いた(痛・甚)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 (形容詞「いたい」の語幹)
① 程度のはなはだしいさま。激しいこと。ひどいこと。→いとういたくいたも
※古事記(712)下・歌謡「伊多(イタ)泣かば 人知りぬべし」
※万葉(8C後)一五・三七八五「ほととぎす間しまし置け汝が鳴けば吾が思(も)ふこころ伊多(イタ)もすべなし」
痛・甚
② 世話のやける相手を見下げあざける感情を表わす。ひどいこと。やっかいなこと。 ※宇治拾遺(1221頃)三「あな、いたのやつばらや。まだしらぬか」
③ 肉体的または精神的に苦痛なさま。いたいこと。 ※たまきはる(1219)「あないたとよ、これもててはかなしがりてか」
[語誌]副詞「いと」とは母音交替の関係で、語源的につながるものと思われる。①は副詞とも扱えるが、上代において既に用法が固定化しており、「万葉集」ではすべて「も」を伴い、ほとんどが「いたもすべなし」及び「いたもすべなみ」である。ただ①に示した「いた泣かば」や、「板(いた)も風吹き」〔万葉‐二三三八〕などから、形容詞の修飾に限られる「いと」と異なり、古く「いた」は動詞・形容詞ともに修飾する用法をもっていたと考えられる。
広辞苑 副詞 甚だしく。ひどく。 古事記下「―泣かば人知りぬべし」
大言海 副詞 (イタ)しノ語根、但シ、萬葉集、十五ナルハ、(イト)ノ轉ナルベキカ(いたはし、いとほし。みとらし、みたらし)〕
(イタ)ク。ハナハダシク。 (イト)
古事記、下(允恭) 廿二 長歌「 伊多 (イタ)泣カバ、人知リヌベシ」
萬葉集、十一 三十六 「風ヲ(イタ)ミ、(イタ)振ル浪ノ」
同、十五 三十九 霍公 (ホトトギス) 閒暫 (アヒダシマシ)オケ、()ガ鳴ケバ、吾ガ思フ心、 伊多 (イタ)モスベナシ」
痛・甚

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附箋:副詞

最終更新:2024年05月06日 20:58