け(気(名詞))

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 [1] (「気」の字の呉音か。一説に、訓ともする)
① ある物の発する熱気や、ある物の持っている勢い。
※書紀(720)敏達元年五月(前田本訓)「辰爾乃ち、羽を飯の気(ケ)に蒸(む)して帛(ねりきぬ)を以て羽に印(お)して悉くに其の字を写す」
② 気分。心地。また、気力。 ※源氏(1001‐14頃)夕顔「恐ろしきけもおぼえず、いとらうたげなる様して」
③ 人や物の状態から受ける感じ。けはい。また、人のけはい。 ※落窪(10C後)一「口つき愛敬づきて少しにほひたるけつきたり」
④ 気候。天気。「気を寒み」の形で、寒さがきびしいのでの意に用いる。 ※曾丹集(11C初か)「けをさむみ冴えゆく冬の夜もすがら目だにもあはず衣うすれて」
⑤ いろいろな要素、成分をいう。また、「…の気」の形で用い、それらがわずかに感じられるさまをもいう。
(イ) 病気。
〔十巻本和名抄(934頃)〕
※米沢本沙石集(1283)四「或人囲碁を愛して冬のよもすがら打つに、中風の気ありて手ひゆる故に土器(かはらけ)に石をいらせて打けり」
(ロ) 味、匂いなど。 ※今昔(1120頃か)一「只、其を可供養し。米(よね)の気(け)なれば吉(よ)き物也」
(ハ) 傾向。性向。 ※笹まくら(1966)〈丸谷才一〉七「その気(ケ)は前からあったらしいけどね」
(ニ) 産気。 ※御湯殿上日記‐文明一六年(1484)八月四日「御さんの御けつきて御いてあり」
接頭辞 [2] 様子の意を表わす名詞「け」が、接頭語として用いられたもの。
① 主として形容詞、また動詞、形容動詞の上に付いて、様子、気配などの意を表わす。様子が…である。「けおそろし」「けうとし」「けぎよし」「けざやか」「けだかし」「けぢかし」「けどほし」「けどる」「けなつかし」「けにくし」など。
② 動詞、形容詞の上に付いて、何となく、漠然とした、などの意を表わす。「け押される」「けだるい」など。
接尾辞 [3] 体言、動詞の連用形、形容詞・形容動詞の語幹などに付いて、そのような様子、気配、感じなどの意を表わす。名詞に付く場合、上に促音を介することも多い。「さむけ」「いやけ」「かなけ」「くいけ」「商売っけ」「女っけ」「飾りっけ」「茶目っけ」など。
広辞苑 名詞 (「気」の呉音ケに由来するか。一説に訓とも。→())
①実体を手にとることはできないが、その存在が感じられるもの。
蜻蛉日記下「東面の朝日の―」。
「火の―」「全くその―は見られない」
②様子。けはい。 宇津保物語楼上上「さがなう心こはく、なまめかしき―もはべらず」
③心もち。ここち。 源氏物語夕顔「おそろしき―もおぼえず」
④気力。心身の力。 蜻蛉日記中「―やあがりぬらん、心地いとあしうおぼえて」
⑤病気。 枕草子188「病は…脚の―」。
倭名類聚鈔3「疫、衣夜美、一云度岐乃介」
⑥その味わい・匂いなどのあること。その成分を含むこと。 今昔物語集1「米の―なれば吉き物なり」
⑦生れつき持っているもの。持ちまえ。 筑波問答「其の人の―に対して教へかけられ侍るにや」
接頭辞 動詞・形容詞に冠して「様子が…である」の意とし、または「何となく」の意を添える。 「―おされる」「―ぢかし」「―おそろし」「―だるい」
接尾辞 そのような様子、傾向が感じられること。 寒― (さむけ)」「 人― (ひとけ)」「女っ―」
大言海 名詞 ()ノ音ノ轉ナリ〕
(一){ (イキ)(イキ)()おき
蜻蛉日記、下、中 東面 (ヒガシオモテ)ノ朝日ノけ、イト苦シケレバ、南ノ(ヒサシ)ニ出デタルニ」
「火ノけ」
(二){ケシキ。ケハヒ。ヤウス。 源、三十五、柏木 廿三 「イヨイヨ、白ウ、アテハカナルけシテ、枕ヲソバダテテ」
盛衰記、十、中宮御產事「治承二年十一月十二日寅時ヨリ、中 、御產ノ()オハシマスト(ノノシリ)ケリ」
(三)味。香。 「鹽け」酒ノけ」けモナシ」

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最終更新:2023年05月04日 19:28