がね

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 〘副助〙
動詞の連体形を受けて、「…するため」「…するよう」「…の料に」の意を表わす。
※万葉(8C後)五・八一三「万代に 言ひ継ぐ可禰(ガネ)と 海(わた)の底 沖つ深江の 海上の 子負(こふ)の原に み手づから 置かし給ひて」
※万葉(8C後)一七・四〇〇〇「万代の 語らひ草と 未だ見ぬ 人にも告げむ 音のみも 名のみも聞きて 羨(とも)しぶる我禰(ガネ)」
接尾辞 ((一)から転じ、体言を受ける用法) …するためのもの。…の料。中古には「后がね」「坊がね」「大臣がね」「聟がね」など、候補者の意に用いられる。 ※古事記(712)下・歌謡「高行くや 隼別(はやぶさわけ)の 御襲(みおすひ)賀泥(ガネ)」
※伊勢物語(10C前)一〇「このむこがねによみてをこせたりける」
※源氏(1001‐14頃)常夏「おほきおとどの后がねの姫君」
[語誌](一)の用法は主に上代に用いられ、中古以降は、終止形接続の副助詞「がに」を吸収する形で連体形接続の「がに」に変化する。中古以降の「がに」は、上代の「がね」の語義・用法をほぼそのまま受け継いでいる。→がに〔副助〕
広辞苑 助詞 (候補者・材料などの意の名詞「かね(予・料)」からとも、格助詞「が」と終助詞「ね」の複合からとも)
(動詞・助動詞の連体形に付く)意志・命令などの表現をうけて、その理由・目的を表す。…するだろうから。…するように。→がに2
万葉集10「橘の林を植ゑむほととぎす常に冬まで住み渡る―」。
万葉集19「 大夫 (ますらお)は名をし立つべし後の世に聞き継ぐ人も語りつぐ―」
接尾辞 名詞に付いて候補者・材料などの意を表す。 伊勢物語「このむこ―に」。
栄華物語本雫「けふあすの大臣―にておはす」
大言海 接尾辞 之根 (ガネ)ノ義、云云セム、(ソレ)が根本ト云フ意ヨリ轉ジテ、(ソレ)(タメ)にノ意トナル、(萬葉集古義、三、中)萬葉集、十 十四 「梅ノ花、吾レハ散ラサジ、アヲニヨシ、 平城 (ナラ)ナル人ノ、來ツツ見ム 之根 (ガネ)」連體形ガ名詞トナレルニ附キテ、何()爲トナル、梅が香ナドノがナリ〕
(一)動詞、助動詞ノ連體形ニツキテ、副詞トナル語。(がにノ條ノ(二)ヲ併セ見ヨ)何何ガ(タメ)ニ。何何ガ料ニ。
萬葉集、三 三十四 丈夫 (マスラヲ)ノ、 弓末 (ユズヱ)振リ起シ、射ツル矢ヲ、(ナルモノヲ)後見ム人ハ、(カタリ)()(ガネ)
同、十七 四十 (イマ)ダ見ヌ、人ニモ吿ゲム、音ノミモ、名ノミモ聞キテ、 登母之夫流我禰 (トモシブルガネ)」((ウラヤマ)シガル料ニ)
同、五 十三 長歌「萬世ニ、言ヒ繼グ可禰ト、云云、御手ヅカラ、置カシタマヒテ」(神功皇后ノ鎭懷石ニ云ヘルナリ)
(二)轉ジテ、名詞ニ添ヘテ、名詞ニ用ヰラレ、(ソレ)()(ザシ)ノ義ニテ、其料、又、設けの人、候補者、ノ意トナル。 仁德紀、四十年二月、織女ノ歌「 隼別 (ハヤブサワケ)(皇子)ノ、 御襲 (ミオスヒ) 餓泥 (ガネ)」(襲ノ料)
伊勢物語、第十段「此(ムコ)がねニ、()ミテオコセタリケル」
宇津保物語、藏開、上 六十 「東宮ノ若宮タチコソ、云云、行先ノ君がねニヤハアラヌ」
榮花物語、一、月宴「四ノ宮、(ミカド)がねト申シ思ヒシカド」
同、十六、本雫「今日明日ノ大臣がねニテオハス」
大鏡、六、道隆「(キサキ)がねト、カシヅキ奉リタマヒ」

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最終更新:2024年05月14日 18:45