の確認がしたかったからかもしれない。
天窓から月明かりが差し込み、深夜の屋内とはいえある程度の見通しは聞いていた。
室内を見回してみると、センスの悪い装飾品や置物などがいくつも並べられている。
壁際の棚には、おそらく工場で作られた物など一つもなかった。
そして、床には古そうな衣服や本などが乱雑に散らかっている。
売れない雑貨屋か骨董屋といったところだろうか。
少女はそれらの物品に全く興味を示さない。
小さな丸いテーブルに並べられたセンスの悪いガラクタを押しのけて、椅子に腰かけた。
足元に降ろしたかばんの中身を探ると、地図のようなものを見つけた。
現状の把握に役立つかと思い、取り出して内容を確認しようとする。
「……あら?」
しかし、地図に目を通す前に、彼女は違和感に気がついた。
テーブルの上に置かれたコーヒーカップ。
「こんなものここに置いてあったかしら?」なんてボケた回答はあり得ない。
テーブルの足元にはさっき押しのけたガラクタの山が転がっている。
彼女は間違いなく「テーブルの上に置いてあった邪魔なものを全て押しのけた」はずだった。
それにこのコーヒーはまだ熱が残っている。淹れたてとは言わないが、まだまだ飲み頃の温度だ。
いや、それ以前に彼女は、このコーヒーカップに見覚えがあった。
彼女の住む杜王町の駅前のカフェで出されるものと同じコーヒーカップ―――
彼女の思い人である少年を呼び出し、初めて会話した時に飲んだコーヒーだ。
そのときの会話の内容はすべて覚えている。
少年の些細な仕草や表情も、すべて覚えている。
彼女と少年のかけがえのない思い出の1ページだ。
「まちがいないわね――― あの時のコーヒー…… なぜこんなものがここに?」
ガタリ
「『人ハ何カヲ捨テテ前ヘ進ム』…… ソレトモ――
『拾ッテ帰ルカ』?」
その時、彼女の前に謎の人影が現れた。
人間のように思えたが、頭部は3枚の円盤が縦に並んだような構造をしており、胴体は脊椎部が露出した不気味な亜人。
亜人の正体は、精神的のエネルギーを像として出現させる能力――『スタンド』。
そして『スタンド』には必ず『本体』が存在する。
彼女は目の前の『スタンド』に視線を向け、さらにその上方へと目線を泳がせる。
月明かりの差し込む天窓に黒い影が浮かぶ。
小さな雑貨屋の屋根の上から、少女を見下ろす一人の男がいた。
男の名は
アクセル・RO――――――
この『スタンド』の『本体』である
アクセル・ROは、彼女と目が合うなり、落ち着いた声で語りかける。
「『公平(フェア)』に行こう…… お嬢さん………」
★ ★ ★
聖人の遺体の奪取。
それが大統領に命じられた目的。
私を信用し任務を任せてくれた大統領に恩義は感じているが、しかしこれらはどちらも私の本来の目的ではない(遺体の方は大変興味深いがね)。
私の目的は、標的のどちらかに「私を殺させること」だ。
私のスタンド『シビル・ウォー』は、人が捨ててきた物(=罪)を全て提示し、「過去」を以って呪いのように攻撃することができる能力だ。
そして私自身が標的に『殺される』ことにより、私が背負いこんでいる大きな罪を標的に『押しつける』ことができるのだ。
さらに、標的が『私の命を捨てる』ことにより私は蘇ることができるのだ。
それこそが私の最終目標――
否、私の人生の再生(リスタート)のための第一歩なのだ。
ゲティスバーグの館にて標的を待ち構えていたはずの私は、何故か別の「殺し合い」とやらに参加させられてしまった。
司会をしていた初老の男は、スティールボールランのプロモーターをしているはずのスティール氏ではなかったか(新聞で見た顔だ)。
なぜ彼がこんな非人道的なゲームの司会を務めているのか。
どんなスタンド攻撃を受けてしまったのか。
どうして自分は、こんなゲームに巻き込まれてしまったか。
そんな思考が頭を巡ったが、しかし大した問題ではないとすぐに考え直した。
大統領の命令を受けたのは、真っ当な戦いの場が欲しかったという理由からだ。
自分が『何者かに殺される場』の構築するためだった。
そういった意味では、この『殺し合い』という場は大統領の任務よりも私の目標達成に適していると言っていい。
『自分が生き残るため』という理由から、誰もが「私を殺し」にやってくる。
しかも、『殺されること』がそのまま『攻撃』と『復活』に繋がる私の能力なら、『殺し合い』というルールの上で負ける道理が無い。
私にとって、殺し合いの祭典『バトル・ロワイアル』はまさに「最高の舞台」だった。
★ ★ ★
「『公平(フェア)』に行こう…… お嬢さん……… スタンド戦は――――
例えば自らの弱点を相手に教えるような ―――『公平(フェア)』さが………」
アクセル・ROのスタンドが少女に語りかける。
直接話しかけずスタンドを用いて話をしたのは、少女がスタンド使いであるか否かを確認するためであった。
スタンドはスタンド使いでなければ認識することはできない。
スタンドの発する言葉は、スタンド使いでなければ認知することはできないからだ。
もっともこの『殺し合いゲーム』の会場内ではそんなスタンドの基本的なルールすら通用しないのだが、そんなことは彼に知るすべは無い。
スタンド『シビル・ウォー』の言葉に反応を示した少女をスタンド使いとして認め、彼は改めて自らの言葉で眼下の少女に語りかける。
「精神(スタンド)の力(パワー)として最大の威力を発揮する。『卑怯さ』とは『強さ』とはならないからな。
私の能力の名は『シビル・ウォー』。人が過去に抱える『罪』を実体化させて攻撃する能力だ。
弱点は『水』で清める事―――。清潔な水で清めることができれば『解放』されるぞ」
能力については真実だが、話した理由については嘘である。
アクセル・ROは平等さのためにスタンドの能力と弱点を露呈したわけではない。
彼は自分の目的のため、あえて自分の能力の秘密を話した。
この能力は襲い来る幻覚が『自らの罪』であると自覚した方がより効果が高い。
だからあえて、能力を話した。
そして、そもそも水で清めることはこの能力にとっては『一時的な回避』にすぎず、真の弱点とはいえない。
弱点を露呈したのは、自分の攻撃の中にわざと隙を作り、相手にその隙をついて自分を『殺させるため』である。
公平さなどはまるで考えていない。どこまでも自分のために、能力の説明をしたのだ。
「スタンド……? 『解放』………?」
少女は思案し言葉を漏らす。
スタンドという言葉は彼女が思い人の少年を追い詰めた時に聞いたことがある。
少年のスタンドは『エコーズ』という名前だった。
やかましい叫び声をあげたり、風を起こしたり熱の罠を仕掛けたりするクソッタレな忌々しいスタンドだった。
「スタンド―― スタンドねえ……… やはり一人一人、特殊な能力を持っているようね……
わかったわ。あたしも、『公平(フェア)』に言うわ………
あたしの能力は髪の毛を操る能力…… 名前は――そうね… 『ラブ・デラックス』―――
あたしの究極の愛が生み出した能力。弱点は……ごめんなさいね、特に考えたことがないわ……」
少女は馬鹿正直に、自分の能力を説明した。
こちらには特に意図は無い。
知られて損することも、隠して得をすることも、彼女の頭には無かった。
捨ててきた過去の罪と言われて何となく理解した。
そうか、このコーヒーは――――――
少年はあの時、突然の告白に動揺し、曖昧な態度をした。
そして少年のその優柔不断な姿勢に彼女は腹を立て、つい興奮して乱暴な言動をとってしまった。
このコーヒーはその時、彼女が『こぼして』しまったものだった。
気が付けば、コーヒーだけでない。
少年のために早起きして作った重箱入りのお弁当。
憎たらしい泥棒猫が邪魔しやがったせいで、食べてもらえなかった。
周りのガラクタも増えている。
少年に勉強を教えるために作った3択問題の箱。
少年が『漏らして』しまって洗濯したパンツ。
少年のために手間をかけて作った『電流の流れるイス』まで……。
すべて、家ごと押しつぶしてしまおうとしていた彼との思い出の品々だ。
いままで無かったものが、どんどん増えている。
「なるほど」と、少女は理解した。
これが目の前に見上げる男、アクセル・ROのスタンド能力であることを。
彼女が過去に捨ててきた『罪』が実体化したものだと。
『山岸さぁぁぁあああん!!!! このボケがぁぁぁぁ!!!
広瀬康一なんかが好きなダサ女の分際でえぇぇぇ!!!!! よくもあたしの髪ををぉぉぉぉぉ!!!!!』
そして、今度はテーブルの下から別の影が突然現れた。
綺麗な茶色の髪を燃やしながら、同年代の少女が彼女の腹部にまとわりついて来た。
少年と同じクラスの学級委員の少女――― 少年にちょっかいを出そうとしていた忌々しい『泥棒猫』。
彼に付き纏っていた挙句に彼を侮辱するようなことを口にしたので、髪の毛から全身まる焼けにして殺してやろうとした女だった。
髪の毛を燃やされ苦しむ姿、必死の声、怒りの形相、どれをとっても虚構とは思えない。
「それがきみが今まで犯してきた『罪』なのだよ! お嬢さん!!
人は何かを捨てて前へ進む!! きみには恨みは無いが、手を抜くとこちらがやられる。
これは『殺し合い』なんだ。悪く思わないでくれよ」
髪を燃やされた女が、少女に襲いかかる。
電気の流れるイスが火花を放ちながら向かってくる。
コーヒーカップが、重箱が、クイズの箱が少女に向かって飛んでくる。
数々の『過去の罪』たちが、ついに少女に対し攻撃を始めた。
(いいぞ…… 貴様の罪は貴様の精神に大きなダメージを与える!! 罪から逃れるには清めるしかない!!
早く水で清めるがいい!! そして私に向かってくるのだ!!! 私を殺せェ!!!)
アクセル・ROが大統領からの命を受けゲティスバーグで標的を待ち伏せしていたとき。
あの教会の館を戦闘場所に選択したのは偶然ではない。
あの教会には井戸があった。地下水脈があった。
さらに標的はSBRのレース参加者だ。水筒という形で水を持ち歩いていると考えることは自然だった。
あえて標的が水を得られる環境を作る。相手は自分に対し反撃のチャンスを得ることができる。
アクセル・ROは『あえて』標的が水で『清め』、反撃できる環境を作り出していた。
そしてそれは、今も同じだ。
偶然とはいえ、アクセル・ROのスタート地点はティベレ川の川沿いだった。
そして、ゲーム参加者には等しく水の入ったボトルが支給される。
『水で清めるのは簡単』だ。奇しくも、レース上での待ち伏せ環境とよく似た状況だった。
(さあ、水で清めろ! そのカバンの中に入っているはずだろ?
それとも店を出て川に飛び込むか? どちらにしても『罪』を清めなければ私に攻撃できないぞ!?)
しかし彼の作戦は、ここから狂い始めた。
「『水』で清める? 冗談じゃないわ。 わざわざ水が支給されるってことは、このゲームにおいて水は貴重品だってことじゃないの。
あんたみたいな『小者』のために貴重な水を浪費するなんてあり得ないことよ。
それに『川』も却下。逃げるみたいで気に食わないし、第一、服が濡れちゃうじゃないの―――」
少女の長い髪の毛が四方八方にさらに伸び、彼女の『罪』の幻影たちに纏わりついた。
蜘蛛が巣を張るように縦横無尽に延ばされた髪の毛は鋼線(ワイヤー)のような硬度でガラクタを締め付ける。
彼女の身体にまとわりつく『泥棒猫』の幻影の腰にも、何重もの髪の毛がベルトのように巻きついていた。
「はァッ!!!!」
(な――――に………!?)
少女の抱える『罪の幻影』は、彼女の気合を入れる一声と共にすべて引き裂かれてしまった。
髪の毛を燃やされた『泥棒猫』の幻影も、上半身が切り離され、断末魔をあげる。
その絶叫、その苦痛を訴える眼差しはとても幻影とは思えないリアルさだった。
しかし、彼女は何も感じない。
道端のアリの行列を踏み殺すよりも容易に、幻影の身体を引き裂いて見せた。
(バカな…… ここに現れるものはすべて、この少女が過去に捨ててきた『罪』―――
『水』で清めないにしても、トラウマに苦痛を感じ精神を削りながらでないと攻撃はできないはず……
これは一体―――――ッ)
「『私の罪』―――? 笑わせないで。ここにある『ゴミ』は必要がないから捨てたのよ。
コーヒーは康一君が優柔不断だからこぼれたのよ。
クイズの箱や電気の椅子は康一君が家に閉じこもって中に入れないからぶっ壊しただけよ。
そこの女は康一君にちょっかい出そうとしていたクソ女(アマ)だからぶった切ってやったのよ。
全部こいつらが悪いのに、どうしてあたしが罪悪感を感じないといけないのよ」
アクセル・ROの誤算―――
それは、少女・山岸由花子が恐ろしく思い込みの激しい異常な女であったことだ。
間髪をいれず、由花子の髪の毛『ラブ・デラックス』が天窓へ伸び、アクセル・ROの四肢を縛りあげ屋内へ叩き落とした。
「何よりあたしが許せないのは、あたしと康一くんの『幸せな日々』を攻撃に利用したこと……
この上ない侮辱だわ……… ボロ雑巾のように全身を締め上げて殺してあげるから覚悟しなさいッ――!!」
スタンドは精神のエネルギーを具現化したものだ。
由花子のドス黒い執念の精神力が恐ろしいパワーを生み出し、『ラブ・デラックス』はアクセル・ROの身体を締め付ける。
肋骨がへし折られ内臓に突き刺さり、首まで締め付けているため既に呼吸すらままならない。
「っかッ……っごほッ……!」
(なんて―――パワーと精神力…… しかし、これでいい…… これで私の目標は達成される……
少し計算とは違ったが…過程は問題ではない…… 重要なのは結果のみだ………
この少女は私を『殺す』! 私の罪をおっ被るのはこの少女だ! 私は解放されるのだッ!!)
薄れゆく意識の中、勝利を確信したアクセル・ROは自分を殺しゆく少女を見た。
自分のことが憎いのだろう、恐ろしい殺意を以って自分を殺すのだろう。
そんな負の感情の籠った怒りの表情を浮かべているのだろうと思っていた。
(―――この少女の…… この眼は何だ……?)
だが、山岸由花子の眼には、一切の感情が無かった。
正義を志す「黄金の精神」も、目的のためには殺人すら厭わない「漆黒の意思」も、そして自分勝手な「ドス黒い殺意」すらも……
虚無――― それが最も近い表現。
由花子の瞳には、これから殺す男の姿など映っていない。
罪の意識も、捨てるという概念も、初めから存在しない。
彼女にとっては何も無いのと同じなのだ。
目の前の男の身体を引き裂くことは、アリを一匹殺すことよりも、衣服に付いたホコリを払い落とすよりも、価値の無い行動なのだ。
そういえば――――――
あまり気にしていなかったのだが、アクセル・ROは一つ疑問を感じていた。
『シビル・ウォー』で蘇らせた、少女の『罪』。
多感な年齢であろう少女にしては、過去に捨ててきた物が少なすぎるのだ。
『髪の毛を焼かれて苦しんでいた女学生の幻影』はともかくとして、『こぼしたコーヒー』程度の小さな『罪』が具現化して現れることなど、普通ではありえないのだ。
『コーヒーは康一君が優柔不断だからこぼれたのよ』
『クイズの箱や電気の椅子は康一君が家に閉じこもって中に入れないからぶっ壊しただけよ』
『そこの女は康一君にちょっかい出そうとしていたクソ女(アマ)だからぶった切ってやったのよ』
そう、彼女が『罪』として具現化した物は『広瀬康一に関係のある物』に限られていたのだ。
山岸由花子の人生において、広瀬康一は唯一であり、絶対なのだ。
この世界において価値のあるのは『広瀬康一』ただひとり。
康一と関わりの無い物は存在しないのと同じだった。
彼女は広瀬康一と出会うまでの人生で、罪の意識を感じたことなど一度も無かったのだ。
さて、そんな山岸由花子に、『罪』をおっ被せることなどできるのだろうか。
山岸由花子に殺されることで、本当に『罪の意識』を感じさせることなどできるのだろうか。
広瀬康一のことなど、何も知らないこの男に―――
(だい…じょうぶだ…… 私の勝ちだ…… これで私の完全なる…… 勝利…だ……)
ゴキュッ
由花子の『ラブ・デラックス』が、アクセル・ROの首の骨をへし折った。
★ ★ ★
「水にパン…… ライトに磁石…… アイテムが入った『紙』とやら…… 地図…… まあ、こんなところよね」
横たわるアクセル・ROの遺体のそばで、由花子は改めて荷物のチェックを済ませた。
『紙』の中身にも興味はあったが、何より注目したのは、この『地図』だ。
どこか外国の街の地図のようだが、その中の「杜王町住宅街」に「広瀬家」という記載があった。
町並みはかなり違うが、そこは康一君の家とみて間違いないだろう。
まずは、そこを目指すとしようか。ここは川沿いのようだし、東へ向かえば、まあ大体分かるだろう。
「『1回目の放送で名簿を配る』って言っていたわよね…… 『名簿』ってことは、この殺し合いには『知り合いがいる』と考えるのが妥当よね。
でないと、名簿の意味がないじゃない」
康一くんも…… 参加しているのかしら?
いや、当然、しているでしょうね。彼は特別な存在なんだから。
この男のような『小者』でもいたんだもの…… 『能力』を持っている彼が選ばれないわけがないわよね。
会いたい……
康一くんに会いたい………
『由花子さん………』
由花子の前に、広瀬康一の姿が現れた。
彼は、本物じゃあない。それは分かっている。
それは、そこで死んでいるアクセル・ROの能力の残り香が生んだ幻影だろうか。
それとも、由花子の願望が見せた夢だったのだろうか。
いや、そんなことは彼女にとってどうでもよかった。
「康一くん……」
由花子は立ち上がって、康一に歩み寄る。
『由花子さん…………』
それに応えるかのように、康一も彼女に近づいていく。
会いたい……
康一くんと、必ずもう一度会ってみせる………
そして――――――
「殺してあげるわ」
『ラブ・デラックス』が康一の幻影を引き裂いた。
康一くん…… あたしの手のひらにやけどをさせた。
あんたはあたしのものなのに……
康一くん…… あたしのことを「嫌い」と言った。
あたしのものなのに逆らおうとするなんて………
絶対に許さない……… 許さないわ………
殺してやるッ!!
殺し合いなんてどうでもいいッ!
他の有象無象どもがどうなろうと知ったことじゃあないわッ!!
康一くん―――――
あなただけは――――――
必ずこの手で殺してあげるからね
【アクセル・RO 死亡】
【残り 146人】
【E-3 川沿いにある雑貨屋/1日目 深夜】
【山岸由花子】
[スタンド]:『ラブ・デラックス』
[時間軸]:JC32巻 康一を殺そうとしてドッグオンの音に吹き飛ばされる直前
[状態]:健康・虚無の感情
[装備]:なし
[道具]:
基本支給品×2、ランダム支給品1~2(確認済み)、アクセル・ROのランダム支給品1~2(未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:広瀬康一を殺す。
1.康一くんをブッ殺す。他の奴がどうなろうと知ったことじゃあない。
2.まずは東に向かう。目的地は「広瀬家」。
[備考] アクセル・ROの参戦時期はSBR15巻、教会の館に
ホット・パンツが忍び込む直前でした。
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最終更新:2012年12月09日 01:57