かま(蒲)

日本国語大辞典 名詞 (古くは「かま」) ガマ科の多年草。各地の池や沼に生える。高さ約一・五メートルになる。根茎は白色で泥中をはう。葉は長さ約一メートル、幅約二センチメートルの剣状。夏、茎頂に穂を出し、微小な花を多数つける。雄花群は長さ一〇センチメートル内外で黄色。雌花群は長さ約二〇センチメートル、直径約二・五センチメートルの円柱状で雄花群の下部に接する。穂は蒲団のしんや火打ち石の火口(ほくち)にし、葉と茎とでむしろ、かご、すだれなどを作る。若葉は食用ともなる。花粉は漢方で蒲黄(ほおう)といって止血剤、利尿剤に用いられる。漢名、香蒲。かば。ひらがま。みすぐさ。あかま。しきな。《季・夏》 ※書紀(720)天武一〇年八月(北野本訓)「土毛(くにつもの)は、支子(くちなし)、莞子(カマ)、及び種々の海つ物等多(にへさ)なり」 蒲・香蒲
[語誌]「新撰字鏡‐七」「十巻本和名抄」「観智院本名義抄」「文明本節用集」などでは「カマ」と清音であり、「かます(叺)」「かまぼこ(蒲鉾)」のように、複合語の場合、現在でも清音の形をとどめている。しかし、「運歩色葉集」「日葡辞書」などで濁音表記されており、中世末から近世にかけて、「ガマ」と濁音化したと考えられる。
広辞苑 名詞 (古くはカマ)ガマ科の多年草。淡水の湿地に生える。高さ約2メートル。葉は厚く、長さ1メートル以上、幅約2センチメートル、編んでむしろを製する。雌雄同株。夏、約20センチメートルのろうそく形の緑褐色の花序(穂)をつける。これを 蒲団 (ふとん)の芯に入れ、また、油を注いでろうそくの代用、 火口 (ほくち)を造る材料とした。みすくさ。「蒲」「蒲の穂」は〈[季]夏〉。 古事記上「―の花を取りて、敷き散らして」
辞書 品詞 解説 例文 漢字
大言海 名詞 (クミ)ノ轉ニテ、( 頭槌 (カブツチ)、くぶつち。(クグマ)る、かがまる。(オホ) 御身 (ミミ)、おほみま。(カタマ)、かたみ)組みテ筵トスベキモノノ意ト思ハル、(コモ)モ、(クミ)ノ轉ニテ、同語根ナラム、かまぼこ、(蒲鉾)かばやき、(蒲燒)ま、は、相通ズ〕
濁音ニテ、がまトモ云フ。水草ノ名。一根ヨリ叢生ス、葉ノ長サ四五尺、巾七八分、厚クシテ(セスヂ)アリ、夏、圓キ莖ヲ出スコト四五尺、上ニ穗ヲ生ズ、長サ七八寸、巾一寸、形、蠟燭ノ如ク、短キ毛、集リテ形ヲナシテ、褐色ナリ、コレヲかまぼ、又、かまぼこ(蒲槌)ト云フ。其上ニ、小サキ葉ヲ生ジテ、中ニ黃粉ヲ含ム、 蒲黃 (ホワウ)ト云ヒテ、藥トス、又、莖葉ヲ、 蒲席 (ガマムシロ)ニ作ル。
倭名抄、二十 廿二 「蒲、加末」
本草和名、上 二十一 「蒲黃、加末乃波奈」(倭名抄、同ジ)
字鏡 五十四 「莞、似蒲員卉、加万」

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附箋:名詞 植物

最終更新:2024年05月08日 21:05