いま（今（名詞））

辞書	品詞	解説	例文	漢字
日本国語大辞典	名詞	① 過去と未来との境になる時。現在。 (イ) ただいま。現在の瞬間。	※古事記（712）上・歌謡「伊麻(イマ)こそは 我鳥(わどり)にあらめ 後(のち)は 汝鳥(などり)にあらむを」	今
		(ロ) 現在の時点に少し幅をもたせた時間。	「今はむりだが、半年後ならひきうけよう」
		(ハ) (「昔」に対して、(イ)を含んだある期間を表わす) 現代。今の時代。現今。今日(こんにち)。	※古事記（712）中・歌謡「蓴(ぬなは)繰り 延へけく知らに 我が心しぞ いや愚(をこ)にして 伊麻(イマ)ぞ悔しき」 ※小説神髄（1885‐86）〈坪内逍遙〉上「当時(そのかみ)の世界の景情(ありさま)をしり時勢を知り〈略〉現世(イマ)とことなる所以をしる」
		② (「古いもの」に対して) 新しいこと。また、そのもの。	※万葉（８Ｃ後）一四・三三九九「信濃道は伊麻(イマ)の墾道(はりみち)刈株(かりばね)に足踏ましむな履(くつ)はけわが背」 ※土左（935頃）承平六年二月一六日「ほとりに松もありき。〈略〉かたへはなくなりにけり。いま生ひたるぞまじれる」
		③ (ごく近い過去に関して用い、互いに経験や知識で知っているものをさしていう) (イ) (副詞的に用い) ちょっと前。いましがた。たったいま。	※平家（１３Ｃ前）六「今さけぶものは何ものぞ。きっと見て参れ」
		(ロ) (多く「いまの」の形で用い) いましがた。ただいま。さきほど。	※浮世草子・好色五人女（1686）四「新発意(しんぼち)は宵の事をわすれず、『今(イマ)の三色の物をたまはらずは、今夜のありさまつげん』といふ」
		④ 「いま（今）の上(うえ)」の略。	※源氏（1001‐14頃）賢木「春宮をば、いまのみこになしてなど、宣はせおきしかば」
	副詞	① (ごく近い未来に関して) すぐに。今すぐに。直ちに。	※古事記（712）中・歌謡「島つ鳥 鵜飼(うかひ)が伴 伊麻(イマ)助(す)けに来(こ)ね」 ※源氏（1001‐14頃）若紫「いま、この花のをり過ぐさず、参り来む」
		② さらに。その上に。あと。もう。	※万葉（８Ｃ後）八・一六二一「わが宿の萩花咲けり見に来ませ今二日許(だみ)あらば散りなむ」 ※土左（935頃）承平六年二月一日「貝のいろは蘇芳(すはう)に、五色にいまひといろぞたらぬ」
	接頭辞	(名詞の上につけて用いる) ① 「新しい」「こんどの」の意を表わす。	「今参り」「今内裏」「今姫君」 〔小右記‐万寿四年（1027）九月六日〕
		② (現代の人を、昔の著名人になぞらえていう) 「現代の」「今の世の」の意を表わす。	「今牛若」 ※太閤記（1625）四「般若院は事外なる剛の者、〈略〉今弁慶と戯しも宜ならずや」
広辞苑	名詞	①過去と未来との境である瞬間。現在。	「―正午だ」	今
		②現在を含んだ、ある時間・期間。	古事記上「―こそはわどりにあらめ後はなどりにあらむを」。 「―の首相」
		③現に話をしているこの局面（で）。	万葉集2「後にも逢はむ―ならずとも」。 「―この点をＰとする」
		④1と見なせるほど近い過去または未来。	「―来たばかりだ」「―の人、知ってるかい」「―行きます」
		⑤(「―に」の形で)そうは遠くない未来。将来。そのうち。→今に2。
		⑥(今度あらたに加わるの意で)新しいこと。また、そのもの。	万葉集14「信濃道は―の 墾道 (はりみち)」
		⑦(現在におけるの意で、現在の人を昔の人になぞらえるのに使う)現代の。当世の。	「― 業平 (なりひら)」「―小町」
	副詞	ここで更に。その上に。もう。	「―一度」「―2、3日待って下さい」「―一人加わる」「―少し」
大言海	名詞	目ノ前ノ時。サシアタル時。マノアタリ。現在。目下。	古事記、上 三十九 長歌「伊麻コソハ、千鳥ニアラメ、後ハ、ナドリニアラムヲ」 佛足石歌「伊麻ノ 藥師 (クスリシ)、タフトカリケリ」 伊勢物語、三十二段「古ノ、賤ノヲダマキ、繰リカヘシ、昔ヲいまニ、ナス由モガナ」	今

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