かく(繋)

広辞苑
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① ある所に物の一部をつけてつなぎとめる。掛ける。 ※書紀(720)雄略一二年・歌謡「伊勢の野の 栄枝(さかえ)を 五百(いほ)経(ふ)る柯枳(カキ)て」 掛・懸
② (構) 組み立てたり、編んだりして作る。 ※書紀(720)武烈即位前・歌謡「大君の 八重の組垣 哿哿(カカ)めども 汝(な)をあましじみ 哿哿(カカ)ぬ組垣」
※太平記(14C後)一〇「大船共を並べて矢倉をかきて」
③ (下帯を)結ぶ。締める。 ※今昔(1120頃か)一四「頭の髪は赤くして上様に昇れり、裸にして赤き浴衣(たふさぎ)を掻(かき)たり」
④ (「あぐらをかく」の形で) 足を組んですわる。 ※虎明本狂言・察化(室町末‐近世初)「『心得た』と云て、あぐらかひているなり」
※はやり唄(1902)〈小杉天外〉八「胡坐(あぐら)を組(カ)いたままで一寸お点頭(じぎ)して」
[語誌]「かかる」の他動詞形である「かく」には四段活用と下二段活用がある。下二段活用の「かく」が古くから多義語としてさまざまな用法をもち、現在も下一段活用の「かける」として使われているのに対し、四段活用の「かく」は用法がかなり限定されており、しかも今日では「あぐらをかく」などの表現として慣用的に残っているだけである。
大言海 他動詞 〔下二段活用ノ懸くる意ノ、四段活用モアルナリ、敬語ニ、かかすト云フ〕
懸クル。(ワタ)シテ(ツナ)グ。
雄略紀、十二年十月、長歌「伊勢ノ()ニ、(五十鈴原ノ大神宮)(サカ)エヲ、 五百經 (イホフ) 柯枳 (カキ)テ、(五百世經ルマデ懸ケテ)()ガ盡クルマデニ、大君ニ、堅ク仕ヘマツラム」
萬葉集、十六 三十一 長歌「馬ニコソ、(フモダシ) 可久 (カク)モノ、牛ニコソ、鼻繩ハグレ」
犢鼻褌 (タフサギ)ヲかく」又「 繫鐵 (カキガネ)(かけがね)」馬ノ 胸繫 (ムナガキ) 尻繫 (シリガキ)」ナド云フかきモ、此語ノ名詞形ナリ。
動詞活用表
未然形 かか ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 かき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 かく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 かく も、かも、こと、とき
已然形 かけ ども
命令形 かけ

又、「かく(構・絡)」も参照。

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2024年05月08日 20:20