コウノトリ
クロ「こんにちニャ」
シロ「おや、クロ。お前が保健室にくるなんて珍しいじゃないか」
クロ「質問があるからヒマそうなせんせいを探してたのニャ」
シロ「別に暇だから保健室に詰めてるわけじゃないんだが……まぁいい、質問してみ」
クロ「道徳の時間に、こどもが出来ないフウフにコウノトリが赤ちゃんを運んでくるお話を聞かされたニャ」
シロ「ほう」
クロ「でもコウノトリなんて見たことないニャ。ふぃくしょんにちがいないニャ。本当は赤ちゃんてどこからくるのニャ?」
シロ「ううん、お父さんお母さんが困っちゃうパターンの質問だな。よし答えてしんぜよう、心して聞け」
クロ「ニャ」
シロ「子宮内に精子が入り卵が授精すると受精卵となって嫡床し卵割が始まる」
クロ「…にゃ?」
シロ「卵割が始まると一つが二つに、二つが4つに、卵内で細胞分裂が始まる。
細胞は互いに何の役割を果たす細胞になるか分子的な鍵を差し合って相談して決める。
ある程度分裂と分化が進むとビコイドが放出されてその濃淡で頭と尻尾が規定される」
細胞は互いに何の役割を果たす細胞になるか分子的な鍵を差し合って相談して決める。
ある程度分裂と分化が進むとビコイドが放出されてその濃淡で頭と尻尾が規定される」
クロ「にゃにゃ?」
シロ「精子には胎盤形成の指令を司る遺伝子も含まれているから、卵とともに胎盤が形成され、子が育ち分娩されると胎盤も排出される」
クロ「…………」
シロ「わかったかな?」
クロ「わからないとわかったにゃ」
シロ「そうか。まぁ三年生くらいになったら具体的に教える機会がくるからそれまで待ちなさい。
ちなみにその質問は答えにくいので、あんまり聞き回っちゃダメだぞ」
ちなみにその質問は答えにくいので、あんまり聞き回っちゃダメだぞ」
クロ「そうなのかニャ?」
シロ「うん。世の中の大人の8割くらいは聞かれたら困る」
クロ「シロ先生は大丈夫なのかニャ?」
シロ「保健室の先生だから慣れてるからな。だが実は困ってる」
クロ「やっぱり答えにくいのかニャ」
シロ「いや、自分に赤ちゃんを授かる日が来るのか否か考えてしまって視界が絶望に染まる」
クロ「先生、元気だすニャ。コウノトリのお話聞かせてあげるニャ」