かぜ(風)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 空気の流れ。一般に地球上のこととするが、現在では太陽からの帯電粒子の流れ(太陽風)や惑星大気の動きをもいう。 ※古事記(712)中・歌謡「木の葉さやぎぬ 加是(カゼ)吹かむとす」
② (「かぜむき(風向)」の略) なりゆき。形勢。かざむき ※人情本・春色辰巳園(1833‐35)初「今にも風(カゼ)のもやうによって、直(ぢき)にもわかれる了簡かへ」
③ 風習。流儀。しきたり。また、威風。 ※拾遺(1005‐07頃か)雑上・四七三「久方の月の桂もをる許り家の風をもふかせてし哉〈道真母〉」
④ (「風邪」とも) 鼻、のど、気管などの上気道のカタル性炎症。「医心方‐三・風病証候・第一」に「黄帝大素経云風者百病之長也」とあるように、万病のもととされた。感冒。ふうじゃ。かぜのやまい ※竹取(9C末‐10C初)「風いと重き人にて、腹いとふくれ」
⑤ インド古代で、地、水、火とともに万物を構成する要素の一つと考えられたもの。また、水輪、金輪とともに、須彌世界を支えているという三輪の一つ。風(ふう)。風輪(ふうりん)。 ※サントスの御作業(1591)一「ヒト ノ ミ ワ ツチ、ミヅ、caje(カゼ)、ヒ ヲ モッテ カカユル ケッキ タン ワウズイ ノ コト」
接尾辞 (人の名や身分、職業などを表わす名詞に添えて)
① そういうそぶり、様子、それらしく偉そうな様子を表わす。「大尽風(だいじんかぜ)」「役人風(やくにんかぜ)」など。
※九条家文書‐永正二年(1505)一〇月一六日・九条政基書状「彦六は孫六かせをふかせ候て申候ほどに」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉閨閥「役所では局長風を吹かして属官を睥睨(へいげい)しおるが」
② 人をある気分にさせることを表わす。「臆病風(おくびょうかぜ)」など。
[語誌](1)中国古代の「風」は、大気の物理的な動きとともに、肉体に何らかの影響を与える原因としての大気、またその影響を受けたものとしての肉体の状態を意味した。日本での「かぜ」はもともと大気の動きであるが、(一)④の意の用例は平安時代初期から見られ、おそらくは中国語の「風」の移入か。
(2)(一)④の症状は必ずしも感冒には限らず、腹の病気や慢性の神経性疾患などを表わしていたことが、④の「竹取物語」などの例でわかる。また、身体以外に、茶や薬などが空気にふれて損じ、効き目を失うことを「カゼヒク」といったことが、「日葡辞書」から知られる。
(3)「風邪」は、漢籍では病気名とは言えず、「日葡辞書」でも「Fûja(フウジャ)」は「ヨコシマノ カゼ」で、身体に影響する「悪い風」とされている。近世では、「風邪」は一般に「ふうじゃ」と読まれ、感冒をさすようになった。病気の「かぜ」に「風邪」を当てることが一般的になったのは明治以降のことである。
広辞苑 名詞 ①空気の流れ。気流。特に、肌で感じるもの。 古事記中「畝火山木の葉騒ぎぬ―吹かむとす」。
「―が出る」「―で流される」「世間の冷たい―に当たる」
②なりゆき。形勢。風向き。 人情本、春色辰巳園「サアサアでへぶ―の(わり)(うけ)だ。行かう行かう」
③ならわし。風習。しきたり。流儀。 新勅撰和歌集雑「大和島根の―として」
④(接尾語的に)そのようなそぶり。様子。 「先輩―を吹かす」
⑤㋐風の(やまい)
㋑(「風邪」と書く)感冒。〈[季]冬〉。 「―をひく」
大言海 名詞 氣風 (カジ)ノ轉カ、(()ト、()トノ條ヲ見ヨ) 西北風 (アナジ)ヲあなぜトモ云ヒ、沖繩ニテハ、風ヲ、かじト云フ〕
(一){空氣ノ、流動スルモノ。靜穩ノ日ニ、流動ノ速度、一時閒ニ一哩ニ滿タズ、煙ノ天ニ向ヒテ直上スル時ヲ、無風ト云フ。一時閒ニ六哩トナレバ、木ノ葉ソヨソヨトナル、コレヲそよかぜ、微風ト云フ。二十哩トナレバ、疾風ト云ヒ、水ニ小波ヲオコス。四十五哩トナレバ、强風ト稱シ、風ニ向ヒテノ步行、妨ゲラル。六十哩トナレバ、烈風ト稱シ、樹モ根コギニセラル。七十五哩ナレバ、暴風ト稱シ、イハユル大嵐ニテ、天災トナル。
倭名抄、一「陰陽怒而爲風」
萬葉集、十四 十九 可是 (カゼ)()ノ、(如ク)遠キ 吾妹 (ワギモ)ガ、着セシ(キヌ)、袂ノ(クダリ)(マヨ)ヒ來ニケリ」
(二)(イヅ)()トモナク、傳ヘ來ルコト。 「風ノ 傳言 (ツテゴト)」風ノ便リ」
(三)()サマケブリソブリ 「臆病風ガ吹ク」地頭風ヲ吹カス」
(四){かぜくも(風雲)ノ條ヲ見ヨ。

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最終更新:2024年05月18日 21:31