草むらライダー
「やべぇ。閃いた」
馬の塚本が呟いた。
「あん?なにがよ?」
鹿の来栖が参考書を置いて、馬の閃きを問う。
「ここから外見てみ。あそこに草むらがあるだろ」
「ああ、それがどした?」
「ああ、それがどした?」
塚本が座るヤンキー席、つまり教室後方窓際席の窓からは、校舎の外の敷地が見える。
路地駐車場の残骸というか、絶賛放置中で草伸びまくりの私有地が視界にはいるのだ。
路地駐車場の残骸というか、絶賛放置中で草伸びまくりの私有地が視界にはいるのだ。
「よし、俺の閃きお前に見しちゃる。待っとけ」
「わかった」
塚本が馬の実力の片鱗を見せつけるかのように教室を疾駆する。
カマキリの鎌田ことライダーをひっつかまえて教室から飛び出して行く。
カマキリの鎌田ことライダーをひっつかまえて教室から飛び出して行く。
塚本が出てった瞬間、来栖は改めて参考書を読み出す。塚本みたいなタダの馬鹿にだけはなりたくないな。とか来栖は思う。
来栖は顔をあげる。
窓から見える私有地駐車場から塚本の声が聞こえたからだ。
窓から見える私有地駐車場から塚本の声が聞こえたからだ。
草むらには、ライダーが立って(いや、多分立たされて)いた。
上半身裸で、いかにもカマキリって感じのポーズで。
草むらに埋まってズボンが見えないため、その姿は本当に獲物を狙うカマキリぽかった。
ライダーと目が合う。表情のわかりにくい外骨格虫人が、それを差し引いても明らかに困った顔をしている。困るくらいならわざわざやらいでも。
上半身裸で、いかにもカマキリって感じのポーズで。
草むらに埋まってズボンが見えないため、その姿は本当に獲物を狙うカマキリぽかった。
ライダーと目が合う。表情のわかりにくい外骨格虫人が、それを差し引いても明らかに困った顔をしている。困るくらいならわざわざやらいでも。
と、そこで教室の扉が勢いよく開く。
息を切らせた馬が珍入してきて、来栖に一言。
息を切らせた馬が珍入してきて、来栖に一言。
「な?」
俺の閃き、素晴らしいだろ?そういう意味が込められた「なっ」だった。
来栖は「草むらに合うなライダー」とか言いながら、塚本は本当にバカだな、と思った。