辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
---|---|---|---|---|
日本国語大辞典 | 助詞 |
〘副助〙 ① 活用語の終止形を受け、下の動作の程度を様態的に述べる。…せんばかりに。…するほどに。 |
※万葉(8C後)八・一五五六「秋田苅る借廬もいまだ壊(こほ)たねば雁が音寒し霜も置きぬ我二(ガニ)」 | |
② 動詞の連体形を受け、将来の事柄に関してそうなることを望む意を表わす。…するように。 |
※万葉(8C後)一四・三四五二「おもしろき野をばな焼きそ古草に新草まじり生ひは生ふる我爾(ガニ)」 ※古今(905‐914)哀傷・八二九「泣く涙雨と降らなん渡り川水まさりなば帰り来るがに〈小野篁〉」 |
|||
③ (②から転じて) まるで…するかのように。 | ※崖の下(1928)〈嘉村礒多〉「潤んだ銀色の月の光は玻璃窓を洩れて生を誘ふがに峡谷の底にあるやうな廃屋の赤茶けた畳に降りた」 | |||
[語誌]上代の「がに」は東歌の一例(②の挙例「万葉‐三四五二」)を除き終止形接続であり、中古以降の連体形接続の「がに」とは意味・用法が異なる。中古以降の「がに」は上代の「がね」を母胎として、ほぼその意味・用法を継承しているが、それはさらに、「ゆふぐれのまがきは山と見えななむ 夜はこえじと宿りとるべく」(古今‐離別)のような同様の表現効果を持つ、「べし」の連用止めの用法にとって代わられるようになり、中世以降は擬古的な用例に限られる。→副助詞「がね」 | ||||
広辞苑 | 助詞 |
(接続助詞) ①(動詞・助動詞の終止形に付く。多く完了の助動詞「ぬ」に付き「ぬがに」の形をとる。一説に、疑問の助詞「か」と格助詞「に」との結合という)…しそうに。…するばかりに。…するかのように。 |
万葉集8「生ふる橘玉に貫く五月を近み 古今和歌集賀「桜花散りかひ曇れ…道紛ふ―」 |
|
②(動詞・助動詞の連体形に付く。願望・命令・禁止などを表す文と共に使われ、その理由・目的を表す。一説に「がね」の方言的転化という)…するだろうから。…するように。 |
万葉集14「おもしろき野をばな焼きそ古草に 古今和歌集哀傷「泣く涙雨と降らなむわたりがは水まさりなば帰り来る―」 |
|||
大言海 | 接尾辞 |
〔 (一)動詞、助動詞ノ終止形ニツキテ、副詞トスル語。バカリニ。ホドニ。クラヰニ。 |
萬葉集、八
三十
長歌「生フル橘、玉ニ 同卷 三十九 「秋田刈ル、 古今集、七、賀「櫻花、散リ 同、二十、大歌所「山人ト、人モ見ルがに、山カヅラセヨ」 |
|
(二)がねト混ジテ、が、爲にノ意ニ用ヰラル。ねノ音ガ、にト轉ジタルナルベシ。 がにヲ、がねノ意ニ用ヰルハ、平安朝以後ノ歌ニ多シ。尙、がねノ條ヲ見ヨ。 |
萬葉集、十四
十九
「面白キ、野ヲバ 古今集、十六、哀傷「泣ク淚、雨ト降ラナム、渡リ川、水增サリナバ、歸リ來ルがに」 拾遺集、二、夏「山里ニ、知ル人モガナ、時鳥、去年ノ初聲、飽カザリシ、人ノ聞クがに、先ヅモ鳴カナム」 |
検索用附箋:助詞
検索用附箋:接尾辞