おん(御)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 接頭辞 (「おおん」の略。「おむ」とも書く)
① 体言(まれに用言)の上に付き尊敬の意を表わす。
「おん身」「おん方々」
※源氏(1001‐14頃)横笛「おほやけの御近きまもりを、わたくしの随身に領ぜむと争ひ給ふよ」
※発心集(1216頃か)三「日比も御恋しく思ひ奉りつれど」
② (下に来るべき体言を省略して) 「おん」だけで名詞的に用いる。平安時代の用法。 ※宇津保(970‐999頃)俊蔭「野山をわけても御をばつかうまつらん。これ御たからとなり給はんともしらず」
[語誌](1)中古における「おほ(お)ん」が院政期ごろ音韻変化したものと考えられ、中古の例は「おおん」と読むべきだともいわれている。多くは字訓語に付くが、「おん曹司」「おん博士」「おん礼」など字音語に冠する例も見られる。「ロドリゲス日本大文典」では、「おん」「お」「み」は字訓語、「ゴ」「ギョ」は字音語に冠するとしているが、キリシタン資料や国内資料でも通則に合わない例が相当数確認される。また、同じ訓の「み」とは、かなり厳密な使い分けがされている。
(2)「おん」は次第に「お」に変化していくが、狂言や浄瑠璃などには「おん」の形がのこる。現代語においては「おビール」「おリボン」など外来語に冠する例は「お」の形のみであまり多くはみられないが、キリシタン資料では、「おんクルス(十字架)」「おんアニマ(魂)」「おんオラショ(経)」など外来語に冠する例もある。→「おおん(御)」の語誌
広辞苑 名詞 (オホム(御)の約)
貴人に関する物事について「おん…」とあるべきを略して用いたもの。
源氏物語花宴「源氏の君の―(御詩)をば」
接頭辞 敬意をあらわす。→お(御) 「―身」「―礼」
大言海 接頭辞 (オホ)()ノ轉ナル、おほんノ約、字類抄「御、オム、オホム」〕
(ヒロ)ク物事ニ冠ラセテ、敬稱、尊稱スル語。
催馬樂、老鼠「老鼠、若鼠、 於无毛 (オムモ)(御裳)()ンヅ、袈裟食ンヅ」
「おん曹司」誰レ樣おん事」誰レ殿おん中」おん身」おん手許」

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最終更新:2024年05月08日 20:02