君たちに対して『今回はどんな話をしようか』と、ちょっと考えてみたんだが――

ひとことで言えば“吸血鬼”の話をしようと思う。
現在行われているバトル・ロワイヤルにおいても何人かそう呼ばれる人種が……あ、いや人間じゃないから人種と呼ぶべきじゃないか?まぁとにかく。

彼等はいったい『何』だと思う?
例えば――運命を操ったり、ありとあらゆるものを破壊したりする程度の能力を持った姉妹とか。あぁ~俺が昔丸太でぶっ潰したのも吸血鬼だったなぁ。
あとはアレ。妙にエロい緑の髪の……はサキュバスか、吸血鬼じゃなかった。似たようなもんだけどね。
しかしドイツもコイツも個人差?個体差?があり過ぎる。銀が嫌いだったりニンニク普通に食えたり。十字架は平気だけど泳げなかったり。

ふぅ……さて、色々と言ったけど今回紹介する吸血鬼の名はDIO。今、友人マッシモと共に刑務所……その特別懲罰房で休憩中だ。
彼は、いや彼等はここからどのように動いていくのか!?


――と、色々話してあげたいんだけど今回は無理っぽい。
え、『なんで?』って、知らないのかい?DIOは日光に弱く、なおかつ今は籠城が可能な場所にいる。
それでもって自分から『殺し合いにおける行動なんぞ』って言ってるんだよ。って事は……?

そう、このまま放送を聞き、名簿やら何やらと言った新しい情報を集めた上で行動しようって魂胆だ。

とは言え。とは言えだ。DIOもバカじゃないし、マッシモも空気は読める方だ。
DIOはマッシモに小さく告げたんだよ、
「すこし考えたい事があるんだ。友人にこういう事を言うのは申し訳ないが、少しの間一人にしてくれないか」
とね。
で、マッシモも察した。おそらくさっきチラリと聞いたDISCとやらに関する考察をしたいのだろうと。
なおかつ自分に話を聞かせる気はないとも理解した訳で。こう答えた。
「じゃあ……必要はないだろうが、見張りにでも出ようか。いつ頃戻ってくればいい?」

かくして、DIOとマッシモは一時的に別行動を取る事になった、と。
――え?説明不足?まあ待てよ、順番に説明してあげるから。

まず、DIOは待機。マッシモの方は見張りを理由にして少し外に出ようとしている。
となれば必要なのはお互いの連絡手段だ。これがなければお話にならない。
だが残念な事に二人の支給品はすべて確認済み――けれども思い出してもらいたい。彼等が出会った一人の女性のことを。
スチュワーデスがファースト・クラスの客に酒とキャビアをサービスするように足を持ってくるよう指示された女性。
彼女の支給品は携帯電話だった。使わない手はないだろうね。

次に、別行動の具体性というか計画性。
第一回目の放送を二人で一緒に聞くほどのんびりしてるのはアウトだったんだ。俺に言わせればもっとまったりでも良いと思うんだけどさ。
まあ、考察をしたいDIOもそうだけど、天国について聞かされたマッシモも自分なりにゆっくり考えたかったって事なんだろう。
ならば善は急げ――悪は急げっていうのかな?とにかく即、行動さ。
でも、帰りの予定および行動範囲について、DIOは割と……いやかなり慎重だった。
彼はマッシモに放送の後30分くらいでさっさと戻ってくるようにと伝えた。頭の良いDIOのこと、放送を聞けばすぐに諸々の結論は出るだろうからね。
しかも刑務所には下水道が通っていることが分かっている。となればそこを通ってもっと地図の中心部に行くべきだとも考えていたのさ。
ゆえに早い帰宅、うーん帰宅って表現で良いのかな?とにかくさっさと戻って来いとマッシモに伝えたって訳だよ。
あぁ――ここでついでに説明しておこう。きっと君らの中には『DIO様がそんな汚いところを歩く訳ない』と思ってるのもいるだろうから。
下水ってのは何もトイレの流し水だけが通ってる訳じゃあない。雨水とかを濾過しながら排水してるのさ。割ときれいなんだよ。

次で最後かな?あっさりと別行動に移った理由だ。
そうだ、せっかくだからDIOが出ていこうとするマッシモに言ったセリフを紹介しようかな。

「『生きる』と言う事は、私は恐怖を克服することだと思っている……そして、その行きつく先が天国だ。これはさっき話したろう?
 だとするなら、生きるために必要なものは一体なんだ?肉体、あるいは精神を動かすために必要なもの……言い換えれば『生命』とはなんだ?
 ――そう、石仮面のことを知っているだけはあるな。まさにその通り。血は、生命なり。ということさ」


うーん……分かるかなぁ?ちょっと難しいよね。という訳で、最初に話した“吸血鬼ってなんぞや”ってテーマを思い出してもらいたい。
――いやいや、思い出すまでもない。吸血鬼ってのは文字通り“血を吸う鬼”って事よ。色々いるけど皆が皆、結局のところというか……血を吸うから吸血鬼なのさ。
俺はそうでもないけど、必ず毎朝一杯のコーヒーとタバコは欠かせないとかいう人、君らの中にはいない?仕事上がりのビールでもいいよ。
あんまり話題を出すとキリないからやめるけど、そういう嗜好品ってさ、
『かぁ~っ、コレのために生きてるんだ、まさに命のガソリンよ』
って言う部分が少なからずあると思うんだよ俺は。だとするなら、それはDIOにもある訳で。
それがそのまま『血は生命なり』と。血は生命のガソリンでと。そう言う事だな。嗜好品が血液で、それは生命になって――何とも面白い繋がりがあるんだな。
まぁ要するに何が言いたいかって言うと……DIOはマッシモに、外出するなら多少なり血液を集めてきてくれ、と依頼した訳だ。
マッシモも断る理由はない。ちょっと探索したら都合よくというか紙コップが落ちていた。それを拾って早速出発したよ。

と――これで良いかな?まぁ簡単にまとめると、
その1、お互いちょっと一人で考え込む時間を作ろう。
その2、それが終わったら地下を通って移動しよう。
その3、血液……というか人間との出会いが重要。食事にせよ天国にせよ。
こんな感じかな?計画は練るし、慎重で複雑な行動もするけど内容はシンプル。これはこのチームに限った事じゃあないだろうけどね。

……ん?あぁ、ごめんごめん、言うの忘れてたよ。
DIOは何もDISCの考察『だけ』をするためにマッシモに別行動を促したんじゃあない。他にも考えるべき事柄があった。マッシモがそこまで気付いたかは知らないけど。
彼がいる特別懲罰房には確かに誰もいないさ。でもそこから520メートル先、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所、言うなればその本館。
そっちには二人の人間がいる。まぁ厳密に言えばそっちも一人は人間だかどうだか怪しいんだけど。
そしてDIO自身に――さらに言うならその首筋に感じる違和感。ここまで言えば分かるだろう?
本館の一室にいるフー・ファイターズ。その身体が発する『ジョースターの血統』の……センサー?って表現で良いのかね?それだよ。
それについてもDIOは考えたかった。もしもジョースターの一族が向かってくるなら容赦はしないが、どうも『そうじゃない』違和感も感じている。
ゆえに彼女の――まぁDIOは正体を知らないから彼の、だと思ってるんだろうけど、処分についてどうするのかを決定させておきたい。
マッシモが戻ってきた後に接触するのか、それともその前?単独で行動しているのか?相棒がいるならそれは誰?自分のことを知っている、あるいは自分が一方的に知っている相手?
……って事でマッシモを一時的に自分から引き離したのさ。でも突っぱねた訳じゃないよ?DIOとマッシモは友人同士なんだからね。


さて……そろそろ放送が始まる時間だな。いろんな場所でいろんな参加者がいろんな行動をしている。ゆっくりだったり激しかったりもするが確実にゲームが動いてるってことだ。
じゃあ、今度はそっちにアプローチしてみようか。まぁ、今回はここまで。それじゃ――




【E-2 GDS刑務所・特別懲罰房内 / 一日目 早朝(放送すこし前)】

【DIO】
[時間軸]:三部。細かくは不明だが、少なくとも一度は肉の芽を引き抜かれている。
[スタンド]:『世界(ザ・ワールド)』
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、麻薬チームの資料@恥知らずのパープルヘイズ、地下地図@オリジナル、リンプ・ビズキットのDISC、スポーツ・マックスの記憶DISC、携帯電話、スポーツ・マックスの首輪
[思考・状況]
基本行動方針:帝王たる自分が三日以内に死ぬなど欠片も思っていないので、『殺し合い』における行動方針などない。
0.基本方針から、いつもと変わらず、『天国』に向かう方法について考えつつ、ジョースター一族の人間を見つければ殺害。もちろん必要になれば『食事』を取る。
1.我が友プッチもこの場にいるのか? DISCで確認しなければ…。
2.この身体に感じる違和感はなんだ?ジョースターの血統か?
3.方針2の処分を考える。保留にした場合、放送が終了し30分程度でマッシモを呼び戻し下水道を通って地下を移動、情報を集める。
4.マッシモ・ヴォルペに興味。
5.首輪は煩わしいので外せるものか調べてみよう。
備考:ヴォルペからスポーツ・マックスの首輪を預かりました。


【E-2 GDS刑務所・特別懲罰房外 / 一日目 早朝(放送すこし前)】

【マッシモ・ヴォルペ】
[時間軸]:殺人ウイルスに蝕まれている最中。
[スタンド]:『マニック・デプレッション』
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、大量の塩@四部、注射器@現実、携帯電話、紙コップ
[思考・状況]
基本行動方針:特になかったが、DIOに興味。
1.放送終了30分程度までは外に出て自分の考えの整理&誰かに出会えば接触。
(おおよその移動経路としてE-3北西の橋を渡り東を見てみようと思っている)
2.DIOと行動。
3.天国を見るというDIOの情熱を理解。
4.しかし天国そのものについては理解不能。
備考:DIOにスポーツ・マックスの首輪を渡しました


【支給品紹介】
携帯電話×2@5部
スチュ略に支給された唯一の物品。チョコラータセッコが使っていたもの。
デザインは若干古いが留守電の録音なども可能。
お互いの番号は知っている(登録されている)ようだが、他にこの会場に電話があるのか?番号の登録はされているのか?それは現段階では不明

紙コップ@6部
支給品ではなく刑務所内で入手したもの。
F・Fが陸上での活動を克服するためにしょっちゅう持っていたもので、今回マッシモが拾ったのは特別懲罰房に乗り込んだFFが(ケンゾー戦の時に)落としたであろうもの。
結構大きいサイズで500mlくらいは入るのではないだろうか。
これに血を入れてストローで飲むDIO様を見られる日は来るのだろうか?それは現段階では不明






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062:神に愛された男 マッシモ・ヴォルペ 097:君は引力を信じるか

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最終更新:2012年08月07日 03:01