け(毛イ)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 [一] 動物の皮膚を覆う細い糸状のもの。
① 哺乳類の表皮が陥入してできた毛嚢(もうのう)の底部から生じた角質形成物。毛幹と毛根の部分に分けられる。体の保護や体温の調節に関係する。広義には生物体の表面にある糸状物のべん毛、繊毛、刺毛なども含む。
※万葉(8C後)一六・三八八五「わが爪は 御弓の弓弭(ゆはず) わが毛(け)らは 御筆(みふみて)はやし」
※俳諧・鶉衣(1727‐79)前「毛生ひむくつけき虫にも同じ名有(あり)て、松を枯し人にうとまる」
② 人間の髪の毛。かみ ※栄花(1028‐92頃)見はてぬ夢「いと若う、けふくだみてぞ二人おはすめるも」
③ 鳥の羽。羽毛。 ※宇治拾遺(1221頃)四「生けながらけをむしらせければ〈略〉鳥の、目より血の涙をたれて」
④ 羊毛。また、羊毛製品や、羊毛製であることをいう。 「毛のオーバー」
[二] 植物の表皮細胞から発生した突起、または毛状体の総称。綿毛、鱗毛、刺毛(しもう)など、構造・機能で種々にわけられる。毛茸(もうじょう)。 ※全九集(1566頃)二「香附子あまく微寒也。あかがねの刀にて毛をこそげつちにてうちくだいて」
[三] 一般に、毛のように見えるもの。
① 細い、糸状のものの総称。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「宮の御台には、かねの御器(ごき)に黄金のけうち、銀(しろかね)の折敷(をしき)三十」
② 特に、鎧(よろい)の威(おどし)の糸。威毛(おどしげ)。 ※吾妻鏡‐文治五年(1189)八月一一日「甲毛者紅也」
※太平記(14C後)二六「師直がきせながの料に、同し毛(ケ)の鎧を二両まで置たりけるを」
[四] 魚の鱗(うろこ)。特に鯉(こい)の鱗をさす。 〔日葡辞書(1603‐04)〕
[五] 田畑の作物。作毛、毛上、毛付、毛見などをいう。 ※多聞院日記‐文明一〇年(1478)四月二九日「於毛者以苅取
広辞苑 名詞 ①哺乳類の皮膚に生える糸状角質形成物。皮膚の 毛嚢 (もうのう)におさまる部分を毛根、外にあらわれた部分を毛幹、先端を毛先という。
㋐髪。毛髪。ごくわずかな物事のたとえにもいう。
「―ほどのすきもない」
㋑羊毛。毛糸。 「―のシャツ」
②鳥のはね。羽毛。 「鳥の―をむしる」
③物の表面に生ずる細い糸状の物。
④表皮細胞が細い糸状をなしたもの。高等植物に普遍的に見られ、形態・機能ともにさまざま。 「タンポポの―」
⑤稲の穂のみのり。また、ひろく畑作物の称。 作毛 (さくげ)
⑥((さね)を綴じた糸・革・綾などが隙間なく、毛の並んだようであるからいう)(よろい)のおどしげ。
⑦鯉の(うろこ) 狂言、惣八「此の鯉に限つてうろこをふくとは申さぬ。―をふくと申す」
大言海 名詞 (一){人、獸、ノ皮膚ニ生ズル、細ソクシテ、絲ノ如キモノ。 竹取物語「モチ月ノ(アカ)サヲ十、合セタル計ニテ、在ル人ノ毛ノ穴サヘ、見ユルホドナリ」
(二)髮。カミノケ 榮花物語、四、見果ぬ夢「イト若ウ、毛フクダミテゾ、二人、オハスメルモ」
今昔物語、十二、第三十四語「頭ノ毛太リ、怖ロシクテ」
(三){鳥ノ羽。ハネ 神代紀、上 廿 「毛ノ 柔物 (ニゴモノ)」(鳥)
倭名抄、十八 十八 羽族體「毳、爾古計」
「鶴ノ毛衣」
(四){細ソクシテ、毛ノ如キモノ。 萬葉集、七 三十五 「ハシキヤシ、吾家ノ毛桃、本繁ク、花ノミ()キテ、()ラザラメヤモ」
「蓑毛」絲毛ノ車」かしュういもノ毛」
(五){毛色ノ略。 宇津保物語、祭使 十一 「兵部丞、飾馬ニ乘リテ、埓ニ向キテ、馬ノ毛、申シタマヘリ」
(六) 縅毛 (ヲドシゲ)ノ略。 保元物語、一、白河殿夜討事「黑革威ノ鎧ニ、同ジ毛ノ五枚冑」

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最終更新:2023年07月24日 20:30