がり(許)

大言海 名詞 ()(アリ)ノ約、 在處 (アリカ)ト、同意〕
其人ノ居ル處。(モト)。他語ニツクトキハ、 連聲 (レンジヤウ)ニテ、がりト濁ル。
古事記、中(神武) 十二 (イデ)(マシテ)其伊須氣余理比賣之(カリ)
枕草子、三、三十七段「ヤムゴトナキ物持タセテ、人ノかり遣リタルニ」
蜻蛉日記、上、上兼家「イヅレトモ、ワカヌ心ハ、ソヘタレド、コタビハサキニ、見ヌ人ノかり」
宇治拾遺、三、十四條「國司ノかり、向ヒヌ」
萬葉集、十四 三十 「心ノミ、(イモ) 我理 (ガリ)遣リテ」
同卷 三十二 (カナ)シキ(セロ)ガ、 吾許 (ワガリ)通ハム」
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 接尾辞 (「が‐あり」または「か(処)‐あり」の変化した語) 代名詞または人を表わす名詞に付き、その人の許(もと)に、その人の所に、の意を表わす。格助詞「に」や「へ」を伴わないで、移動の意を含む動詞に直接に続く。 ※万葉(8C後)一四・三五三八「広橋を馬越しがねて心のみ妹我理(ガリ)やりて我(わ)はここにして」
※御伽草子・福富長者物語(室町末)「典薬頭、清麿がり行きてしかじかと歎きいひければ」
名詞 ((一)の用法から変化したもの) 人を表わす名詞に、格助詞「の」を介して付き、その人の許(もと)に、その人のいる所に、の意を表わす。形式名詞のように使われるようになったもの。 ※阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)A「つとめてもなほいみじう降るに、ある人のがりやりし」
※宇治拾遺(1221頃)七「這ひ起きて約束の僧のがりゆきて、物をうち食ひてまかり出でけるほどに」
広辞苑 (カアリ(処在)の約カリの連濁。一説に、リは方向の意)人を表す名詞や代名詞に付いて、または助詞「の」を介して、その人のいる所へ、の意を表す。 万葉集14「妹―やりて」。
栄華物語浦々別「夜ばかりこそ女君の―おはすれ、ただ宮にのみおはす」

又、「かり(許)」も参照。

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最終更新:2024年05月14日 20:49